第二十四話「羽咲(かのじょ)の心に希望的観測を?」
第24話「羽咲の心に希望的観測を?」
「えー、それでは、改めまして優勝者の”鉾木 盾也”くんに感想をお聞きしましょう!!」
――
高らかに紹介された俺は一歩、進み出て――
「……………………ごめんなさい」
目線をやや下方にマイクを通しても蚊の鳴くような小声で……
「マジ、サーセン!」
俺はガッツリ謝罪していた。
――
――なんでこうなった?
”臨海祭”随一のイベント”討魔競争”の表彰式、そのステージ上で俺はただひたすらに、この状況に耐えていたのだ。
ザワザワ……ザワ……
適度に騒がしい会場。
そこに集まった参加者と関係者が時折ヒソヒソと言葉を交わし、晒し者の俺に良からぬ視線を集中させている。
「…………くっ」
俺は、俺達は、優勝した……
討魔競争で優勝したんだ!
ザワザワ……ザワ……ヒソヒソ
でも……
冷たい視線の数々。
呆れられたような嫌な視線の集中砲火。
――なんでこんな事になった?
「うぅ……」
答えは、ほんの二時間ほど前だ。
あの妖の平安美女と対峙することになった一件から無事帰還した俺達は、競技を終え大会本部に戻った。
競技時間終了にはまだ早かったが、桐堂は前後不覚だし、羽咲は戦うべき剣をほぼ使い果たして丸腰で……
俺はそもそも単独ではどうにもならない役立たずだ。
まぁ、実際、俺達のパーティーは早々の店じまいで当然だった。
で、一応は成績チェックを受けたのだが、その結果が……
鉾木 盾也:ゼロ匹
桐堂 威風 :八匹
それで……それで……
羽咲・ヨーコ・クイーゼル:一万とんで六百七十二匹……
「…………は?」
と――
そりゃ大会委員のオッサン達も、出土した埴輪のように口を開けた間抜けなポーズで並ぶだろうよ。
一万っ!!桁が違いすぎるっちゅうのっ!!
ていうか!ここまで数字が大きいと現実感が全くない!!
――
「えーと、”鉾木くん”だったか、キミがこのチームのリーダーだったね」
大会委員のオッサン達、その一人が俺に声をかける。
「う!は、はい」
「すごいねぇ、大会初だよ、この数値は。いやぁぁ、ほんと大したものだ」
な、なんて遠回し的かつ直接的嫌みだ。
「いえ、それほどでも……」
俺は目を逸らしながらもなんとか言葉を返す。
「いやいや、それほどだよ」
「いやいやいや、それほどでも……」
――
暫し沈黙。
「いやいやいやいや、なめてんのかぁぁ!?あ?ガキィッ!!おおっぴらにイカサマしおって!いや、イカサマするにしても、な?もうぅぅちょっとな?ちょっぴりだけ上手く出来んのかいっ!!」
――いやいやいやイヤァァァァ!!
青筋を立てて怒鳴る普段は温和そうな雰囲気の中年に俺は耳を塞いでイヤイヤする!
「”大会委員”舐めとるんかい!若造っ!!」
いや、このオッサンの気持ちは十分わかるが……
――そんなこと俺に言われてもなぁ
「え、と……」
俺は困り果てて隣を見たが…………
「……う」
既に羽咲の姿はそこには無かった。
き、消えやがった!またしても!?おのれぇぇっ!
いつもいつも雲行きが怪しくなったら消えやがって!
名前通り”脱兎の如く”かよっ!羽咲だけにな!
