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小さな国の華麗なる逃走劇

妖精の国に乗り込んでむしゃむしゃします、ご注意ください

おっす俺カマキリ!

今俺の眺めているのは精巧に作られた王都っぽいジオラマだ

部屋の入口にあったビニールみたいな膜はパチパチしたコーラ飴みたいな味で美味しかったでふ、また見かけたらペロペロしてやろう



それは置いといて、このハチミツみたいな臭いが立ち込めた、素敵な小部屋はたぶん妖精の街だろう

迷宮核の知識によれば、奴らは基本こんな風なミニチュアの街を作り、そこを巣として生活してる



そして基本的に外敵が来ても逃げ遅れ、上位妖精(ハイフェアリー)のお城に立て篭もるだけ

ぐふふ、妖精の取り放題やでまったく



とりあえず逃げられないために入口を塞ぎますか

どうやってって? そりゃもちろん魔法ですよ先生!

迷宮核の知識から魔法についても学んだぜ、迷宮核様様やでグヘヘ



だけどここの迷宮核が知ってた魔法は土魔法に水魔法、あと光魔法しか無かった

必ずしも迷宮核が全て知っているとは限らないっぽいわ



まあここは塞ぐだけだから良いんだけどね、チョチョイと入口を土魔法にあるストーンウォールで埋めるだけ



え?オリジナル魔法とかないよ?だって作るのに数時間かかっちゃうからね

そんな事してたら美味しい美味しい妖精ちゃん達が流石に逃げそうだしね






そうこうしてたらお城から魔法飛んできた、上位妖精と多数の皮鎧つけた妖精がチマチマと火とか石とか当ててくる



彼らも巣を守るため必死なんだな、って感じながら蟻の行動を眺めてる気分で暫く様子を見てみた








~妖精視点~





嘘よ……古竜種(エルダードラゴン)さえ侵入出来ない結界を、この世界で一番強固な結界魔法を食べるなんて



「女王様! 私達があの竜種の気を引き付けます! ですので皆を連れて逃げて下さい!」



勇敢な数人の子が他の子達を逃すため戦いの準備を初めてゆく

勝てないと分かっている戦いに向け、震えながらも皆を逃すために。あの竜種の注意を少しでも逸らすために



そんな中で私は民に任せて逃げていいの? 愛する子達数人を見殺しにして?



でもアレになんて勝てないよ、言葉が通じるなら泣きわめいて命乞いをしたい

今すぐ蹲って隠れていたい



でもそんなのダメよ、私は女王。愛する子達を護るのが私の役目でしょ?

だから神様、少しの間だけ私に勇気をください





「私も出ます! あなた達を見殺しになんてしないわ!」

そう声を張り上げ自分の弱い心を抑え込む



「じょおーさまダメだよ! 逃げようよ!」「女王さま死んじゃうよ!」「ダメです! 女王様だけは生き延びて下さい!」



皆から掛けられるそんな声、そしてまた私の弱い心が鎌首を擡げ、甘事を囁き出すの

でもグッと抑え笑顔で言うわ



「あなた達を見殺しにするほど、そんなに私は賢くないわ。 そしてあなた達を護るのが私の役目よ」



そう言い終えると皆がワンワンと泣き出し引き止める、だけどごめんね、もう決めたの

さあこの子達が逃げれる先を言わなくちゃね



「ここを逃げ出したら南の森に行くのよ。 昔居たノルルが国を作っているはずよ!」





さあ、愛する子達を逃がす準備を始めましょう





「女王様、準備が出来ました。 いつでも行けます」



結局ガンコな子達数人が残り、他の子達は逃げる準備が出来た

少しでもいいの、この子達が逃げれるなら私に勇気を下さい







私達が城を飛び出し超級魔法の炎を竜種に向かい打ち出す

普通の魔物なら即座に貫通して倒せる、それ位威力のある魔法なのに、あの甲殻には傷1つなく焦げあとさえ無かった



甲殻の隙間や目、口等にいくら攻撃しても嘘でしょ? これって夢? そう思っちゃうほど出鱈目な防御力

でも注意は引けたみたいね、最初はボーッと街を見ていた顔を私達の方に向けて目で追ってるみたい

そのまま私達を見ていればいいわ! このクソドラゴン!







~カマキリ視点~



ぼへーっと妖精達の行動を眺めていると、少しだけ羽根の枚数が多い妖精がピロピロ動いてるのに気がついた

よーく見ると上位妖精(ハイフェアリー)ってのに特徴が似てる。というかまんまソレですわ



んっんー?そんなフリフリ動いちゃって、俺ちゃんを誘ってるのかなあ?グヘヘ

他の妖精達を逃がしたいんだけろうけど、残念ながら全部見えてるんだよね

なんせ視界360°あるからね、顔を上位妖精ちゃんに向けてても、後ろの方でコソコソ移動してる集団が居ることは知ってたりする



お、やっと先頭が塞いだ入口に到達したかな?

土魔法で、妖精が通れるくらいの、ちっさい穴を開けようとしてるみたいだけど、残念でした! ダイマオウからは逃げられない!

穴を開けるそばから俺が魔法で埋めていく、するとどうだ、焦った妖精達は魔法を使う人数を増やし、空ける場所を増やしていく

それがダメだと悟と、今度は大人数で1箇所を開けようとしてみる

でも俺の土魔法のが展開早いから、少し壁が凹むだけしか空けられない



あーあー、そんなに魔法使っちゃうとすぐバテちゃうよ?

1人2人とダウンしていく様を見ていると、上位妖精ちゃんが焦ったようにキーキー鳴きながら俺に近づき、ポスポスと貧弱な魔法を撃ってくる



俺ちゃんモテ期到来しちゃった? 照れちゃうよもう

ンンっ…! ここはカッコよく決めないとな



そんなに近づくなよ、勘違いしちゃうだろう?






~妖精視点~



なんで……なんでなんで……!!

なんで後ろに居るあの子達に気付いてるの!?

気づかれないように、いつもおしゃべりなあの子達が静かにして、気配を消してアイツの後ろで穴を開けてるのに!

あの子達が懸命に空けた穴を、一瞬で埋めていく…



「こっちを見なさい! このバケモノ!!」



気づいた時には体が動いてた、あの子達から少しでも注意を逸らしたかった



とにかく叫びながら、あの竜種の周りで邪魔をしようとしたの



でも気付いた時には、天井も床もヌラヌラとした液体がついた真っ赤な棘がビッシリ生え、この世の全ての不浄を集めた様な臭いがする場所に居たわ



ゆっくりと天井が落ちてくる、その隙間からチラリと見えた遠くに見える勇敢な子達、その子達の絶望した顔を見て私は理解した



(あぁ……私、食べられるのね)






次第に落ちてくるスピードが上がり、ちょっとしか見えない外に向かって呟く



「ごめんね……あなた達は生きのびて」







~~




う〜む、これはメープルシロップで付けたような、お上品なお味かな?



え?何がって?

そりゃもちろん上位妖精ちゃんですよ、顔の近くに突撃してきてくれたから、ついパクッとね♪



さて、上位妖精ちゃん以外はどうしてるかな?

おやおや? どうしちゃったかな? そんなポケッとしてると悪いお兄ちゃんに食べられちゃうゾ☆

据え膳喰わねば男の恥、ってことで頂きま~す





むしゃむしゃしてやった、いやー美味しかったわ妖精ちゃん達

アレだね例えるなら一般妖精ちゃんはオヤツで、上位妖精ちゃんはちょっとお高いコンビニスイーツって感じ



それにしてもいっぱい食べたし、今日はここで寝るかな!

寝惚けて街を潰さないようにしよっと

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