第1章 21 隠し事
あれから1週間、好奇の目は減り、特につっかかってくる人もいなくなった。
楓は、帰ろうと席を立とうとすると、双葉が教室に入ってきた。
「楓くん、帰りましょ?」
特に連絡もなかったので急に誘われ驚いたが、断る理由もないので了承した。
「ん。わかった。」
淡白な返事で教室を出ると、教室の人達は特に気にする様子もなく、視線も感じなかった。
(何かしらあると思ったんだが。考えすぎか?)
楓は、つっかかってくるやつでもいるかと考えてたが、特にそんなことも無く普通に下校出来た。
2人で帰っていると双葉は、急に止まり少し悲しそうな顔をこちらに向けた。
「楓くん、隠し事してるよね? 実は、先週の朝教室で色々あったの知ってるんだ。でも楓くんそのこと言ってこないし、聞かないほうがいいかなって待ってたんだけど…」
楓は、まさか知られているとは思っておらず驚いた。
「知ってたのか。ごめん。」
「ああ、いえ。その謝って欲しかった訳じゃなくて、私のせいなのに…でもそんな事があったって楓くん言ってこないから私も楓くんに甘えてしまって、でも迷惑をかけてしまうのは良くないって思って自分のクラスでも話題になってたから、楓くんとは仲良くさせてもらってるって言ったんです。迷惑をかけてしまってごめんなさい。」
双葉は、楓に頭を下げた。
「はぁ…いや、頭を上げてくれ。俺は迷惑なんて思ってないし黙ってたのは俺も教室のヤツらには弁明したが分かってくれるやつが居なくてだな。それに噂なんてすぐ消えると思ったからだ。」
双葉は頭を上げ少し悲しげな表情をした。
「そんな顔するな。元々関係を持った時から遅かれ早かれ変に噂は立つと理解してたしそれでも関係を持ったのは俺だ。」
双葉の頭を撫で気にするなと慰めた。
「はい…。でもこんなに反響があるとは私も思ってなかった。そんなに目立ちますかね。何かと視線を感じますし用があるなら話しかけて欲しいくらいです。」
気にしていたことが解消されて双葉は愚痴をこぼした。
「目立つかは俺には分からない。他クラスだしな。でも双葉が良い子なのは分かるよ。それに、最近視線が減ったと思った理由も分かったし、気を遣ってるつもりが気遣って貰っていたなんて恥ずかしい限りだよ。」
楓は、笑いながら「ありがとう」と双葉にお礼を言った。
「い、いえ…そんな大したことはしてないです。」
双葉は、少し顔を赤くしながら手をブンブンと振って言った。
「まぁ、俺は気にしてないからさ、いつも通りでいいよ。」
「なら今度から隠し事は無しです。今回はたまたま知れたから良かったけど、ちゃんと言って?私が関係なくてもとりあえず困ったら話聞くから…あの、その頼って?」
双葉は自分でどう伝えていいか分からないのか疑問形であったが楓にはその思いは伝わった。
「ああ。ごめんな。何かあったら言うよ。まさか、先週自分が頼れって言ったことを言い返されるなんて変な感じだよ。」
楓は苦笑いをした。
「とりあえず、私が仲良くしているとお話はしたので周りの人に変に見られることは少なくなるとは思います。まぁあっても私は大丈夫なんですけどね。」
「いや、無いに越したことはない。改めてありがとうな。」
「うん!じゃあ帰ろ?」
双葉とゆっくりと帰った。




