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買い物

「えっと、買い物って何買うんですか?」



11時23分

僕と麗華さんは市内で一番大きいショッピングセンタ一に来ていた。


「そうね、本棚にタンス、CDデッキ、カーテン、食器、シャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔料、その他いろいろね。」


「はあ、いろいろですね。でも本棚とかCDデッキとか前の家で使ってたものは無いんですか?」


「え、えぇ。いろいろあって全部売ったの。

あ、でもお金は心配しないで。陽君のお父様から預かってるから。」

冗談のように麗華さんは言う


なぜだろう。

笑顔なのにどこか悲しそうな顔をしている。

何か変なこと言ったか?

それにこの顔、以前にも見たことある・・・


「そ、そうですか。じゃあ何から買いに行きます?」

「買いにいく前に何が食べましょ。少し早いけど」

「そうですね、荷物増えてからだと大変ですもんね」


僕達は早めの昼食をとることにした


ここのショッピングセンタ一の1階にはいろんな飲食店が入っている。僕達は簡単に済ませようということで、某ハンバーガー店で食べることにした。大して特別なこともない普通の食事だった。少しキツかったのは麗華さんは少食だったので僕より早く食べ終えてしまい、当然僕を待つことになったんだけどその時の表情がね・・・うん。


食道の切り口の円周が2.5mm程広がったね、多分。





その後も殆ど予想通りに買い物は進んでいった


何が予想通りって、そりゃぁ僕の両手の自由がドンドン奪われていくことだよ。それとそれに対して僕は従うことしか出来ないということもかな?

まぁ、いいさ。このお方と買い物に行くと決めた時点で今日の僕の両手の使い道は理解していたし、覚悟もしてたし、何より諦めてたさ。


でも1つだけ意外だったことがある。

それは麗華さんの選ぶ商品の特徴だ。僕はこの人のことだから、シンプルなものを選んでいくと思っていた。が、麗華さんはどこか可愛い系のものを選んでいる気がする。例えばカーテン。薄いピンクの生地に模様はカラフルな水玉。その他にもどこか可愛さにポイントを置いたものを買っている。

趣味が悪くはない、むしろ良い方だと思うが、いつもの麗華さんのイメージを考えると少し意外だ。

もしかすると案外あのいつものキツい感じの態度は素直じゃないだけなのかもしれない。そうだとしたら、結構・・・・・・・


「なに福笑いで失敗してできあがった様な顔でこっちを見てるの?気持ち悪いからやめてくれる?」





うん、前思撤回。















食器を買うべく、いろんな食器を見ていた。



あれ?麗華さんの動きが止まった

何か気になるものでもあったのか?

麗華さんに近づいてみる。

麗華さんは1つのマグカップを見ていた。なるほど確かに麗華さんの好きそうなデザインだ。


「それ買うんですか?」

すると麗華さんはビクっと肩を振るわせた


「い、いえ。ただ見てるだけよっ。それに・・・」


「それに?」

何を慌ててるんだ?


「と、とにかく見てるだけよっ」

麗華さんはそう言って別の物を手にとった


ああ、なるほど

このカップは単品じゃなくて、ペアなんだ。

あきらかに男性用と女性用の色違いのカップがセットで箱に入っている。

そりゃぁ買いにくいよな。つまり僕とお揃いの物を買うってことになるんだから。実際両方麗華さんが使うか片方はお蔵入りにしてもいいと思うけど、買うときどうしても意識してしまう。


「これなんかどう?」

そう言って別のものを見せる麗華さん。

でも視線はさっきのマグカップにある


しょうがないなぁ

僕は例のぶつを手に取る

「僕これが凄い気に入っちゃって買いたいんですけどペアなんですよね。だから僕がこっちの色のを使うんで麗華さんはこっちの使うってことで買ったらいけませんか?」


「え、ほんと?・・・ンン・・・しょうがないわね、陽君がどうしてもって言うならお揃いっていうのは気に入らないけど、買ってもいいわよ」


とても嬉しそうだ

「わーい。ありがとうございます」


やっぱり麗華さんは素直になれないだけなのかもしれない







「麗華さんって可愛いですね」




「え、ちょ、なにいきなり・・・・・・」









グフッ








胃に拳の跡がついた・・・・・・多分・・・・・・



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