俺が心中で叫んでいる間にも、大会委員のオッサン達は”あーだこーだ”と向こうの方で揉めている。
「……うぅ」
俺だってこんな成績が通るとは思っていない。
一応、骨を折ってくれた御前崎先生の顔を立てて、大会には出場したという事実を残そうと報告だけはと。それが、それが……
既にこの時点で、高級エステ並みに彼女の顔には泥を塗りまくりのような気もするが……
――
「おい、そこのキミ。なんと言ったかな、ちょっと来なさい」
「う……鉾木です」
俺は嫌な予感をヒシヒシと感じながらも、呼ばれた先に居る一番偉そうな禿げたオッサンを見る。
「早く!大会委員長がお呼びだ。サッサとこっちに来なさい”ホラのき”くん」
――言った!!
――いま!ドサクサに紛れて”ホラのき”って言ったよね!?このオッサン!
「早くしなさい”ホラのき”くん」
――くそっ!なんで俺だけ……くそっ!!
俺は内心で文句タラタラ、表面はお通夜のような神妙な顔で仕方なくそこに向かう。
「えーと、アレだ。一応、精査してみたのだが、カウンター計測器にも周辺の監視員の報告でも残念なことに不正のあった報告は無い。であるからして……非常に不本意だが、キミ達を優勝とすることにした」
――は?
――優勝?……俺たちが?
「なに、少しばかり現実離れした成績ではあるが胸を張りなさい青年よ!」
「た、大会委員長……」
――なんだよ……
見てくれている人は見てくれているもんだな……
”禿げ”とか言ってごめんなさい……ぐすっ!
「因みに二位の成績は百三十四匹だった。はっはっはっ!」
「へぇ、そうなんですか?はっはっはっ」
大会委員長のオッサンと和やかに談笑する俺。
「はっはっは」
「ははは……」
「……舐めてんのか、小僧?」
「…………う」
和やかな表情のまま、禿げた大会委員長はドスの効いた声で俺を睨む。
紛れもない、それは人殺しの顔だ!
――う、うわーーん!
やっぱり誰も信じてくれてないじゃないかぁっ!!
――この禿げ!つるっパゲ!!
だいたいなぁ!伝説の称号である”委員長”を名乗って良いのは”三つ編み眼鏡の美少女”だけなんだよっ!!
――感動した俺の純粋なる心を返せ!!この似非委員長禿げバージョンっ!!
俺は思いつく限りの罵詈雑言を心の中でだけ叫んでいた。
「……まあ良い。我々は”大人”であるし結果は結果だ。この後は予定通り表彰式を執り行う」
諦めた目でそう告げる禿げたオッサン。
――うぅ……なんだか申し訳ないが、俺だってわざとじゃ無い
「そうそう、鉾木とやら」
そして――
「ジックリと味わうが良い、地獄のステージを……ふっふっふ」
笑顔であるにもかかわらず、禿げオヤジの全然笑っていない眼がキラリと光る。
「なんだ?こいつ?堂々とイカサマしてどんな顔でそこに立ってんだっ!」 「うわー!本気かよ!信じらんねぇっ!嘘つくにしてもどんだけだよっ!」 「ほんと最低!わたしぃ、あぁんなダサ男が彼氏でなくてよかったぁぁ」
「と言う、衆人観衆の軽蔑した視線と罵詈雑言、それを一際高いあの頂で唯只管に耐える屈辱をなぁぁっ!」
――うわぁ……
なんだ、このオッサン。
若者言葉で一人三役、しかも女子はそれらしい声色まで使いこなして……
そこまでして……そこまでして俺を……
ってか、このオッサン全然”大人”じゃねぇ!!
「ふふっ」
ニヤリ!としたり顔で嗤うオッサン(禿げ)
――くそっ!人が下手に出てりゃいい気になりやがって……
――そっちがその気ならなぁっ!
「わかりました、ありがとうございます」
「な、なにぃ?」
予期せぬ俺の自信に満ちた返答に驚く禿げオヤジ共。
――負けるかよっ!
俺はなにも”やましいこと”はしていないんだ!
