「え? ハーフが放送禁止用語だって!? ハーフエルフどうするの?」 ~ハーフエルフどうするよ問題、検討会議~
『第1回 ハーフエルフどうするよ問題、検討会議』
リル「さて皆さま、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。議長を務めさせていただきます、リルです」
リル「そもそも放送禁止用語という物は、正確には業界団体の自主規制となりますが、特にクレームが来やすい言葉である旨は、ご承知かと思います。『表現の自由』や『差別用語』等、様々な問題があると思います。ですが今回はその話しではなく、『ハーフエルフ』という言葉を今後、どう表現していくべきかを議論していきたいと思います。議論終了までお付き合いいただけたら幸いです」
リル「それでは自己紹介と、一言ご意見をお願い致します」
イリーナ「副議長のイリーナと申します。邪神を宿す聖女と言われております。事の発端は作者である、すめらぎが2017年より『ハーフ』が放送禁止用語である旨を知らず、『ハーフエルフ』と使っていた事になるかと思います」
ソフィア「私は、ソフィアです。森エルフの父と洞窟エルフの母を持ちます。私自身は今回のハーフエルフには当たりません。ハーフエルフとはエルフと人間の血が混ざった者のハズですから」
エミアス「大司祭のエミアスと申します。私は森エルフと魔神の血を受け継いでいますね。人間とではないですが、ハーフエルフです。リル様が……リル議長が作中で私をハーフエルフと考察されているシーンがございます」
リル「あ、あの時はすみませんでした」
エミアス「私は気にしていませんので、ご安心下さい」
リル「ありがとう、エミアス。では、次に『半死人』のキュリア、どうぞ」
キュリア「ちょっと、リル殿。その紹介のされ方は、おかしいですよね」
リル「はい、八英雄のキュリアさんでした。ご意見ありがとうございました」
エミアス「あぁ、私のオチというポジションが、キュリアさんの登場で崩れる訳ですね。ありがたい事です」
リル「では、まず、歴史から確認していきたいと思います。副議長、お願い致します」
イリーナ「述べさせていただきます。『ハーフエルフ』がファンタジーにおいて登場したのはおそらく、指輪物語が最初なのではないかと推測されます。もっとも、当初の意味は違いました。単純に半分ずつ血を引いていたからではなかったのです。Wikipediaより要約しますと――」
リル「さすが指輪物語ですね。Wikipediaに半エルフという言葉だけで載るとは……」
イリーナ「――要約しますと、『エルフと人間、双方の血を引いていた4名が二つの運命のうち一つを選ぶ権利を与えられます。人間の運命とエルフの運命。そのため、かれらは半エルフと呼ばれる。』これがおそそらくハーフエルフの歴史の始まりです」
リル「では、現状はどうなのでしょうか? 副議長」
イリーナ「はい。昨今のアニメですと、こちら小説家になろうでも連載されております『Re:ゼロから始める異世界生活』にて、ヒロインのエミリアさんがハーフエルフとして登場します。アニメ化が2016年となりますので、今後の放送でどう表現されるか、気になる所ではあります」
リル「それより前に、アニメ以外でもありましたよね」
イリーナ「はい。ハリホ゜タですね。2009年ではありますが原題『Half-Blood Prince』を半純血から、映画では『謎のプリンス』と変えて上映されています。イギリスではhalf‐breedとう言葉が差別にあたる為、使えないという事でHalf-Bloodという造語にしたのではと推測されます」
リル「なるほど。10年以上前から問題となっていたのですね」
リル「ハーフエルフ以外に、使えそうな敬称はありますでしょうか?」
キュリア「【半血】がダメとの事で、【倍血】、【双血】、【重血】等が考えられますが、どうでしょうか?」
リル「なるほど、さすが八英雄。中二病用語も達者の様ですね。参考にさせていただきます」
ソフィア「私は【倍血】で良い。ダブルブラッド・エルフ、かっこいいかも」
リル「最後に、一言、どなたか有れば」
エミアス「正直、人間にエルフと魔神の血について、語って貰いたくないですね。余計なお世話ですよ。でも、同じ境遇のエルフの方がいましたら、魔術やテレパスにて個人的にご連絡下さい。一緒に悩みを語りましょう」
リル「それでは、第1回の検討会議を終了したいと思います。皆様、ご傾聴ありがとうございました」
イリーナ「ありがとうございました」