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第22話 ヘンリーとの話

-side ノア-




 王宮にある書斎に戻った僕はいつも通り仕事をしていた。10歳で出来る仕事といったら限られているけど、どうでもいい書類にサインするくらいは慣れとけということらしい。



 しかし、たまに考えなければいけない書類もある。おそらく、父上か兄上が僕を鍛えるために紛らせた書類だろう。

 全く……。2人ともいい性格をしている。



 基本的に、王族の実務仕事は各省庁の利害関係の調節だ。例えば、この国には国全体の犯罪を取り締まる警察省と、新しい産業育成や既存の産業の発展を担当する産業省がある。この2つの省庁、結構よく利害が対立するのだ。産業省が、観光業を発展させたいと考えたら、入国管理を緩める必要がある。沢山の人が観光に来た方がお金が入るからだ。

 ただし、沢山の人が観光に来るという事はそれだけ犯罪が増える《《可能性》》があるという事だ。そうすると、警察省は犯罪を未然に防ごうという考え方に基づいて動いているため、犯罪が増える可能性が出ただけで、入国管理を維持もしくは厳重にしようという圧力をかけようとする。

 他にも、何か新しい産業が出ると、このような犯罪リスクが増えるのでいかがなものかという議論が増えるのだ。



 ここで、勘違いして欲しくないのは、省庁で働いている官僚はまじめに働いているだけという事である。省庁とは一つの商会のようで、官僚は、この国の商会で働いている一般職員のようだ。ただ、何を目的にして働いているかで、意見がぶつかっているというだけだ。

 これを解決するのが政治の役割ではあるけれど、難しいなと思う。利害関係がぶつかった場合、必ず犠牲になるものが出るからだ。

 だから王族にはある種のわがままになれる素質が必要なのかもしれない。いい子ちゃんでみんなの意見を聞いていたら、より良い方向に国を導く事はできないのだから。

 だから僕には向かないな。この仕事。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 そんなことを考えている僕に、予定通り来客が来た。



「ヘンリー様がいらっしゃいました」

「うん。通して」



 しばらくすると、黒髪黒目の鍛えられたダンディ伯父さんがくる。



「よお。しかし、お前も大変だなあ。書類の量多すぎだろ」

「いや、別に好きでやってることだしね」

「はあー。これだからいい子ちゃんは」



 ヘンリーから見ても、いい子ちゃんにみえるらしい。思わず苦笑いしてしまう。



「あはは。ヘンリー様も忙しいだろうし、早速、呼び出した要件を言いますね」

「おう」

「単刀直入に言いわせてもらう。貴方はノアの父親ですか?」



 ちなみにこれはハッタリである。別に、彼がノアの父親だと疑っている訳ではない。

 僕に届いている情報にも、リアムはクズガーの子供であると書いてあったからね。

 本当に知りたいリアムとの関係を聞き出すためにあえて、大きくふっかけてみた。



「……へえ?なんでそう思うんだ?」



 え、何その間怖いんだけど。と思ったが、表情には出さない。王族として、ポーカーフェイスには自信がある。



「今回のリアムとレオン招待の件、不自然な点が多すぎるからね。まず、僕が報告してから招待するまで異常に早かった。3週間くらいかかる王宮への時間が1、2週間というのは何か上層部の間で力が働いた証拠だろうね。

 加えて、リアムの出迎えに今回戦争でお世話になるとはいえ、王族である伯父さん自ら出てくるとは。自分が関わっていると言ってるようなもんだよ」



 とりあえず、僕がここ最近違和感を感じた出来事をあげた。リアムが彼の実の子供かはともかく、明らかに、今回のことに関わっているとは思うし、言い逃れさせないためにも。



「……はあ。その様子だと確信しているようだな」



 んん……?



「まだ、確証があるわけではないが、リアムは俺の子供な可能性がある」



 ……………?



「は、はあああああ?」



 いや、ハッタリだったんだけど。勝手にそれっぽい理由言ったら吐いてしまった。この国には、もし貴族と平民の間に子供が生まれたら平民の方は側室にしなければならないという法律がある。子育て費用を貴族側が負担する必要があるからだ。



 そしてそれは、王族とて例外ではない。

 リアムの母親を側室にせずに、子供かすら分からない状況という事は、ヘンリーが明らかにこの国の法律に違反しているという事である。父上やその側近がこのことを知らないはずはないと思うし、どういうことだろう?

 というか、本当だった場合、僕はリアムの従兄弟ってこと?



 さまざまな疑問や考えが浮かび上がり整理できずに沈黙していると、「なんだ?そんなに驚いて。お前が、言ったんじゃないか。しかし、よく俺とリアムが親子ではないかって分かったな。」と言ってきた。



 いや、分かってなかったんだけど。

 正直言ってドン引きしている。



「ところで、なんでリアムがヘンリー様の子供だと思うの?」

「ああ……。まあ、お前が生まれる前のことだ。ツヴァイ王国と戦争があったのは知っているだろう」



 ここドライ王国は、ざっくり国境の半分が海に面しており、1/4がアインス王国に、1/4がツヴァイ王国に接している。

 20年前、父上がツヴァイ王国と戦争して勝ったことで、さまざまな利権を奪いとり、この国を大国に成長させた事はドライ王国庶民の間では有名である。



「うん。ツヴァイ王国に勝って以降、ドライ王国は急成長を遂げたんでしょ?」

「ああ。そして、リアムの母親はツヴァイ王国の貴族の令嬢だったんだ。もっとも、知り合ったのはドライ王国が戦争に勝ってからかなり後だったが。彼女との出会いは、冒険者時代だ。冒険者は訳ありのやつも多いから、俺も彼女の出自を聞かなかった。彼女にも俺が王族という事は伝えていなかった。

 だが、その事が仇になったんだ。俺の初めての妻になる予定だったんだが、王家が身元を調べた結果あっさり分かったからな」

「……。それで、敵国の貴族の娘と子供だから見捨てた……と」

「そういう事だ。もっとも、リアムが生まれたのは、別れた後だと思うが」



 利権を奪いとって戦争に勝ったと、多くの人には伝わっているが、それは、言論統制が行われているこの国内部でのこと。

 ドライ王国の実効支配区域が増えたことはツヴァイ王国も認めてはいる。しかし、両国間に平和条約は結ばれておらず、休戦協定が結ばれているだけなので、他国からみれば、戦争はまだ続いている状態だ。

 つまり、言論統制を行っていない貴族の間では、明確に敵国であると認識されている。



 それにしても……「ヘンリー様はクズだね。もし、リアムにドライ王国王家が彼を見捨てた事があったとバレたらどうつもり?」



「う……。若者は正義感が強いから、はっきりいうなあ。俺が気にしてたのはそこだよな。知らないのなら、知らぬ存ぜぬで通してたと思うぞ」

「はーー」



 面倒くさいことになったな。どうしたものか。まあこの件に関しては、後で1人の時に考えよう。



「それで、だったらクズガーとリアムの関係とかも知ってるの?」

「それについては分からん。だが大方、ツヴァイ王国のご機嫌取りかと」

「はーー。なるほど」



 ドライ王国と敵対していたクーデター前のアインス王国では、ツヴァイとフィーア両方のご機嫌をとった方が良かったのだろう。

 しかし、これは、どう説明したものか。

 彼がいくら転生者で関係ないとはいえ、自分の出自が分かったら、いい気はしないだろう。まだ確定情報ではないとはいえ信憑性は高そうな情報だし、伝えないわけにはいかないよねえ。



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[ランキング]

16位 ヘンリー(意味:家庭の支配者、家庭の統治者)

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