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英雄は終わりを求めて旅に出る 〜死を追い求めし世界最強の冒険録〜  作者: 了静


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25 新たなる希望

 な、何で、、傷は、全部自動回復するはずじゃ...


 その時、包帯を全て剥がすと、何やら表示が出てきた。



 ーーーーーーーーーーーー


 *スキル【超回復】が発動できませんでした*


 ーーーーーーーーーーーー


 一体どう言う事だ?スキルがぶっ壊れたのか、それとも....彼女の攻撃は、自動回復できない、って事か?


 考えても分からない。でも、傷が治らないのは確かだ。


 ・・・明日、確かめに行くか。


 また一日遅れてしまう。でも、不思議と悪い気はしない。


 これまで、期待がことごとく打ち砕かれてきたレインは、ほとんど期待などしていない。


 しかし、俺の中に、なんだか少し、ワクワクしている自分がいる、そう感じていた。




 ▽




「んんっ、よし」


 あまり寝付けなかったが、どうにか昼前まで時間を潰し、宿を出た。


「てか、二ニアさんって、どこにいるんだ?ダンジョンかな?でも昨日最下層目前にいたし、今日は流石に...」


 一体どこにいるのやら。分からなかった俺は、とりあえず考えた中で一番ありそうな、冒険者ギルドに行く事にした。




*《冒険者ギルド》*

「おっ、今日は人が少ないな」


 ギルドには、いつものような騒がしさは無く、静かだった。


(それで、あの人は.......)


 周囲をくまなく見渡す。


 、、いる、めっちゃいるわ。


 わかりやすくて助かる。


 でも、人が少なくても、やっぱ俺はここが嫌いだ。.....何だか、みんな笑顔だからかな。早く終わらせないと。


 そんな事を思いつつ、ゆっくりと近づき、声を掛ける。


「すみません」

「何、、って、また昨日の子?」


 ニニアさんは、ギルドの椅子に座り、暇を持て余しているようだった。


「これから、ご飯食べませんか?昨日のお礼がしたくて..」

「お礼?...ああ、別にいらないわよ」

「いや、それじゃ気が済まないので」

「....まあ、あなたとはよく会うし、少し話してみたかったのよね。いいわよ」

「っっ、ありがとうございます!」




 ▽




「すみません、2人って大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ、そこのテーブルにお願いします」


 初めて来たけど、高そうな店だな。


「好きに注文していいですよ」

「それじゃあ遠慮なく、、すみませーん、この3種のーーーーーー」


 そういえば、だれかと食事なんて、何年ぶりだろうか・・


「これ、すっごく美味しいわね」


 あれから、食事には本当に興味がなくなったけど、確かに美味しいな。


 それに、満足そうでよかった。話がしやすい。


「昨日のは借りを返しただけって言ったでしょ、お礼なんていいのに..」

「いや、そんなのダメですよ。ちゃんとお礼しないと」



 少しの沈黙の後、彼女は切り出した。


「...その傷、やっぱりまだ治って無い、のね。悪い事をしたわ。あの後、ずっと反省してたの」


 彼女は、少し悲しい顔で話す。


「いや、この傷、回復魔法でも治らなかったんですよね。変な事もありますよね、あはは」


 二ニアさんが、不自然にも少し顔をしかめた。俺は、それを見逃さなかった。


「...何か、知ってるんですか」

「いや、、」

「僕、助けてもらったこと、本当に感謝してるんです。だから、僕は何も言いません。知ってる事を、話して欲しいんです。どうして、僕の傷は...」


 心にも無い言葉を、紡いでゆく。

 俺の切実な言葉に、二ニアさんは少し言い淀んだあと、口を開いた。



「..........傷が治らないのは、たぶん、私のスキル、《断絶》のせいだと思う」

「《断絶》?」

「そう。私の使う武器は、どんなものでも斬ることができる力を得る、そう、何でもね。そしてーーーーーーー回復魔法を無効にする、〈治癒阻害〉がつくの」


 その瞬間、レインの鼓動は高鳴り、息を飲んだ。


「それって、つまり...」

「私の攻撃はどんなものにも通用する。そして、つけられた傷は、自然治癒以外で治る事はない。この魔法は、魔王のような、凶悪で、莫大な力を持つものを殺すための、いわば呪いの力なの」


 ニニアさんは、悲しく俯いて話した。彼女にとって、その力は忌まわしきものなのかも知れない。


 しかし、レインにとって、それは〔救い〕の力でしかなかった。〈どんなものでも斬れる〉、そして、〈回復魔法を無効にする〉能力。それは、レインがずっと探し求めていた、あまりに魅力的な力。


「だからごめんなさい、人を傷つけるつもりはなかったの」


 ああ、やっぱりそうだったのか。


 無意識に、自然と微笑んでいた。彼女が何者だとか、魔王がどうとか関係ない。


 この人こそ、俺を殺してくれる、俺にとってのーーーーー≪運命の人≫、なんだ。


「ーー全然、気にしませんよ」

「本当に?治るのに結構かかるわよ」


 ニニアさんは、申し訳なさそうに言う。


「・・じゃあ、俺とパーティーを組みませんか」

「パーティー?」


 この人を、手放してはいけない。そう思った俺は、ニニアさんをパーティーに誘った。


 ・・・これからどうするのかは、これから考えればいい。


「はい。僕、パーティーに入ってなくて、2週間だけでいいので...」


 ニニアさんは、意外にも考えるそぶりもなく言い放った。


「いいわよ」

「へっ?!」


 拍子抜けな声を出してしまった。


「いいん、ですか」

「うん、私も今はパーティーいないし、1人だと、荷物やら何やらで色々大変だと思ってたの」

「ありがとうございます!」



 ついに、新たな一歩を踏み出す。


 俺は、そうして新たな希望とともに旅をする事になったのだった。




読んで頂き本当にありがとうございました。


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