あなたに私のすべてを捧げます
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エピソード【あなたに私のすべてを捧げます】のプロット・断片
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ユーレアツィヴティケネテスと対峙するエルラ。
エルラは、尋ねる。
サリクスはあなたの娘なのか、と。
ユーレアツィヴティケネテスは肯定する。エルラは親子に、再会を喜ばなくていいのか、と言う。ユーレアは、自分を殺しに来たのではないのか、と尋ねる。
エルラは答える。その必要があるかを決めに来たのだ、と。
さらに問いを投げるエルラ。あの日から胸に抱いてきた疑問。
「マモノを操って村を襲わせたのか?」――「否。そもそも村は外から来たマモノになど襲われていない」
「なぜ父の心臓を抉り、食べたのか?」――「彼は同胞。簡易的ではあれ、その流儀に則った弔いをする必要があった」
「自分を助けたはいいが、妹に手を出さないという約束を破り、剣に変えたのはなぜか?」――「沈黙」
「自分はあなたの眷属になったのか?」――「否」
エルラの問いに返ってきた答えは、エルラの欲していた内容ではなかった。エルラは混乱する。
村を襲ったのは外から来たマモノではない。外からでないというなら、内からか。それはありえない。
ユーレアは父のことを同胞と言った。それはどういうことなのか。ひょっとして父は魔族で、それをずっと隠してきたのか? いや、それよりは戦争時に関わりがあったと考えるのが自然か。
リリが剣になった理由については、ユーレアは口を閉ざした。知らないというよりは、何か隠すような沈黙だった。
自分は魔族になったはず。でなければ、自分の身に起こった変化はなんなのか。
困惑と不信感をユーレアツィヴティケネテスに向けるエルラ。
エルラの疑念に答えるよう、問いかけるユーレアツィヴティケネテス。
村のこと、父親のこと、母親のこと、そして妹のこと。
エルラは訝しみながらも問いに答えていく。
ユーレアツィヴティケネテスは尋ねる。生活や自分の立場について疑問を抱いたことはなかったか、と。
あの村は「本当に普通の村」だったのか、と。
それを自分への揺さぶりや挑発と捉えるエルラ。「あなたがマモノを操って村を襲わせたのでないなら、あの日、あなたがもっと早く村へ来ていれば、村が滅ばずに済んだかもしれないのに」と、つい零してしまう。
その言葉に、なぜか謝るユーレアツィヴティケネテス。「だがそんなことはあってはいけない話だ」と否定する。
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「……あの犬の村で、正気で居続けたのは、お前の父、と、マルセルと名乗る男、だけだった。すべては、我らが主、の欲するまま、にあった」
「何を言っているの?」
エルラにはユーレアツィヴティケネテスの言葉の意味がわからなかった。
「知り、たいの、ならば、お前の剣、に聞くがいい」
「どういう――、いえ、わかったわ」
エルラは両手剣を構えた。戦いを通じて語る文化があることは知っている。ユーレアの言葉をそのように解釈。
ユーレアツィヴティケネテスの術式。
「《我が身はここで朽ち去るのみ。我が主よ、永遠なるあなたにすべてを捧げましょう――》」
応えるようにリリも詠う。
『《手を伸ばすこともせず、夢見続けるのは愚かなことだろう。遠き影に惑うことなく、道を歩め。満ち足りることなく――》』
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エルラとユーレアツィヴティケネテスは激突する。
様子見のような大剣と剣槍の攻防。
そうしているうち、エルラはユーレアツィヴティケネテスとの戦いに奇妙な感覚を感じる。
既知の感覚。
エルラは、戦いの最中、過去のことを思い出した。




