第32話 それぞれの役割
-side リアム-
『我が親の加護の効果は、“自分、もしくは自分が仲間と認めた者に対する悪意に敏感になる”だ。戦闘においても、普段の生活においてもなかなかに便利な加護だのう』
確かに。相手の心の一部分を読み取る加護か。相当強力だな。
「そ、それは羨ましいぜ。暗殺とかもされにくくなるだろうし、優秀な加護だな」
レオンの言う通りだ。俺とレオンが王宮にいることをよく無いと思っている連中は一定数いると聞く。ただ、みんな隠すのがうま過ぎて分からなかったんだよな。これから、王宮で誰と付き合っていいかが分かるかもしれない。
『ああ。流石は腐っても神の加護だぜ!悪戯神という呼び名の通り、自分は相手を引っ掛けたいけど、相手に騙されたく無いっていうのが滲み出てるのは、どうかと思うけどな』
「あ、あはは」
ロキも黒歴史が色々ありそうだからな。
『けど主人殿。加護はあくまでも加護だからの。過信してはいけない。あくまでも、敵意に敏感になる程度だからのお。信じられるのは己の実力だけだと思っといた方が良いな』
「わかった。肝に銘じるよ。ところでさ、ロキ様からもう一つ聞いたことがあって」
『なんだ?』
「いや……ね。ノアが、凡人で弱き者だから俺のことを裏切る……っとね。その証拠に、ヘンリー様が俺の親だと言うことをノアが隠していて、一旦俺を洗脳してから教えようと国王と話している記憶を貰ったんだ」
『『「……」』』
あれ、みんな黙っちゃった。
『主人殿。ワシは知り合ったばかりでよくわからないが、自分の親の存在を知ったことを、そこまで何も無いように冷静に受け止められるのはすごいのう。しかもそれを、隠していたノアとかいう奴に対してもまるで興味がないようだ』
「確かに。自分でも、驚くほど冷静に受け止めている。というか、今思うとなんとなくそれらしい素振りをヘンリー様もノアもしていたからな。俺を洗脳しようということも学園に入る段階でそうなのかなと思ったし」
『お前、強いな』
「それ、ロキ様にも言われた。強き人間だって」
「ふっ。まあ、その話が本当だったら、一度戻って調べる必要があるな」
『そうだな。シルバーもいることだし護衛を任せて、俺が透明になって王宮内を色々調べまわるってことも可能だぜ!』
「おお。助かる。ぜひお願いするよ」
そう言って、食事は終わる。帰り道も、行きと同じでルーカスの上に乗ることになった。
『まさか、ドラゴンの背に乗る日が来るとはのう。人生何が起こるかわからんものだ』
シルバーは俺に抱えら、ワクワクが止まらないようだ。
『ガッハッハ。初めてか!だったら、俺も頑張らなくちゃな』
ん……?なんか、また嫌な予感がするんだけど。
「ちょっと待って、ルーカス。張り切り過ぎは良くない。一旦おちつ……」
『じゃあ、行くぞ!!』
『聞こえてないみたいだぞ。主人殿』
「そ、そんなーーー」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
帰り道もジェットコースター並みのスタートダッシュだった。しかし、これで5回目くらいになるルーカスジェットコースターだ。
人間の適応力というのはなかなか良くできている。だんだん慣れてきた。
お陰で暇になったので、俺はこの世界に来てこれまで出会った人物達ことを振り返りながら、ノアとそして俺のことを考えることにした。
この世界に来て1、2ヶ月経ち様々な人と出会った。そして、薄々気づいた事がある。
俺がこれから関わりそうだなと思う人たちはみんなキャラが立っているという事だ。
ルーカスは世話役。
レオンは師匠。
イーサンは国王。
ヘンリーはおそらく実の父親。
アレクやリサなどの屋敷メンバーは家族。
シルバーはもふもふ従魔。
ロキはトリックスター(神話や物語の中で神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者)。
まだ分かってないけど、キールやクズガー、山でレオンに返り討ちにあったスパックにも役割があるのかもしれない。そして、レオンやミラ、シルバーやロキなど俺に対して何かアクションを既に起こしている者たちが多い。
最初は異世界だからイベント的なのもあるよな程度に思っていたが確証はなかった。
だが、ロキが出てきて確証した。彼女は、俺に何を伝えようとしていたのだろうか。もし、ノアの記憶が本物だった場合何が起こるのか。
分からないことと言ったらもう2つ。
俺とノア、ミラの役割だ。特に俺の役割。これに関しては、本当に分からないんだよな。
自分で自分のことを分析することは難しいから仕方のない部分はある。
ただ、ここまで他の主要キャラが動いている中で、俺がアクションを他の誰かに起こしたというのはないんだよな。
そもそも、俺は転生者だし役割を求められてないのかもだけど。最初にノートとエマって言う今思うと胡散臭い神様達も何もやらなくていいって言ってたし。
まあ、強いて言うならみんなに幸せになってほしいくらいかなあ。
昨日のロキは、ノアを弱き者で、俺を強き者と言っていた。ノアが弱き者なのかどうかは確かめてみないと分からないとして、俺が強き者か。
うーん。その意味も良く分からないな。強き者になる方法とかあるのかとか聞いておけば良かった。ノアに関してもなんらかのアクションがあれば、もっとわかるんだけど。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「リアム。リアム!おい!」
「あ、ご、ごめん」
『どうしたのか主人殿。今朝のニヤニヤ顔から一転辛気臭い顔していたではないか』
「う、誰にでもニヤニヤしてしまうことはあるだろ。少し、考え事してただけだよ」
『夢を見て涎垂らしながら半目になってニヤニヤは良くはないが。ワシでよかったら後で聞くぞ』
うっそ。俺どんな顔して寝てたの?
というか、ルーカス、絶対それ魔法で保存してるような気がする。やらかした。
『ゲッヘッヘ。やっと気づいたか。お前の弱みもゲットだぜ。それより早く降りろ。ついたぞ』
「う、うん分かった。分かったから手荒にしないでくれ」
完全に今のセリフ盗賊団がアジトについた時のセリフと同じなんだけど。俺、この先何されちゃうのー。
『ぼさっとしてないでさっさとあるけ!』
「あいで。わ、分かったから」
「それはそうと、さっきから王宮内が騒がしいな」
確かに。何かあったのだろうか。そう思っていると、向かい側からヘンリーが走って来た。
「た、大変です!ノア様とミラ様が拐われてしまいました」
「なんだって!?」
どうやら、噂をすればこれがノアから俺へのアクションなのかもしれない。しかし、なんのだろう?
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