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本気の日にはこんな魔法  作者: 杠入子
2/2

変わってしまったらこんな魔法

おぅふ

 この世界線で一番の大国である『アルカメディア王国』温暖な気候と豊富な資源が特徴的で国独自に進化した魔法技術と生産技術が有名となっており他国からの移住者も多い。


 中には、他国では受け入れを否定するようなグロテスクな見た目の亜人や自国から逃れてきた者も多く混じっている。


 国の市場では様々な姿をした者達が行き交うがほとんどの人間は当たり前のように目にも止めない。市場の活気はやむことが無く朝から多くの賑わいを見せていた。また、様々な人間が挨拶を交わしており、人間性が豊かなことも窺える。


 そんなアルカメディア王国の首都『アルカメディア』中心部には世界でも有数の魔法技術を研究し、多くの偉大な冒険者、魔法使いを生み出している『アルカメディア総合魔法学院』があった。


 中心部には、校舎や宿舎などが立ち並び、豪華な細工が施された外装とは裏腹に頑丈なセキュリティがかかっているようだ。その外見だけではわからないが実に築数百年もの年数を誇っている。


 一見、他の魔法学院と変わりがないように見えるだろうが、そんな思いは中に入れば砕け散るだろう。


 他の国では学ぶことが出来ない一歩進んだ魔法、先進大国ならではのワンランク上の学舎、全てが他の国より進んでいる。魔法の道を目指す者であれば誰もが一度は憧れるであろう。


 しかも、魔法のみの学校ではない、座学、語学、剣術なども学ぶことができ、体術や弓術、他の様々な学問でさえ視野に入れている学校である。


 要するに『アルカメディア総合魔法学院』はこの世界のエリート校であった。



 さて、そんな校舎の中をうろうろと歩き回る人間が二人いた。


「よっしゃ!侵入成功、やっぱり姉さんが居たら違うね、こんな簡単に入れるんだから!」


 一人は金髪のくせっ毛の少年だ。名は『セファルタ』端正な顔立ちをしているが、緑色の美しい瞳はどこか悪戯っぽそうな印象をしている。


「このような愚行をしでかすとは流石、我が弟だな」


 そのように言って述べたのは長い金髪と賢そうな深い青色の瞳を持つ少女だ。名は『セシリア』こちらも少年と同じく端正な顔立ちなのだかその顔は少年の行動によって不機嫌に歪んでいる。


 一番特徴的なのは、二人の全てがまるで人形のようにそっくりなことだろう。そう、二人は一卵性の双子なのだ。


そして、その双子が何をしているかと言うと、この『アルカメディア総合魔法学院』に『侵入』していた。


「でも、俺がここに来たいって言ったらついてきてくれたじゃん」


「それは、お前だけでここに来たら中に入ることさえままならないと確信していたからな。私がついてこなければまた、塀を登るつもりだっただろう?」


「うっ、確かに一回目はそれで入ったけどさ…」


 弟は目を逸らし、「過去は過去!今は今!」と割りきっている。この状況がどれだけまずいかイマイチ分かっていない弟に姉は大きなため息をついた。


 そもそも生徒ではない普通の人間がここに入るのは限りなく不可能に近い。それが実現できているのはここにいる二人の計るべき実力でもある。


 とはいってもやはり、二人だけでの侵入は困難だ。そのことを知っていたセシリアはある人間に協力を仰いだのである。


「『セルバート兄さん』が助けてくれて良かったね!」


「ああ、あの人は基本私達に甘いからな、しかも、冒険家ときた。これは利用するしかないだろう」


 自分達の兄を利用したのだ。二人の兄セルバートは冒険家をしており、今は休暇と称して家へと戻ってきている。協力してもらうにはもってこいの人間だった。実はここに入ることが出来たのは二人の実力ではなく兄の実力なのだから。


「見つかったらどうしようか…」


「何を言っている?お前が見たいと言ったんだろう。怖じ気づいてどうするのだ。見つかったら暫くは謹慎処分だろうが、見つからなければなんてことはない、だが…」


「流石におかしいな。」


 セシリアは違和感に気付き足を急がせた。現在の場所は一階の廊下、セシリアが見たいものは三階にあり、セファルタが見たいものは六階にある。


「確か、お前が一度侵入した時には入った瞬間に見つかったんだったな」


「うん、塀を乗り越えた瞬間に襟首をガッ、って掴まれていつの間にか捕まってたよ」


 セファルタは早足になりセシリアについていく、次の瞬間。


「ぎゃっ!?」


 セファルタは襟首を捕まれ持ち上げられていた。セシリアが杖を取りだし弟を捕まえた人間に向ける。


「父さん!?」


「お父様!?」


 その人間はセシリアとセファルタの父でもあり、この学院の教頭でもある『セガート』であった。

素晴らしく更新が遅い

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