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挿絵(By みてみん)


別館に戻る間も涙が出た。


悲しい寂しいという想いもあるのだけど

それよりも

(私は、お父様とお母様の子供で良かった…)

という感謝に近い想いが湧いたのだ。


前世の親達とは大違いの今世の両親。


亡くなってしまったけど…

(愛し合ってた二人の子供である事が誇らしい)

と心の底から思えた…。


********************


しかしーー

伯父の話に出てきた冒険者ギルドのギルマスやらSランク冒険者についてだが…


(冒険者業界にお母様と懇意だった人達がいるのなら、それは私にとって有利な事なんだよね?…)

と思えるかどうかという点ではイマイチ確信が持てない。


母レベッカの崇拝者達が皆、その遺児に好意的になるとは限らないからだ。

(侍女長みたいな人もいるし)


ただ、まぁ

「嫌いなヤツの子供だからネチネチ虐めて身代わり報復の標的にする」

ような事をされるよりはマシか…。


世の中の大人が皆公平とは限らない。


辺境の大人達は皆マトモなように見えていたけど…

それは私が領主の娘だから

「ボロを出さないように気を張って取り繕っていた」

可能性がある。


大人は子供と違って取り繕える二面性が進化している。

表面と内面が大きく乖離している場合もある。

私には「大人達の公平さ」を無条件で信じてあげる事ができない。


「『頼っても大丈夫か』を確認するためにも、早目に接する機会を持てたら良いんだけど…。本部ギルマスとかSランク冒険者とかに気軽に面会は申し込めないよね」


頼りたくてもツテがない。


そもそもカツラ被ってダテ眼鏡掛けて冒険者登録してるんで

「レベッカの娘だ」

と、向こうのほうから察してくれる可能性は低い筈。


よって

(…基本的に「誰の世話にもならずに済むように」という方針でいよう)

と思うしかない。


そうと決めてしまえば気持ちも落ち着く。

私はいつも通り

室内の物に自分の魔力を込めてテリトリーを強化した。


(いつも身に付けるアクセサリーや武器にも魔力を込めて御守りがわりにしたい…)

と思い

(どんなアクセサリーや武器を選ぶべきだろうか?)

と脳内でアレコレ欲しい物を思い浮かべてみた。


ガーターリング。

ガーターリングに装着できる鞘付き小型ナイフ。

どんな服装にも合うブレスレット。

どんな服装にも合うピアス。


そういう小道具を仕入れて

常に魔力を込めて常に身に付けるようにすれば

「私は粗末に扱われても良いような、そんな人間じゃないのよ」

という品位ある雰囲気が出来上がり、ちゃんと御守り代わりになる気がする。


(そう言えばお母様はいつも同じペンダントと指輪をしてた)

と、不意に思い出す。


夫の瞳と同じ色の石が使われたアクセサリー。

それを「御守りにしよう」と定めて使っていた、という事なのかも知れない。


私はもう結婚さえできなくなってしまったけど

「いつか大事に想う人ができたりするのかな?」

と未来の人間関係に対してボンヤリ期待したくなる。


(だって今世では美少女だし、もしかしたら「好きです」とか告白される経験もできるのかも知れない…)


好意の告白というのは少女漫画などの作り話の中だけのもので、本当は誰もそんな行為はやってなかったのかも知れないと、ふと思いそうになるが…

真偽のほどは分からない。


「普通の人間関係」というものを体験できなかったので…

普通に友達がいて普通に好きな異性がいる普通の人達の心理や行動が私には分からない。


(私は色々とズレているのかも?)


ともかく欲しい物を買い物リストさながらに蝋板に書き付けておく。

紙は貴重なので買い物メモとしての使用は流石にもったいないのだ。


と言っても、今の時点ではまだ「もったいない」はさほど説得力がない。

伯父は私に衣食住を提供してくれる。

私は今後の収入を生活費にではなくお小遣いにあてる事ができる。

この屋敷を出る時までは生活に困る事はない。

問題は出てからだ。


衣食住の提供がなくなれば生活費は収入で賄う事になる。

ケチにならなければ暮らしていけなくなる。


今のうちから

「いずれこの屋敷を出て独りで生きていく時のために」

心構えを改めておいた方がいい。


本当に必要な物だけを買い

嗜好品には目も向けない。

そんな生き方は前世で慣れてる。


今世ではお金の使い方に多少の裁量権が与えられるので

「自分自身への投資」

としてアクセサリー類を購入するだろうが

「気まぐれな衝動買い」

のような事は前世同様に今世でもできない事だろう。


両親は子供に無駄遣いをさせる人ではなかったので、私も贅沢好きの我儘令嬢とかにならずにすんでるし、倹約生活は苦にならない。


(形見をお金に換金する羽目に陥いるような事は多分ずっとない筈…)


「お金は大事…」

私は無意識にそう呟きながら母の形見の宝石箱を

(何処に隠そうか?)

と悩み続けたのだった…。


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