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黒い雷

作者: 砂糖小さじ5

      

 半年前から天気に関係せずにいきなり雷が落ちてくるようになった、それも黒い雷で必ず人に落ちてくる。落ちた黒い雷は人をまる焦げにして死に至らしめる。原因不明でいろんな人が調べても解明できない、そんな中私はその黒い雷の正体を知った。

「こんにちわ、今いいですか?」

若い青年に声をかけられて驚いていると、質問された。

「あなたにとって今最も邪魔な人はいますか?」

「え!?」

いきなり何を聞かれるかと思いきや、邪魔な人?これはなんなのか、カメラでも回っていて質問に対してのドッキリなのかもと考えた私は、いい人風を装い無難な答えを考える。

「いないというと嘘になりますけど、初めて会う人にそんなこと聞かれても、、」

「そうですよね?いきなりこんなこと聞いてすみません!」

意外ときちんと話せると思った青年は続けてとんでもないことを聞く。

「その人を手を汚さずに殺せるとしたらあなたはどうします?」

全身に鳥肌が立っている、いきなりとんでもないことを言い出すと思いきや、この話を無視したら私はこの青年に殺されてしまうのか、恐ろしい。ひとまず彼の話を最後まで聞くことにした。

 最後まで聞いて内容は理解した、信じてはいないが。半年前から怒っている黒い雷事件は人の手によって起こされたものでつまり殺人だ、しかし突き止めるにも証拠が見つからない、それも言葉だけの説明ではいそうですかと聞き入れるのも難しい。青年は言った。

これを今知っているのは僕とあなただけです、僕は黒い雷を打ちました、打てるのは一発までで後は言い方は合っているかはわかりませんが後継者に話を聞かせて口約束で交渉する、そしてもしあなたが黒い雷を打ち終わると同時に黒い雷に関する記憶が一切なくなります。あなたも同じように次の人に引き継いでその人が打つとあなたからの記憶はなくなります、このようにして証拠も残らず記憶も残らずに黒い雷の犠牲が増えていると。この記憶は打って後継を探す人そしてそれを聞いている人の二人でしか記憶は共有できないため、どんなことをしても声も文字もSNSを使っても広まらない。気になることを聞いてみることにした。

「あなたは雷を打ったんですよね?どういう人にとか聞いてもいいですか?」

青年は暗い表情をした。

「トラックの運転手に、、」

内容は横断歩道を歩いていた子供が渡り切る前にトラックの運転手が居眠り運転をしていたそうだ、そして助けに行けなかった青年はトラックの運転手に黒い雷を打った。

君は悪くないと、言えば彼は楽になるのかでもどうして私なのか、二十代後半のわたしには家族がいない、両親は早くに亡くなり兄弟もいない、友達と呼べるような人もいない。私が後継者になり雷を打てば彼の記憶はなくなり元の生活に戻れるはず、それならと思うが誰に打てばいいのか、正解なんてない、人を殺めると分かっていて打つことは私にはできない。だけど受け取ることにした。

「ありがとうございます、、打ち方はさっき教えた通りです、よろしくお願いします、」

彼は私に早く打てというようなことは言わなかったが打ってほしいのだと思う。この世の中は普通に生活していて邪魔になる人など山のようにいるだろう。今も数人会社にいる人この前スーパーで割り込みした人、アパートのお隣のうるさい人、誰かを適当にと思ったけれど、皆に大切な人がいるはず、あの青年もそうだったはずで、殺めてしまったトラックの運転手にも。考え出すときりがない、どうしようかと思っているとビルの屋上に立って遠くを見つめている人がいる、何をしているのか、予測はできる遠くからでもわかる悲しい雰囲気、気づくとそのビルに入り屋上を目指していた。屋上は誰でも入れるようになっていて、四方にベンチが置いていて休憩スペースとなっている、そんな中にベンチに座らずにビルから見える景色を眺める彼女。

「何が見えますか?」

勝手に口から出た言葉だが反応があった。

「何も見えません、何もかも無くなりました。」

「私と一緒ですね、、ごめんなさい、一緒にしてはいけないですよね」

「あなたも家族がいないんですか?」

「そうなんです」

この人はどこか私と似ている、家族がいないという点だけではない、多分いつもどこかで死にたいと思っている、でも死ねないのは死んだ後のことを考えてしまうから、死んだ後悲しくて泣いている人を思うと死にきれない、私には泣いてくれるような人はいないかもしれないけれど、どこかでずっと誰かに助けてほしいと願っていた、彼女と同じ場所に立ち景色を眺めていると分かる、彼女がいつここから飛び降りてもおかしくない。彼女はずっと震えていた右手に持っている物が太陽に反射して眩しい。私は彼女に指を指し念じる、黒い雷。と

その瞬間から何も聞こえず、何も見えず感じない。二人揃ってまる焦げになりそのうち誰かに発見される。景色を眺めていて私たちがいたビルの下には男性の帰らぬ姿。彼女が持っていた真っ赤なナイフ。私と同じで孤独で生きて希望がなかったのは分かる。

でも私は人を殺めることを許さない。

            ・・・・・・

   だから一緒に地獄に生きましょう

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