対面
駄文ですが少しでも楽しんでいただければ幸いです。
気がついたらそこはベッドの上、というわけでもなく既に体温で暖かくなった廊下だった。
あぁ背中が痛い。
なぜこんなところに寝ているのか、なぜ頭がこんなにも痛いのか。わけが分からなかったがとりあえず立ち上がり居間に向かった。
「あら、意識が戻ったのね。とりあえずここに座りなさい」
「あ、はい。・・・・・て、エェェェ?」
僕1人だけのはずの家の中で1人の女性が食事を摂っていた。ていうかこの人見覚えあるぞ。
凛とした鼻と少し吊っている綺麗で大きな目はその女性の意志の強さのようなものを表し、とても整った顔をしていた。そして肩の少し下まで伸びた綺麗な黒髪は彼女の美しさをこれでもかというほど引き立てていた。
そんな超絶美人もとい、今日入学式で僕が見とれていた人もとい、
誠華高等学校生徒会長、神崎麗華が僕の目の前に、僕の家の中にいた。
やった、入学式の時は少し遠かったけど間近で見れた。わーいわーい。
ふぅ
なんで?
「あ、あの、どうしてあなたがここに?」
「それを説明するためにここに座れといってるのよ。全くそんなことも分からないなんて、あなた本当に人間?今日から爬虫類名乗ったほうがいいんじゃない?」
はぃ?
なんかものすごい罵声を受けたような気がする。
気のせいか?
「早く座りなさい、カメ」
「あ、っは、はい」
これ以上待たしたら何かやばいそうな事が起きると僕の第六感が告げている。
『・・・・・・・』
食卓を挟み対峙している僕達に沈黙が流れた。
痛い、痛すぎるよ。このオーラ。
彼女から口を開く気配はない。
このオーラに耐え切れず僕は命を振り絞って口を開いた。
「あ、あの、どうしてあなたがここに?
生徒会長の神崎麗華さんですよね?」
「えぇ、そうよ。今日からこの家であなたと暮らすことになったの。
もうあなたの両親とは話してるわ。なにも聞いてないの?」
えっとぉ、全く聞いてないのですけども。はい。
目が点になるとは今の僕の状況のことだろう
この人と僕が暮らす?何の話?
「・・は、はい。全く・・・」
「はぁ」
ため息つかないで、心臓に悪いから・・・
ジャジャジャジャーン ジャジャジャジャーン
突如僕の携帯から「運命」が流れはじめた。
このタイミングでこの曲はやばい。
うん?待てよ、この着メロは・・・
『もしもし、陽か?』
「父さん」
『おう、元気そうで良かった。実はお前に大事なことを言うのを忘れていた。
今日からうちで一人預かることになった。お前よりひとつ年上のスッゲー別嬪さんだぞ。
まぁ、仲良くしろ。じゃぁな』
「って、ちょっ待っ・・・」
くそ、きりやがった
はぁ、相変わらずテキトーなお方だ
僕の親は一度決めたら中々折れない。諦めるか・・・・
てか、彼女2年生なんだ。生徒会長だから3年と思ってた。へぇ凄いなぁ
僕をジーっと見ている彼女がいた
「え、えっとぉ、今聞きました。何かよく分かりませんが、よろしくお願いします」
「えぇ、よろしく。
それで、これから一緒に暮らすにあたってルールを決めたいんだけども」
「そうですね、どうしましょうか」
それから15分ほどで一通りルールが決まった。
・ご飯は交代制で作る
・掃除も交代制
・お風呂は声を掛けて入る
・お互いの部屋には勝手に入らない
・洗濯は自分のものだけする
・出かけるときや帰りが遅くなる時は連絡する
細かいことを言えばもっとあるが、ざっとこんなもんだ。結構平等に決められたと思う。
「なにか、他に聞きたい事はある?」
彼女が聞いてきた。
「えっと、それじゃぁ、どうして神崎先輩はうちで暮らすことに?」
「麗華でいいわ、家の中までそんな風に呼ばれたら疲れるから。
それでその質問に対する答えは、まだ言えないわ」
「そうですか、なら麗華さん、僕がどうして気絶していたか分かりますか?
どうも記憶が曖昧で。」
「さ、さぁね、何かに頭でもぶつけたんじゃない?ドジね」
「そ、そうですか、ははは」
何か知ってるな・・・
これ以上聞いたら機嫌が悪くなりそうだからやめておこう
その後僕は、風呂に入ることにした。とりあえず混乱した頭を落ち着かせたい。
そして浴室のドアを空けた瞬間思い出した。
何をってあれを・・・・・
そう麗華さんの綺麗なはだか
ブヲォッ
またか・・・・
僕はそのまま意識を失った。