第1章 29 夏休みのテーマパーク 前編
ピピピピッと鳴るアラームを止めて起きた楓は、まずカーテンを開けた。
「ん。」
半目で外を見ると雲ひとつない快晴であった。昨日見た天気予報通り晴れていて
ひとまず安心だなと内心思いながら身支度をした。
8時を過ぎると家に双葉がやってきた。
「おはようございます。楓くん。今日はいい天気で良かったです。でも暑いと思うので熱中症に気をつけてましょう。」
と朝見たニュースのお姉さんと同じような事を言ってきたので不意に笑ってしまった。
「なっ、なんで笑うんですか?」
「い、いや。お天気お姉さんみたいだなって思ったらクスっときただけだよ。それに晴れたのは良かったことだな。」
「はい。それじゃあ行きましょう。」
出るには予定より少し早い時間だったが朝の方が気温的に行きやすいかと思いそのまま部屋の電気を消しマンションを出た。
クマのテーマパーク通称「クマクマ」は若い男女がよく行くデートスポットであり大人から子供までもが知っているテーマパークである。楓たちのマンションからは1時間半くらいで着く場所にあり、最寄りの駅から乗り継ぎ、最終的にはモノレールで入場口まで行く事になっている。
「楓くん駅着きましたけど飲み物とか買っていきますか?」
「そうだな。スーパー見に行こう。」
最寄り駅に着くと長い間電車に揺られることになるので楓は駅の中にあるスーパーで飲み物を買った。
電車に乗ると休日の事と朝早いためか、かなり空いていた。
「あそこの角席ちょうど2席空いているから行こ?」
双葉に促されながら席に座ると双葉は欠伸をした。
「寝不足か?珍しいな欠伸なんて。」
「ああ、いえ。昨日楽しみすぎて少し寝れなくて…」
恥ずかしそうにそう言い放った。
「そ、そうか。それにしても今日の服いつもとはまた違う感じだな。落ち着いた雰囲気というか。」
「ほんと??えへへ。最近は可愛い系統ばっか着てたからイメージチェンジでレオパード柄のスカートにして見ました。あとは歩き疲れないようにスニーカーにしようと思ったんですけど…」
そこまで言ったところで耳元で「可愛く見て欲しかったのでブーツにしてみました。可愛い?」と聞かれた。
朝から刺激が強い囁きをされ楓は焦った。
「ああ。いいと思うよ。」
そう言うのが精一杯であった楓を見て満足そうな顔をした。
「楓くん。楽しみですね。」
ご機嫌な双葉とスマホでマップを見ながら目的地を目指した。
ようやくモノレールへ着くとクマクマのメインキャラクターであるクッキーの絵が書かれておりテーマパークに向かって走り出して行った。
双葉はもうこの時点でずっとニコニコしていてここまで表情を出してくれていることが楓は嬉しかった。
モノレールからパークを見渡すように二人で眺めていると大きな噴水やアトラクションの建物が見えた。
「初めてなのでワクワクしますね。楓君は何の被り物にしますか?」
「見に行かないとなんとも言えないけどいいのあるといいな。双葉は決まってるのか?」
そう聞くとスマホでカチューシャの写真を見せてきた。
「私はこのカチューシャにしようと思ってます。」
見せてきたのはクマの耳のついたカチューシャだった。
「カチューシャか。確かに日中は暑くなるしそういったものがいいかもな。」
そんな話をしているとモノレールは目的地に着いた。入場口の案内に従って進むとかなり多くの人がで入場口に整列していた。
「かなり人が多いな。」独り言をこぼす楓に「夏休みですしね」と隣を歩く双葉が言ってきた。
雑談をしながら入場口で並び、30分くらいすると中に入れた。
「やっと入れたな。にしても並ぶことが当たり前なのか日差し除けの屋根が着いてて助かったな」
「そうですね。」と言いながらもすこし汗ばんでおり、涼もうと二人で室内に移動した。
室内に入った途端クーラーが効いておりしばらく涼みながら被り物を吟味した。
「楓くんこういうのはどうですか?」
渡されたのはさっき見せてもらったクマの耳のカチューシャで双葉との色違いだった。
「俺もカチューシャか。俺は何となくサングラスにしようと思った。」
「そうなんですか?」
少し残念な顔をする双葉に負け楓はカチューシャを受け取った。
