第1章 11 敵襲
朝、楓は寝返りを打つと首が少し痛くなり起きた。
「ああ、朝か、、、」
楓は、あくびをしながら時計を見ると午前8時であった。
(なんで俺ここで寝てるんだ?)
楓は自分のベットで寝ていないことに疑問を持ち、昨日のことを思い出した。
「あ、茅野か。」
茅野が寝ている寝室へ向かうと茅野はまだすやすや寝ていた。その顔は幼く、ベージュの髪と合わさって西洋の人形のようである。
(まだ寝てるか。どうせ今日はやる事もないしこのままにしておくか。)
ベッドの脇にあるスマホの充電器をとろうとベッドへ近づき、充電器に手を伸ばす。
するとちょうど茅野が目をうっすら開けた。
「……お、おはよう。」
このタイミングで起きるなんて予想しておらず傍から見れば完全に襲う1歩手前という感じである。どう弁明しようか迷っていた。
「……?柊さん?」
茅野は、そんな楓の焦りとは裏腹にまだ完全に起きてないのか目をこすり、小さな欠伸をした。
「あれ、ここは…」
そう言って茅野は昨日の出来事を思い出したのか布団にくるまってしまった。
「あー、いや昨日茅野が寝てたから、俺の部屋で寝かせたんだよ。今は充電器が取りたくて手を伸ばしたんだ。決して他意は無い。」
楓は、布団にくるまっている茅野に弁明をし、逃げるように部屋を出ようとした。
「とりあえず、朝食パンでいいか?整理が着いたら来てくれ。」
「あの、別にそういった行為に移ろうした訳では無いことはわかってます。そんな事より、昨日寝てしまって介抱してもらった事に申し訳ない気持ちと恥ずかしさで、ですね。」
茅野は、布団から真っ赤な顔の半分を出し潤んだ目でこちらを見ていた。
「ああ、いいんだ。さすがに昨日は疲れたと思うし。そ、それじゃあ俺はリビング行くから。」
楓は、結局充電器が取れず、スマホはバッテリーが切れたままだった。
朝食の準備をしているとガチャという音と共に少し寝癖のついた茅野が昨日抱えていたクッションを抱きしめながら現れた。
「お、おはよう」
「…おはようございます。あの……その寝てしまってごめんなさい。ご迷惑をおかけしました。」
おずおずと申し訳なさそうにこちらを見てきた。
「大丈夫だよ。流石に疲れたと思うし、とりあえず座ったらどうだ?」
茅野は、テーブルのいつもの位置についた。
「よく寝れたか?今日は特に予定もないしゆっくりしてていいぞ。」
「いえ、申し訳ないですし…」
お互いにギクシャクした気まずい雰囲気が漂う。
「まぁ、あまり気にしすぎてもあれだな、茅野は今日なにか予定あるか?」
楓は、気まずさを晴らすべく適当に他のことを考えられるゲームなどをしようと思った。
「いえ、特にないです。どうしてですか?」
茅野は不思議そうに楓のことを見た。
「いや、朝食終わったらゲームでもして憂さ晴らししないかなって。」
「いいんですか?せっかくの休日を私なんかに割いてしまって。」
「いやいや、嫌なら昨日も水族館なんて行かないよ。」
「わ、わかりました。ではゲームした後、朝食のお礼に昼食作りますね。」
いつもの感じに戻ってきたのか茅野は楽しそうな顔をしていた。
(ふぅ、何とか持ち直したな。)
楓は、安堵しながら朝のテレビを見ていた。
午前10時、1度茅野は自宅に戻り、荷物やお風呂や家事を終えてからまた集まるということになった。
楓は、1人になるとインターホンがなった。
(茅野か?)
玄関に出ると何と、母親が居た。
「楓、元気にしてた?開けてちょうだい。」
「母さん!?何で来たんだ?要件はなに?」
楓は、茅野がそろそろ来るこの時間に上がらせるのはマズいと焦った。
「いやなに?連絡したじゃない。今日行きますって。見てないの?」
楓は、絶望した。
(そうだ、充電器!スマホのバッテリー無いんだった。)
「いや、スマホの充電忘れてて、見てないんだ。それで要件はなに?」
「抜き打ちでお部屋チェックよ。約束でしょ?入学して1ヶ月経つしどんなものか見せてちょうだい。」
「いや、問題ない。今日はもう帰ってもいいんじゃないか。」
楓は、どうにか母親に帰ってもらおうとする。
「いいから開けろ。」
ドア越しからでもニコニコとしていながら目が笑ってない母親が想像できた。そんな母親に楓の本能は逆らえなかった。
「はい。」
圧に負けて、楓は渋々家にあげた。
「あら、意外に綺麗にしてるわね。それにしても全然キッチン使ってる形跡無いわね。」
呆れた顔で楓を見てきたが楓からすればスマホが使えない今、長居させれば茅野と会ってしまう事しか脳内で考えてなかった。
「あ、ああまぁ綺麗だろ?問題ないと思うしどうだ帰宅するっていうのは。」
「何言ってるの?まだ楓の部屋見てないし
あなた、大事なものとか自分のテリトリーでしか扱わないじゃない。」
楓母は、ズンズンと楓の部屋へと足を踏み入れた。
「あら?この、ジャケット楓のじゃないわね。」
見透かされたような顔でこちらを見てきた。
「いや、友達の忘れ物だ。後で届けようと思ったんだ。」
(茅野持ってってなかったのか。流石に朝のこともあって忘れていたのか。)
「へぇ?女物なのに?ふーん。ま、いいで……」
と会話をしていると玄関が開いた。
「お邪魔します。柊さん?お昼何食べたいですか?」
そう言って部屋に茅野がやってきた。
髪をハーフツインにしてロングスカートに大きめのトレーナーという昨日とはまた違う可愛らしい茅野に楓は一瞬戸惑ったがそれどころでは無い状況が楓を現実に引き戻す。
こうして楓母と茅野 双葉が出会ってしまった。
(終わった……)
楓は天を仰いだ。
明日が終わればGW^^
頑張りましょう〜。




