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弁当


「ねぇ、今後の参考までに知っておきたいんだけども、あなたの嫌いな食べ物って何?」

そうか明日は麗華さんの当番か。

「そうですね、豆類が苦手です。」

「そう、分かったわ」









「ふぁ~」

そろそろ起きるか。




「チッ

 あら、もう起きたの?」

何か舌打ちされたぞ?まだ起きたら駄目だったのか?

「えぇ、まあ。おはようございます。」

「もう少しでご飯のしたく済むから、それまで社会のゴミにならないようニュースでも見て勉強しときなさい」

「は、はあ」

朝から結構きついな。



「い、いただきます。」

目の前に盛られた朝食を前に言葉がつまる。


いや、まずそうなんじゃない。むしろその逆。

ていうか一流旅館の朝食みたい。見たことないけど。

ご飯、味噌汁に焼き魚。どれも光ってみえる。




「おいしい」

口にすると自然にその言葉が出た。

御世辞とかじゃなく、うん。本当においしい

「と、当然でしょ」

「いや、本当。僕も料理に関して少し自信があったんですけど、まだまだですね」

「そ、そう」

少し照れ気味か?

ちょっと愉快。




「はい、これ弁当。」

家を出る直前、麗華さんが手渡してきた

そうだった。今日から弁当だった

「ありがとうございます」


「・・・残したら・・・」

「だ、大丈夫です。絶対残しません」

今日の朝食の感じからすれば弁当の方も味は期待できるだろう。それに弁当箱も特別大きい訳でもないので量的にも心配ない。

「そう、期待してるわ」

ん?なぜ期待?

まぁいいか

「それじゃあ行きましょうか」

「そうね」








「おはよう」

教室に入ると小曾根さんが挨拶してきた

「あぁ、おはよう。小曾根さん」

「あ、ちゃんと覚えてくれたんだ」

「まぁね。って小曾根さんて、僕の後ろの席だったの?」

僕の後ろの席に鞄をおいて座る小曾根さんを見て言う

「そうよ。なのにまだ名前知らなかったなんてちょっとショックだったんだよ。それと顔を見たらクラスメートかどうかは分かるんだけどって言ってたけど後ろの人の顔をまだ覚えてなかったら相当なバカだなと思ってた」


「そ、それは申しわけございませんでした」

考えてみたら今の席は出席番号順で、‘く’と‘こ’なんだから当然かもしれない。


はぁ

ため息を一つついて、席に座った










「飯だ飯だ弁当だぁ、陽、今日こそ一緒に食おうぜ

4時限目終了とともにバカこと拓海がよってきた

「あぁ、今日は大丈夫だよ」


さて、弁当箱の中身はどんなのかな?

2段重ねの弁当の1段目をあけた。

そこにはおにぎりが3つ入っていた。

もう1つの方は?


・・・・・・・



「拓海、僕用事思いだしたから、一緒に食えない。悪い、また今度な」

「おい、急だなぁ」

「えっと、その生徒会の関係でな・・・」 

「そうか、まあいい。じゃあな」

「おう」

そう残して僕は弁当と共に急いで教室を出た



誰もいそうにない所・・・

あぁあそこがいい




1階の階段下の隅、そこに腰を下ろしてから、再び弁当を開ける




はあ




なんだよこれ・・・





弁当の2段目にあったのは“豆”

それも1種類だけじゃない。

大豆、枝豆、黒豆、グリンピース、その他よく分からない豆まで

それらが弁当の2段目の全てを占めていた

うん、彩りは素晴らしい。

しかもご丁寧に黒豆で「fight」という文字が作ってある。



ん?


ここであることに気付いた



箸がない。スプーンもフォークも



おにぎりは大丈夫だ。

でもこの豆たちはどうやって食べる?


弁当袋をのぞいてみる



こ、これは


爪楊枝・・・







高校初の弁当は散々だった・・・



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