「ほぅ、因みに鉾木くんとやら」
「はいはい、なんですか?」
俺は堂々と胸を張る。
「”コイツら大会委員長のコネで見逃してもらったんじゃね?”って思われるような噂をそれとなく流しておいたと言う事を、先ほどの話に付け加えておこう」
「うわぁぁぁぁん!!やっぱり辞退させて下さいぃっ!!」
――
……てな感じで、どうしようも無い馬鹿げた経緯があったのだが……
「……」
――くそ!思い出してもムカつくぜ!
あの禿げ!なにが”我々は大人”だ!!
――
だが結局、俺はこうして今、表彰式のステージ上に居る。
それは――
「盾也くんはなにも不正はしていないじゃない?そんなこと私がよく知っているよ、チームで掴んだ勝利でしょ?胸を張って受け取ったら良いよ。私そう思うよ!」
――そうだ!
俺にそう言ってくれたプラチナブロンドのツインテ天使の笑顔が決め手だった。
羽咲の笑顔は本当に天使だ。
そう、俺が大会委員達から”いびられ”ていた時、どこかに姿を消していた天使……
表彰式の直前に”しれっと”現れて、そう言葉をかけてくれた後で”そそくさと”観客の中に紛れた天使……
そして今また、”なにくわぬ”顔で観客達の中から見事に他人を決め込む天使……
――
「…………」
――いや、全然天使じゃねぇ!?
ついとびきりの可愛さで騙されるが、あれは悪魔だ。
とびきり可愛いけど関係無い!
プラチナツインテの悪魔だっ!
――くぅぅ、ぜったい後で胸揉んでやる!!
俺は針のむしろであるステージ上から、涼しい表情で観客に紛れるプラチナブロンドのツインテール美少女を発見し、そう心に誓うのだった。
ザワザワ
俺が壇上に登ってから変わらず落ち着かない会場。
実際、ステージ上にいてもチラホラと俺の悪口が聞こえてくる。
ザワザワ、ヒソヒソ
「えー、では、優勝者には優勝賞金の百万円と副賞の豪華リゾート施設、マリンパレスの一日無料券、さらにはロイヤルベイホテルのスウィートルームペア宿泊券を進呈……くれてやります!」
――クソ、もうなんでも好きなように言えよ……
ブゥゥゥゥーー!! ブゥゥゥゥーー!!
そこで一際大きなブーイングが巻き起こる!
「…………くっ!」
無理も無い、この流れでは……
ってか、ここの委員達って自ら騒ぎを大きくしてないか?
ブゥゥゥゥーー!! ブゥゥゥゥーー!!
「早く受け取りなさい」
「は、はい」
――ふぅ……しかたない
下手したら暴動が起こりそうな勢いだ。
俺は呆れながらも一向に収まらないブーイングの中、こうなっては”辞退”する他ないかと一歩手前に進み出た。
「えぇと、誠に遺憾ながら優勝の件ですが……」
俺はプライドを捨て、土下座の心準備を済ませながらそう――
「待って!その数値、わたしが出したんですっ!」
――っ!?
罵声が飛び交う観衆の中から、突然立ち上がる美少女がひとり。
「数値が現実的で無い事は承知しています。皆さんが疑問に思うのも……でも……でも、ほんとうなんです!」
そのプラチナのツインテールが美しい少女は意を決した表情で立ち上がり、叫ぶ。
ザワザワッ!?
先ほどまでとは違った意味でざわつく場内。
「……」
――羽咲……おまえというヤツは……
――そこまでして……くっ……そこまでして……
俺は言いかけていた言葉を飲み込み、そっと目頭を押さえる。
――羽咲、おまえというヤツは……
――そこまでして……
「おまえ、副賞の”豪華リゾート施設マリンパレスの一日無料券とロイヤルベイホテル、スウィートルームペア宿泊券”が欲しいのかよぉぉっ!!」
俺は叫んでいた。
そう、魂の叫びだ。
――だって確かに見たのだ!
あの禿げオヤジが副賞の発表をしたときの、彼女の翠玉石の瞳が輝く様を!!
