水深三メートル
水深三メートル。
薄暗く、薄明るいところ。
あなたと出会えるところ。
深い闇に墜ちそうになっていたわたしに、
手をさしのべてくれた。
光射す水面の見えるこの場所まで、
手をつないで連れてってくれた。
ここは水深三メートル。
わたしが生きられる限界のところ。
あなたと話せるところ。
わたしは闇の話をする。
わたしの足に絡まった、重くて冷たい鎖の話。
彼は光の話をする。
彼の家の庭に咲く、美しくかぐわしい花の話。
ここは水深三メートル。
光と闇が交差して溶け合うところ。
彼とわたしが交わるところ。