「まぁ、こういうところだしカチューシャでもいいか。」
「いいの?」
不安げにこちらを向く双葉に頷きカチューシャをもってレジへ向いそのまま会計をすると二人で色違いのカチューシャを着けた。
「じゃあ、どこへいきましょうか。」
嬉しそうに手を握ってきた双葉に驚きつつもこの人込みではぐれないように楓も握り返した。
「前に行きたいって言ってた室内のジェットコースターでいいんじゃないか?まだ暑いしお昼過ぎまでは室内アトラクションで暑さが落ち着いてきたら外に出ようか」
「そうですね。私もそうしたいです。では早速いきましょう」
双葉に手を引かれながらに移動しお目当てのジェットコースターのアトラクションまで来た。近くに行くほど悲鳴やら大きな声が聞こえてくる。
「暗いので意外に怖いですね」
並んでいるときは楽しそうにしていた双葉だが近づくにつれて口数が減っていった。
「暗いの苦手だもんな。大丈夫か?きつかったらやめれるぞ。」
「い、いえ乗ってみたい気持ちもあるので頑張ります。」そういうと手を放したかと思いきや腕にしがみついてきた。
「あ、ああ。わかった。」
戸惑いながらも必死すぎてこの状況に気づいていない双葉をみて逆に冷静になった楓であった。
(本当に大丈夫か?)
腕に当たるやわらかいものを感じつつ
ジェットコースターの前まで来た。
「では、こちらの床に1番と書いてある線でお待ちください。」と案内されるとそこは楓の予想通り一番前であった。
「か、楓君…腕離さないでね。」
「ああ。そんなにしがみつかれたら離せないしな。」
少しは腕を緩めるかと思いきやさらに強くしがみつかれた。
「はい!では順番に座ってシートベルトを締めてください!」
シートベルトを締めると腕にしがみつけなくなり双葉は不安そうな顔をした。
「本当に怖かったら目を瞑って手を握ってたらいいよ。」
「う、うん。でも楽しまなきゃだからせっかく一番前だし。」
そんな話をしていると「ガコン」と音が鳴り係員が話し出した。
「それではいってらっしゃーい!」
その合図とともにジェットコースターは動き出した。
最初は緩やかに始まり、だんだん登るように角度をつけしばらくしたら後ろから絶叫が聞こえた。
ジェットコースターを終えると双葉は意外にも楽しめたのか笑顔であった。
「楽しかったですね。意外にジェットコースター事態は怖くないですね。暗いのが怖かったですけど。」
「確かに楽しかったな。さすがにどの世代にも楽しんでもらえるように作りこまれていたな。」
「ちょっと最初からジェットコースターは飛ばしすぎましたね。少し早いですがお昼休憩しませんか?」
楓も朝、軽くしかご飯を食べていなかったためお腹が空いていたので賛成した。
向かった先はハンバーガーが大きいと昨日調べたサイトに載っていたレストランにした。
「おおお。随分とアメリカンなサイズのハンバーガーだな。」
「そうですね。お店の雰囲気が気に入ったので入ってみたら想像よりハンバーガーが大きいですね。このサイズは一人では厳しそう…」
二人は悩んだ末、ハンバーガーのサイズが大きく一人では食べきれないと二人で半分に分け合うということにした。
「うん。ピクルスがいい感じに味を利かせてて味がしつこくないな。」
「そうですね。手で食べるというよりはナイフで切り分けれる前提で作っているみたいで食べやすいですね。」
「そういえばもう遅いんだけどハンバーガーでよかったのか?ほぼ俺一人で決めてしまったけど。」
「はい。こういう場面でしか中々食べれないから食べてみたかったんです。」
「そうか。たしかに基本バランスの取れた食事を作ってもらっているからな。確かに振り返ってみると俺もハンバーガーは久しぶりに食べたな。」
「じゃあ、食べ終わったところで少し休憩しつつ次のいくところ決めませんか?」
しばらく雑談を楽しんだあと双葉はパンフレットを取り出してマップを見せてきた。
「満腹で激しいアトラクションに行くのは色々と大変だから、休憩しつつゆっくり楽しもうか。」
2人は夜まで乗りたいものを乗りしっかりと楽しんだ。
お待たせしました〜。色々やる事終わったので
またちょこちょこ掲載します〜。




