魔災~絶望の産声~
後書きにて挿絵掲載します。
カマキリのイメージ的な絵です。
人間は170cm位で書いています
私は夕餉の後に、家族と談笑していた
有り触れた幸せな家族の団欒ってのを楽しんでいた
もう寝ようかとした時、地震が起き、暫くしてから街中にある退魔の塔から警報音が鳴り響き、慌てて領主の屋敷に避難する。
その時ふと見た方に、この世界に存在しない、居てはならない巨大なモノの影をみた
ソレは蒼い月光に照らされ、ファイズの街を取り囲んでいる城壁の上に居た
有り得ない。有り得てはならない
だって。だって……だって
この世界には昆虫類は存在しないハズだもの
私が、転生する時に神様に頼んだんですもの。虫の居ない世界で生まれたいと
~カマキリ視点~
見よ! 人がゴミのようだ! フゥハハーン!
にしても嫌な音が鳴っているな……
こう、黒板を引っ掻いたような、ストレスの溜まる音だ。発生源はドコだ……
水魔法のミストウェーブを応用し、街中に霧を散布し、振動源を探る。今は、今だけは人間を無視だ
自ら集まってくれている。何時ぞや見た、薄い膜の結界を張っているデカイ家に
直ぐに迎えに行くよ、俺ちゃんのご飯達
音の発生源を探した結果、所々に建っているオベリクスだと分かった
忌々しい。こんな物は粉々に壊さなくては
土魔法のストーンバレット、この魔法で打ち出す石は何故か小さな円柱形だ。だがコレでは粉々に壊せないだろう。
だから同時に別の土魔法を使い、30×150ミリのロンズデーライトの弾丸を形成しつつ、次々と目標に飛ばしていく
バゴンバカンと、各地に立っていた避雷針のようなオベリクスを砕いていく。
嫌な音が一つ壊す度に小さくなり、何時もの調子に戻ってきた
~領主館・避難場所~
恐ろしい。きっと退魔の塔を、何らかの方法で壊しているんだろう
ドゴンと響いてくる度に警報音が小さくなってくる
早く何処かに行ってくれることを願うしかない
この世界は、結界が有り触れたモノで良かった
しばらくして、衝突音と警報音が聞こえなくなった。
きっと、オベリクスが全部壊れたのだろう。後は領主様の避難部屋でじっとしてれば、アレは何処かに行くだろう
それにしても、なんでわざわざカマキリなの?
私が1番嫌いな虫だ。地球で生きてた時、近所の犬が美味しそうに食べてるのを見て、ダメになった
うぅ……。思い出すだけで寒気がし、鳥肌が立つ
というか、デカかった。ソレだけでも超絶ムリ
ゲームであった防衛軍みたいな事にならないでよ?! フリじゃないからね神様!
それから30分経った、領主様が気を利かせてくれ。シーツやタオルを掛布団として渡してくれた。そして避難所の床にトロロという飼葉を敷いてくれ、快適空間になった
その好意に甘え、順番に眠る事になり、子供特権で寝ずの番から解放された私は、明日の朝まで眠る事にした
ふわふわな飼葉に横たわり、領主様のチョー綺麗な白いタオルをお腹に乗せて目を閉じる
館の外には、あの巨大蟷螂が居るけれど、結界には入れないから安心して寝れる
植物特有の少し青臭い香りに包まれ、キャンプみたいな気分だと思い、意識が微睡んでゆく
その時、不思議な音がした。
軋むような、鉄板か何かが無理やり剥がされる様な音と、ジュルジュルという何かを啜る音
不安になる音だ。軋むようなこの音は、何かに似ている気がする
なんだろう……
そう半分寝ている頭で考え、似た音を思いつき、声に出す
「赤ちゃんの泣き声みたい」