第31話 もしかして、ポン!?
-side リアム-
その夜、カオスな仲間たちに散々振り回された俺はそのまま泥のように眠った。
そして、再び夢を見た。
………
……………
「やっほー。リアム君」
今度の夢は別の場所だ。おそらく、ここは神界。前にも一度来たことはあるから分かる。目の前に10歳くらいの、白髪青目の天使のような美少女がいた。
しかし、見た目とは裏腹に異質な空気が漂っている。決して油断してはいけない、と俺の本能が言っていた。
「………いや、誰?」
「私はロキだよ。よろしくね」
「……ああ!シルバーの親か。これからお世話になるね。こちらこそよろしく」
「……うん。まさか、うちの子が人間の従魔になるとは思わなかったから驚いたけど、君の異質さを見て納得だね。強きものよ」
異質という言葉の部分、そっくりそのまま返したい気分なんだけど。まあいいか。
「え?いやいや、俺は強く無いよ。レオン達とかみたいには」
「そういうところだね。はあ、まさか神の力が君には通じないとは思わなかったよ。そちらの方が面白いけど」
「ん?なんか、力を使っていたのか?」
「魅了だね。この姿は君の1番タイプの子になるように設定しているんだけど、そんな子を目の前に冷静すぎるね。普通の人なら、魅了をかけられた時点でこちらの思うがままだけど。意識を保っていたということは、強き人間であることの証だ」
「流石に、タイプの子が目の前に現れたくらいですぐ魅了にかけられる人間なんて、そうそういないんじゃ」
「いいや、そういう弱き人間は世の中には沢山いるよ。君の近くにも。そう、例えば、君の親友であるノアみたいにね。彼は、間違いなく弱きものだ」
そう言った、ロキの横顔はなぜか恨みのような感情がこもっているようだった。
「え?ノアが弱き者?あれだけ聡明で人間が出来ている人が?」
「精神的には凡人だよ。彼は。彼みたいな人はすぐに裏切る。流石に普通の人間だったら、見逃していたけどね。シルバーだっけ?
我が子の主人になる人間は違うよ。私は君に傷ついてほしくないんだ」
ロキは俺の頬を撫でる。無機質な手だ。
何も感じない……、が、俺の中にとある記憶が流れ込んできた。ノアの記憶だ。
「……!!」
ヘンリー様が俺の父親?ってことを言えずにいた……、か。そして、王様と一緒にノアは俺を洗脳しようとしている?
「分かったかい?ノアが君にしようとした事」
「まだ、この記憶が本物と決まったわけではないだろ?」
とりあえず、ロキのことも信用できないし、帰ってから情報収集だな。
「……!!そうでなくては!!ククッ…。やはり君は面白い!!」
並々ならぬ狂気を感じ、逃げようとするができない。そういえば、ここ夢の中だったな。
「気に入ったぞ。そんな君には私から加護を授けよう」
「………え?いらないんだけど」
「クックック…。やはりいるよな。泣いて喜べ。…………へ?」
「……え?だからいらないんだけど」
ポカーン。
この子はなぜ呆気に取られた顔をしているのだろうか?普通に考えて、狂気じみているオーラを纏っている神からの加護なんて、もらいたい訳ないと思うんだけど。
「………………………。クックックック。それでこそ、それでこそ君は面白い!!」
あの……、そんな大事でもなさそうなこと2回言われても困るんだが。
「………。お主が何を考えているかなどこちらには、筒抜けなんだからな。だから、敬え!私を」
「ああー。だから、その反応か」
どうやら、動揺して2回も言ってしまったらしい。しかもそのことを相手に悟られてしまう言動付きだ。ん……、待てよ?
もしかしてこの神様ポンコ……。
「さっさと加護もらってこっから出てけーー!!」
「う、うん。ってそっちから呼び出したんだろーがー!」
……………
………
『リアム。リアム』
起きると、ルーカスとシルバーが覗き込んでいた。
「あ、ああ。またうなされていたか?」
『いや、ニヤニヤしていた。気持ち悪かったから、ぶん殴ろうと思ったぜ。とっとと飯作れ』
「…………。口悪くないか?」
『仕方ないのう。あの顔は、見せてはいけない顔であった』
「ど、どんな顔だよ!?」
「ふぁあーーあ。お前ら、朝はええな」
「お、おはようレオン」
「おはよう」
誰かが、おはようと挨拶してくれる朝は目覚めが良い。
「うん、飯でも作るか!」
そう言って俺はご飯を作ることにした。今日作るのはエッグベネディクトだ。パン焼いて、ベーコンやサーモンと半熟卵を上に乗せ、卵黄、バター、レモン汁、塩胡椒、マヨネーズを混ぜたオランデーズソースをかければ出来上がりだ。
「できたぞー」
『よっしゃ。さっきからいい香りがしてたんだよなー!』
『ふむ。確かにいい匂いだな』
「シルバーそこは香りって言った方がいいと思うぞ。匂いってのはマイナスイメージもあるしな」
レオンが注意をする。時々、こうやって、言葉遣いとかを直されたりするんだよな。本当にできる兄貴だ。
『確かにそうであったな。ワシは長らく人と関わってない故、忘れておった』
「これから、楽しめればいいんだよ。ロキ様にも頼まれたし、よろしくね」
『な、なぬ?そ、そういえば、朝起きた時から貴様から我が親の匂いがすると思ったら』
「あ、そこは匂いなんだね」
『う……、まあ、間違ってはないだろう』
シルバーにとってロキの匂いは無意識にマイナスイメージなのかもしれない。あの様子を見たらなんとなくわかる。
『確かにお主には我が親の加護がついておるな。全く、変なのに目をつけられたのう』
自分の親を変なのって……。
『そんなことはいいから早く食べようぜ!』
「ああ。そうだった」
いざ実食である。
--パクリッ!
「美味いな」「うまい」
『美味しいぞ』『うむ』
まあ、エッグベネディクトってお洒落な言い方しているだけで、トーストにベーコンと半熟卵乗せて、マヨネーズかけとけばそりゃ美味いよなっと。朝にはちょうどいい食べ物だ。
「ところでさ、ロキ様の加護って、どんな効果があるの?」
『ああ。加護自体は別に強いぞ。貰っておいて損はないだろう。効果は……』
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