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024 異界からの来訪者(16)

 更なる襲撃に警戒しながら、宿屋に戻ると活動拠点(グランベース)から、通信が入る。


『……ラーベ1、こちらアルバトロ。ラーベ2から、報告があった。敵戦力は、確認が出来たのは四人。合流後、先ほどと同様に消失した。今回は、レーダー圏外に移動した為、これ以上の追跡は不可能だ。四人の画像を送る。確認してくれ』


『ラーベ1、了解した』


 どうやら、完全に逃げられたみたいだ。相手は、瞬間移動が出来るから、仕方ない。恭兵は、スカウターを起動して、活動拠点(グランベース)から送付された画像を確認する。


 赤蜥蜴(アメルゲス)は、まだ寝ているようだ。白フード(ハルファス)は、他の二人に、なにか説明している。


 新顔、その一は、“真っ黒なアリ”だ。捕まったら、頭から丸かじりされそうだ。


 新顔、その二は、“青い透明人間”。いわゆるスライムが人型になっている感じだ。こちらも、捕まったら、飲み込まれて、溶かされそうだ。


(なんか、異界生物って、個性的だなぁ。多様性が凄いし、なんかカラフルだよね)


 この世界に来て、まだちょっとだが、村では、普通の人間と精霊しか見ていない。異世界定番のドワーフやエルフ、獣人などは一人も見当たらなかった。


(とにかく、異界生物には、気を付けていこう……うん。丸かじりだったり、溶かされたりは、勘弁です)





 ***





「どうだ、そろそろ慣れてきてか?」


「は、はい、お陰様で大分慣れました」


 画像を確認した後は、銃の取り扱い方を教えてもらっていた。人生初体験の銃器は、PNー(サイレンサー付き)TB(麻酔化ハンドガン)だ。

 GGF(ゲーム)では、一番お世話になった9㎜口径オートマチックハンドガンで、装填数は、9発+1発。予備弾倉は、七本で、最大所持弾数は72発となる。渡される時には、ホルダーと予備弾倉用ポーチを一緒に渡された。


 渡された予備弾倉用ポーチは、手のひらサイズで、どう見ても弾倉が入る大きさではなかった。困惑した恭兵は、質問することにした。


「これ、どうすれば、入るんですか?」


「うん? ポーチのふたを開けて、入口に近づければ入っていくぞ」


 渋顔(ハイラント)は、さも、当たり前の事のように答える。この辺は、やっぱりゲームキャラなんだと感じるところだ。常識にズレがある。


(そんなトンデモ能力(なんか凄い力)があるポーチなんて、普通ないんだよ……)


 少し愚痴っぽくなりながら、ふたを開けて、入口に予備弾倉を近づけてみる。すると、予備弾倉が吸い込まれていく。面白くなって、次々と吸い込ませていると、七本の予備弾倉が入ったところで、それ以上は、吸い込まれなくなった。ゲーム(GGF)と同じ所持最大弾数分しか、収納出来ないのだろう。


 渋顔(ハイラント)は、無極襟巻き(むきょくえりまき)を装備しているので、予備弾倉を無限に出せる。恭兵は、練習用に大量に出してもらい、背負い袋(ザック)にストックしておくことにした。ひたすら、予備弾倉を要求されるので、嫌そうな顔をしていたが、気にしないようにして、要求し続けた。





 ***





 宿の部屋で、渋顔(ハイラント)に嫌がられながらも、順調にストックを増やしていると、先生(シュティル)が音も無く、戻ってきた。


「――戻ったか、報告頼む」


 渋顔(ハイラント)は、ストック作業を中断して、すぐに報告を聞こうとする。ストック作業を止める良い口実とでも、思っているのだろう。


「敵戦力、警戒不足、制圧容易」


 どうやら、先生(シュティル)的には、簡単に制圧出来ると判断したようだ。


「……油断するなよ。得体の知れない相手だ。白フード(ハルファス)と同じで、何らかの能力を持っている可能性が高い」


 白フード(ハルファス)がいれば、突然、目の前に現れて、攻撃することが可能だ。何か制約があると思うが、分からない以上、警戒するに越したことはない。


(あれ? じゃ、ハンドガンを持った一般人の私じゃ、対応なんて無理じゃない? てか、前回の奇襲に対応するのに、ハンドガンの有無、関係なくない?)


 拳銃の扱いを覚えた程度では、奇襲には対応出来ないだろう。しかし、恭兵が一人で自衛が出来れば、先生(シュティル)の後を渋顔(ハイラント)が追えた。そうすれば、異界生物を回収して、安全を確保できただろう。


(……よし、バックウェポンは、防弾盾バリスティックシールドにして、時間稼ぎを目的にしよう)


 防弾盾バリスティックシールドは、全身をカバー出来る大盾で、銃口を差し込む穴があり、全長が短いセカンドウェポンなら、防弾盾バリスティックシールドに隠れながら、撃つことができる。

 GGF(ゲーム)内では、最終強化品は、ミサイルも防げる仕様だったので、魔法も防げるかも知れない。


 欠点は、セカンドウェポンしか、併用できない事だ。メインウェポンを使用するときは、防弾盾バリスティックシールドを背中に戻すこととなる。


 対策案として、メインウェポンに、ショートバレル化アサルトライフルを選ぶ予定だ。

 全長は、ほぼサブマシンガンと同じため、上手くいけば、防弾盾バリスティックシールドに隠れながら、撃てるんじゃないかと考えいる。


(普段は、背中に背負っているから、前回みたいな背後からの奇襲にも、効果あるかもしれないしな)


 装備品の運用方法を考えていると、活動拠点(グランベース)から、通信が入る。


『……ラーベ1、こちらアルバトロ。ラーベ2の合流を確認した。この地域での作戦は完了とする。明日から、城塞都市レーベルクに移動を開始。マップにマーカーを表した。コートを入手して、移動の際には、なるべく目立たないように注意してくれ』


『ラーベ1、了解した』


(さらっとミッション完了した!!)


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