「…………あぅ」
遙かステージ上から睨む俺の視線から”あからさま”に瞳を逸らすプラチナブロンドのツインテール美少女。
――この現金な”可愛い娘ちゃん”め…………おっ!?
「おい!てめえっ!!なにイチャモンつけてんだよ!!」
「そうだ!そうだ!こんな可愛い娘が勇気を振り絞ってんのによぉぉっ!!」
俺の態度に騒ぎ出すバカ男共。
――ちっ!女を見た目だけで判断する薄っぺらい奴らめ!
俺は自分を真っ先に棚に上げ、咄嗟に反論する。
「見た目に騙されてんじゃねぇぇ!!お前らには解らんだろうが俺達は……」
カン!
「うおっ!」
だが、そこまで言いかけた俺に”空き缶”がぶつけられた。
「おまっ!?ふざけんなぁぁ!!怪我したら……」
バシ!
反抗する間もなく次のアルミが投擲される。
「いかさま野郎ぉぉっ!!シネェェ!!」
カン!
「モブ男!美少女なめんなぁーー!」
――痛て!痛てて!!
「うぉ!わわっ!」
次から次へとステージ上の俺めがけて飛来する罵詈雑言の数々と空き缶、ペットボトル!!
「や、やめろって……痛てて!」
――駄目だ……
理不尽極まりないが、美少女は……正義なんだと思い知る。
「プラチナの天使だぁ!ツインテール神の降臨だぁぁっ!!」
おぉぉぉぉぉっ!!!!
「俺は信じるぞぉ!!なんだってこんな美少女が嘘を言う訳が無い!!」
おぉぉぉぉぉっ!!!!
「俺もだぁぁ!!俺も全面的に信じる!」
おぉぉぉぉぉっ!!!!
「こんな美少女なら十万匹、いや!一億兆匹だって討伐可能だぜぇぇっ!!」
わぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!
――
「…………」
――なんて現金で馬鹿な男達らなんだ……
「臨海祭の天使ぃぃ!!」
「俺達のツインテ神さまぁぁっ!!」
――
「……」
他人の事は言えない気もするが、俺はなんだか面白くない。
「お、おまえらなぁぁっ!!この女は俺のパーティの一員なんだよっ!!後からしゃしゃり出て来て適当に盛り上がってんじゃねぇ!この有象無象がっ!!」
俺はさっきまでの鬱憤が溜まっていたのだろう――
”きっと”そうだ。
そうじゃなければ――
こんな、普段の俺からは考えられないような、
最前線で戦う如き目立つことを!
柄に無い行動で必要の無い争いに参戦するようなことを!
純朴で繊細な一般人代表の鉾木 盾也がするわけが無い!
「…………」
そう、決して手前勝手な嫉妬とか独占欲とかでは……
ステージ上から困り顔で佇む羽咲を見る。
――いや、だって……
仕方ないだろう?
――お、俺だって男の子なんだし
「うるせぇぇっ!!引っ込め!鉾木なんとか!!」
「イカサマ野郎!嘘つき!ほらのきぃぃ!!」
「ソコを退けー!!鉾木ぃ!そこをのけぇっ!!」
そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ! そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ! そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!そっこのけ!
――う、しかし……すごいシュプレヒコールだ
これ以上は不味い、本当に暴動に……
「どうもありがとしたぁぁ!!」
結局、俺は――
大会委員長の禿げたオヤジから賞金と副賞のチケットをふんだくる様に奪い取り、簡易舞台袖の奥へと走って逃げ込んだのだった。
―― ―
「わたしがせっかく丸く収めよとしたのに……」
”どうして貴方はあんな無茶をするかなぁ?”という表情で俺を見る美少女。
――大会委員会控え室に一旦保護された俺達は簡易なテント部屋に居た
「お、お前は”副賞”目当てだろうがなぁ……」
ボソリと呟く様に反論する俺から、
「え?ええと……あはは」
途端に目を逸らして誤魔化す羽咲。
――ちっ!
