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3点スキルと食事転生、食いしん坊の幸福無双〜メシ作るのに貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜  作者: 幸運寺大大吉丸@書籍発売中


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第34話 そんなフラグ立てるから

-side リアム-




 現場に着くと、責任者が出迎えてくれた。



「ヘンリー様、リアム様、ようこそおいでくださいました」



 事前に連絡が通っていたらしく、Sランク冒険者のレオンは多くの人に歓迎されていた。

 慣れた様子でレオンが対応する。



「それで、俺達はなにをすればいい?」

「ええ。レオン様達にはこちらが、指定した場所で出来るだけ敵の数を減らしていただきたいですね。ポジションに関しては希望通り、前線に配置いたします。出来れば、降伏させた後、捕虜にするのが1番良いですが、出来なくても構いません」

「わかった。善処する」



 出来なくても構わない……、か。つまり、容赦なく命を奪う以外に選択肢なしと。

 ここはまだ、近代的な兵器が開発される前の世界だ。大きすぎる戦争というのを経験したことのない世界。つまり、こういった争いが至る所で行われているらしい。

 故に、1人あたりの命は人間が強くなりすぎて、争いが起こりにくくなった地球と比べると軽視されている。



 だから、地球上の高所得国に住んでいると当たり前すぎて、気にもとめない“人権”のありがたみをこの世界に来てすごく感じるな。

 価値のない人間だと判断されたら、戦争の最前線などの過酷な労働環境でひどい扱いを受けるから。

 “最低限”という扱いが決められていないと、こうも人間は他の奴に対してクズになれるものかと。

 戦場でのこの一場面はこの世界に来て初めての複雑な感情を抱いた瞬間だった。



 さて……と、暗い話ばかりになってしまっているが、まあ郷に行っては郷に従えという言葉もある通り、割り切るしかない。

 でないと、俺もこの世界で価値のない人間だとみなされかねない。

 というわけで、戦争で生き残るためにレオンの動きをまずは良く観察することにした。



『すげーな。あいつ。分かってたけど、口だけではなかったのか』

『うむ。あやつ人間の割にはなかなかの動きだな。一人での仕事量もなかなか』



 最強従魔の2匹が唸るほどの腕前だ。俺もそう思う。動きに無駄がないな。近接戦闘では建物をうまく使いながら、1人で3人を相手にし、10人以上のヘイト稼ぎ、かつ魔法で味方のカバーをしっかり入れる。



 集団戦闘に長けている人は一人で何人分もの仕事をするというが、まさしくレオンはそれが出来る人なのだろう。

 視野が広のに、敵のことを見つけるスピードがはやいからエイムも正確だ。

 血生臭いどんよりとしたレオンが戦いに参戦する前の雰囲気と比べ、戦場にいる兵士の士気が格段に上がっている。

 そうさせるような魅力的な戦い方である。



『あれで、普段もまともだったらモテまくってただろうに』

『仕方ないのう。コミュ強のくせに、根暗だから、リアム以外の友達もどうせ特におらんのだろう』

「(正解。この短時間でわかるとは流石シルバーだね)」

『ふん。分かりやすすぎて余裕だのう』



 あ、今レオンが放った魔法のエイムがぶれた。



「(たしかに。レオンの言った通りエイムの乱れは心の乱れだね)」

『ああ。まさにそうだな。だが、もう少し揺さぶって検証してみようぜ!』

「(お前ら。他人の命を平気で弄ぶ真似を仕上がって)」

『そんなこと言ってもよお。お前の体には結界魔法も貼ってあるし、補助魔法で常時スタミナも回復する様にしてあるし、そもそもお前が強すぎて戦いになってないしでつまんないんだよな』

『そうだのう』「(確かに)」

「(はー。そんなこと言っていると、お前らも面倒ごとに巻き込まれて戦いに巻き込まれるぞ。)」



 レオンが呆れた様子で言った。



「(ちょっ。やめてよ。変なフラグ立てるの)」

「(ふんっ。だったら大人しく俺の動きでも勉強しとくんだなあ!)」



 レオンはドヤ顔しながらそう念話で伝えてきた。



『なんだあいつ。本当に俺たちが面倒ごとに巻き込まれるとでも思ってるのか?』

『そうじゃのう。そんな面倒ごとがあればむしろかかってくれば良いのう』



 そんな、ドヤ顔戦闘中のレオンに対して辛辣な言葉を浴びせた自由従魔2匹であった。

 あ、またエイムブレてる。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 俺たちがいるところの戦闘はレオンのおかげもあり順調に推移し、投降してきた敵の兵を沢山捕虜にしたところで、1日目が終わった。俺の公式初戦闘は敵の数を減らすというより、味方の兵士を生存させる目的の魔法の援護射撃をしているだけでほとんど終わった。



「いやー。これでこの区域での戦闘はほとんど終わりだな。既に、ここにいた兵士の中には他の区域に移動を命じられた人たちも多いし、3日くらいで蹴りがつくかもな」



 レオンが意気揚々と話してくる。どうやら、王城にずっといてストレスが溜まっていたらしい。久々に動けてよかったとスッキリした顔だ。



「うん。そうだね」



 まあ……、確かによかったといえばよかったかな。



「どうした?浮かない顔して」

「まあ、人がこれだけ死ぬのを見るのは初めてだからね。落ち込んだというか」

「あー。言われてみればそうだよな。あまり信じられないが、お前のいる世界では戦争もあまり起きなければ、魔物との戦いもなかったんだっけ」

「うん。たまたま俺が生きていた時代が、争いごとが極端に少なかった時代というだけではあるかもしれなかったけど、そうだね」

「そんな世界、俺には想像もできないな。だが、確かにそうだったら、さっきの光景は衝撃なのも納得だな。俺には見慣れた光景だが、貴族の中には戦いとは無縁の文官も多くいる。そういう奴らが戦場に行ったら気絶すると言った話は有名だからな」

「こちらの世界にもそういう話はあるのか」

「ああ。ドライ王国みたいに大国に限った例だけどな」

「ふーん。あ……あとさ。これは聞き流してくれても良いんだけど。さっきから妙に胸騒ぎがするんだよね」

「おい。さっきの続きの冗談の続きかよ。こんにゃろ。……!!」



 レオンが俺に向かって頭をぐりぐりしようとした時、手を止めて急に当たりを見渡し警戒した。同時に胸騒ぎが強くなる。



『ふむ。主人殿の言っていることは本当だろうのう』

『ああ。この感じは。あれか……』



 その時、どこからか光がしたのが見えた。

 おそらく、俺にとっては大事な出来事なのだろうと悟らせるようなメッセージ性の強い光だった。



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