最強のカマキリ異世界に立つ
カマキリになってしまった為に本能しか最初ありません
初っ端から知的生命体食べますのでご注意ください
追記・架空のゲーム名称の変更
ハラガヘッタ……
見知らぬ洞窟の中で、俺が一番最初に思ったことがそれだった
視界が360°あるとか、体が人外であるとか、明らかにファンタジーなモンスターが目の前に居るが…
そんな事よりも腹が減ったという事しか思い浮かばなかった
しばらくボーッとしていると、さっきから居た刺々しい甲羅を背負ったワニのモンスターが噛み付いてきた
ガジガジと俺の腕?前脚?を噛み千切ろうとして一生懸命に顎を動かしている
そんな光景を眺めながらコイツ美味そうな尻尾を持ってるなあ、としか思えなかった
体感で10分くらい俺の前脚を噛んでいたトゲトゲワニ(先程命名)は諦めたのか、後退りしながらじわじわと去っていこうとする
それを眺めていると折角の獲物を逃したくない、ここで逃せば当分ハラを満たせないと言う考えが浮かんできた
すると強烈な飢餓感と共に口元からギチギチという虫の威嚇音が鳴り出す
もう我慢出来ない! そんな本能に支配され、目の前にいるトゲトゲワニを己の前脚であるカマで捕まえようとする
とりあえず追いかけようと4本の脚を動かし駆け出す、するとあっという間に数メートル離れたモンスターに到達し、慌てて反転し逃げようとしたトゲトゲワニを己の腕のカマで押さえ付ける
カマの内側には無数の牙のような棘が生えており、その1本1本がまるでサメや恐竜の歯の様な形状で、1度その腕で捕まえた獲物は逃れられないようになっていた
その為あまり力を入れずとも暴れる獲物を楽に取り押さえることができた。そして俺はトゲトゲワニの柔らかい腹に未だギチギチ鳴る口でかぶりつく
血と臓物の臭いが辺りに立ち込め、狩りが成功した喜びと肉を食べる悦びにゆっくりと獲物を咀嚼する
そして血の一滴肉の一欠片も残さずに綺麗に平らげひと息つく、すると気分が落ち着いたからか眠気が襲ってきたため一眠りする事にした
おはようございます、起きました
とりあえず寝起きで周囲の確認をしながらカマや触覚等の手入れをしていく
丁寧に腕の棘の隙間や、関節部分をハムハムと甘噛みしたりしてホコリを集め、ある程度溜まったらペッと地面に吐き捨てる事を繰り返す
満足する仕上りになったのを確認し、とりあえず奥であろう方向が気になったためそちらに歩き出した
しばらく歩き続け、道中に見つけたファンタジー生物は全て腹に収めてきた
今日はもう寝ようと思い美味かった生物を思い出し、次に見かけたらすぐ食べてやろうと思う程美味かった
ただその生物は最初凄く手間取ったのを覚えている、小さな小さな小人に虫の羽を生やした妖精と云う生物だ
チョロチョロと飛び回り何も無いところから火や水、石に風等をポコポコと飛ばして当ててくるのだ
だが暫く追い回しているとすぐバテてくる、そこでパクリと一口で食べるという事に思い至った
数回噛むとまるで蜂蜜漬けの甘い肉の味がするためかなり気に入った、明日も見つけ次第食べてやろう。そう考えながら眠りにつく
そんな感じで洞窟の中をうろうろし、気になっていた洞窟の最深部であろう場所に到着した
その場所は少し広い小部屋になっており、中央にはキラキラと虹色に輝く大きな宝玉が浮かんでおり、非常に美味そうな臭いがしていた
アレを食べたい! そう思った時にはもう躰が動いて宝玉に齧り付いていた
1口目にはプリンの様な味がし、2口目にはシュークリームの様な、3口4口食べ進めていき最後の1口は極上のケーキの様な味を堪能した
だか食べ終わったその時、急激な頭痛を感じ、その小部屋でのたうち回り意識を手放した
~数日後~
(ウアァ……)
しばらくしていつの間にか気絶し倒れていたことに気づき躰を起こす
幸い倒れている時に外敵に襲われることも無く、どこも欠損していない事にホッとする
ふと前より理性的に考えれるようになった事に気づき、躰をじっくり眺め己の躰に驚愕し声は出ないが叫んでしまった
(カマキリだこれー!!)
このカマキリは見覚えがある
俺がこの姿になる前にしていた育成ゲーム、それで育成していた『デミドラゴンダイマオウカマキリ』にそっくりである
というかソレそのものである
『モンスターファンタジーガーデン』通称MFG そのゲームはVRゲームで発売された
様々なパーツを自由に選択し、それを変形させたりして俺の考えた最強の生物を造りあげ、リアル風なサウンドボックス型の箱庭で飼う育成ゲームである
そこで俺が造り上げた最強のカマキリの姿になっていた
そしてついでに迷宮を踏破してしまったようだ
一応これで少しは理性というモノを手に入れました!