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お題シリーズ5

幽霊の死

作者: 仲仁へび



 幽霊ってすでに死んでるから、もう死ぬ事なんてないと思ってた。


 けど、幽霊でも死ぬ事ってあるんだな。


 鎖にまきつけられてずるずるとひきずられている俺は、ぼんやりとそう思った。


 隣では、はげちらかったサラリーマンっぽいおっさんが、盛大に嘆いている。


「死んでまでこんな目に遭うなんてあんまりだぁ~」


 俺より先に鎖にまきつけられて、引きずられていたから、体のあちこちを痛そうにしていた。


 一緒につれてかれるなら、もうちょっとかわいい女の子がよかったな。


 しかし、ほんとびっくりだ。


 俺は、俺達をつれて行こうとしている存在を見た。


 まったく、死後の世界にも幽霊を……他人を虐げようとする存在がいるなんてな。






 死んだ人間が生活する死後の世界。


 そこでは、色々な考えを持った幽霊が生活している。


 犬とか猫とか、心が芽生えたロボットとかもいるのはびっくりした。


 大半の人間は、死んでまで争いたくないと思っているため、おだやかに暮らしている。


 しかし、中にはそうでない人間もいるため、状況がややこしいのだ。


 生前と同じく、幽霊にも格をつけなければ気が済まなかった者達が、あれこれ基準をつくって優れた幽霊とそうでない幽霊を分けて、差別しはじめた。


 そんで、そうでない幽霊(つまり劣っている)幽霊を虐げて、あの世から強制的に排除すべく抹殺しようと行動しているのだ。


 せっかくの穏やかな第二の人生なのに。


 ここで死んだらなにもしないまま転生しちゃう。


 やな世の中だねホント。


 死後の世界だけども。


 けれど、そういった連中をとりしまる奴等もまたいるわけで。


「その人達を開放しなさい!」


 俺達を連行していこうとするやな奴たちに立ちふさがる者がいた。


 可憐な少女だ。

 その子は、凛とした顔つきの芯を感じさせる少女だった。


 あの世の世界の中にあっても輝く、太陽のような少女。


 心情的に助かったせいもあって、フィルターがかかったのか、一目で惚れた。


 少女は鮮やかな身のこなしで不届き者をのした後、俺達に巻き付けられた鎖をといた。


「大丈夫? どこか痛いところはない?」


 美少女の気配を近くで感じながら、(死んでるけど)死ななくてよかったと思った。お近づきになりたいからってのもあるけど、なにより。


「こんなハイスペースで死にたかねぇ」


 だって、昨日死んだばかりなんだぜ?


 そんなすぐに二回も死にたくないよ。



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