26 新たな旅の始まり
食事を終わらせ、俺たちは少し町を歩く事にした。
「ていうか、私たち、ちゃんと自己紹介してないんですけど」
「あれっ、そうでしたっけ、、」
レインは足を止め、ニニアの方を向く。
「僕はレイン・アリオス、13歳。職業は冒険者、よろしくお願いします」
「じゃあ私も。私はニニア、17歳。職業は冒険者よ、よろしくね」
「え、ニニアさんって、僕より4つも歳上なんですか?身長的には、僕とほぼ....」
「ん?何か言った?」
「...いや、何も言って無いです」
ニニアさんの笑顔は、なんか全く笑ってないみたいだ...怖っ。これ、絶対怒らせたらダメなタイプだ。
「てか、そんなの関係ないわ。タメ口でいいわよ」
「えぇ、でも、、」
「いいって言ってんでしょ、もういいから」
.....その顔、凄く怖いんですけど、
「わかったよ、ニニアさん」
「け・い・ご・も・い・ら・な・い・」
「......はい、」
どうにも、ニニアさんには逆らえそうも無い。でも、あんまり仲良くなると、その時に情が妨げとなるかも知れない、、、。
俺には、ニニアとパーティーになった理由があった。その一つは、彼女の[大切な物]を聞き出すためであった。
ただ一緒に過ごしていても、俺を殺す理由がない。だから、彼女の《敵》となり、彼女が俺を憎しみをこめて『殺したい』と思えるようなシナリオを描かなくてはならない。
そのためには、彼女の[大切な物]を知る必要がある。
ある程度仲良くなりつつ、聞き出したら、裏切った俺を躊躇いなく殺せるくらいの距離感....前世でコミュ障だった俺には、難しい。すっごい難しい。
でも、やらなきゃいけない。この、永遠に続く地獄から抜け出すために。とりあえず、頑張って楽しんでるって見えるようにしないと。
そうやって、レインの主な目的は、魔王に会う事から、魔王に会う事を続けながらもニニアの《敵》になる事へと変わっていった。
「そう言えば、これからどうするのよ。ダンジョンもクリアしちゃったじゃない」
「ああ、それならちゃんと考えてますよ」
そう、ギルドへ行ったとき、受付の人におすすめのダンジョンを聞いておいたのだ。
「そう、それは.........【グラトス】です」
「グラトス?グラトスっていえば...」
「そう、そこは通称【ダンジョンの魔境】。町の周りには4つものダンジョンがあるらしいですよ」
「いや、そこって確か遠すぎて元々ほとんど馬車が通ってないのに、ダンジョンができたせいでもう馬車が通ってないって、、」
...え、まじですか。
「それじゃあ、俺たちはそこに行けないって事、ですか?」
「いや、行く方法はあるよ」
行く方法?それにその自慢げな顔、何だろう?
「教えてくださいっ、それって一体どんな...」
「ふっふー、それはねーーーーーーー
▽
「・・・・・・・」
「じゃーん、どう?」
連れて行かれたその先には、、馬小屋があった。
「えっと、結局どうする、の?」
「ここで馬を借りれることになったわ。2人で馬を飛ばして、さっさとグラトスへ向かうわよ!」
馬ぁ?確かにここには車も何もないけど、、馬って。大分原始的だな、おい。
「いや、俺馬なんか乗れないけど...」
「・・・え、嘘でしょ?」
「嘘じゃないです」
何だよ、その『乗れて当たり前』みたいな顔は。乗れるわけないだろ。
「嘘〜、だって学校で習うでしょ?」
...ああ、学校で習うのか、どおりで噛み合わない訳だな。
「まあ、いいわ。しょうがないから、馬車を借りていきましょ」
「そんなお金、どこにあるのさ」
「ダンジョンの報酬がたんまりあるのよ。よかったわね」
ああ、そういえば俺も報酬貰ってたっけ。
「それじゃ、また明日の8時ね」
「はーい」
そうして2人は分かれ、宿へと戻っていった。
▽
帰ったレインはベッドに倒れこむ。
中々、このテンションは維持するのがきつい。大体、人とちゃんと話すのなんていつ以来だろうか...
でも、手応えはあった。
俺は、今日、ついに『運命』と出会えた。俺の望みを叶える、唯一の存在に。
絶対に、これを手放す訳にはいかない。
明日から始まる新たな旅に思いを馳せ、ゆっくりとまぶたを閉じた。
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