「とにかく賞金は桐堂に、副賞は羽咲に……で良いか?」
俺は仕切り直してそう問う。
「うん……良いと思うけど。盾也くんはそれでいいの?」
「俺はもともと単位が取れて留年さえ無くなれば上出来だからな」
疲れた顔で俺はそう応えた。
「そう……なんだ」
そうだ、疲れた。
本当に今日はもう疲れた
早く帰って……寝たい……
ギシッ!
俺の直ぐ横でパイプ椅子が軋み、ふわりと良い香りが鼻孔をくすぐる。
「うっ?」
ふいに俺の座るパイプ椅子の隣に腰掛け美る少女。
「…………ねぇ」
彼女は美しい翠玉石の瞳で此方を見つめる。
――だ、だから近いって!?
俺は動揺を必死で隠すので精一杯だ。
体温さえ感じられそうな距離で、簡易な長テーブルに頬杖を着いて俺の顔を覗き込んでくるプラチナブロンドの美少女は――
今までに無い、いや?あったかもしれないが……それでも未経験の心理的距離だ。
「……」
この距離なら、もの凄く良くわかる。
陶器のように白い肌も、潤んだ翠玉石そのものの双瞳も、
そして……整った小さくて可愛い”桜色の唇”……も
「……」
この距離なら……彼女の桜色の唇……
もしかしたら届きそうな、そんな感じさえする、錯覚させる……
ゴクリッ
「ねぇ、って!」
――おっ!?
そこで俺は初めて!
俺が馬鹿のように見惚れていた相手に話しかけられていることに気がついた。
「う……ああ、な、なんだ?」
良からぬ妄想をひた隠し、俺は聞き直す。
「うん……あのね、なんであんなに必死になってたの?って……思って、その……べ、別にどうでもよいことかも……なんだけれど、ね……その……」
彼女は瞳を伏せて、遠慮がちに聞いてくる。
――必死?
――あ、あぁ、さっきのステージ上での事か?
「そりゃあれだ、ええと……なんも知らん男共が、ええと……あれ?」
「……」
ジッと観察するような翠玉石の双瞳に俺は明確に答えることが出来ない。
――あれ?なんでだ……このていど、今までだって
軽口で流すことも、冗談で茶化すことも出来たはずだったのに……
「…………も、もしかして、やきもち……とか?」
ぎこちない感じで彼女は答えを求める。
「…………」
「あの……盾也……くん?」
何時もと、今までと違う羽咲の表情。
そして咄嗟に的確な言葉が出ない俺も、どこかで”今までで無い”状況を望んでいたからだったからだろうか……
「盾也く……」
「そ、そういえば!桐堂はどうしたろうな!?」
「…………」
「ほら!大会本部に連れてきたときは完全に意識が無かったけど、ちょうど此所に御前崎先生が来てたから後事をお願いしたんだよなぁ?先生は責任もって医療班に引き渡してくれるって言ってたけど、見に行ってみるかなぁ?ははは!!」
「…………」
――うっ
羽咲は黙ったままで、急にペラペラと饒舌になって誤魔化す俺を見ていた。
「えっと……う、さぎさん?」
「…………ふぅ、そうね」
恐る恐る顔色を覗う俺に、彼女は一呼吸置いてから呆れたように微笑う。
「一度様子を見に行ってから帰りましょう。盾也くんも、今日は疲れたでしょうから」
その日の帰り道――
何事も無かったかのように他愛も無い話を楽しそうにする羽咲を見ながら、
もしかしたらあの時、ヘタレな俺に一歩だけ踏み出す勇気があったならと……
そんな俺の希望的観測の、能天気で利己的な蜂蜜漬け脳みそな鉾木 盾也は、それでもそんな日常に淡い幸福を感じていたのだった。
第24話「羽咲の心に希望的観測を?」END




