奇妙な夢のチーズケーキ
チーズケーキを作ろうと思うんだ。買ったはいいけど食べきれなかった、ブルーチーズを使って。
材料1つ目、奇妙な夢のスティルトン。
コールドスリープさせていたクリームチーズが、ちょうど200グラム。そっと揺り起こして出番を告げる。
材料2つ目、お寝坊さんのリュクス。
融通の利かないクラッカーは叩いても増えない。仕方ない、足りない分はクッキーで補おう。
材料3つ目、頑ななクラッカーと優しいチョイス。
買い置きの卵をテーブルの上に。奇跡は必要ないから、わざわざ立ててみせたりはしないのさ。
材料4つ目、綺麗な茶色の鶏の卵。
たとえば妖精の鱗粉。あんまり甘くてとっても白いと、そういう魔力が宿って見える。
材料5つ目、ちょっと湿気ったグラニュー糖。
そんなに仲良くないけれど、いないと困る、そんな奴。どのクラスにも、1人はいたな、そういう奴。
材料6つ目、触感が楽しいコーンスターチ。
とろりと滴るは罪深い琥珀色。1度でいいから、指を直接突っ込んで、子供のようにしゃぶってみたい。
材料7つ目、ギルティ・ハニー。
こいつがいなくちゃ始まらない。皆に引っ張りだこの人気者は、逃げないように熱の牢獄で監禁だ。
材料8つ目、孤立無塩バター。
材料はこれで揃い踏み。あとはこの腕を振るうだけ。それが一番の問題だって、他ならぬ私が一番知ってる。
だから付けたし。
材料9つ目、おしゃべりなのに言葉足らずなレシピブック。
奇妙な夢のチーズケーキ、おいしく出来上がれ。