22 新たな出会い
*《31階層》*
あれ、何もない。何かあると思ったんだが・・・てか、結局歪みも無いじゃないか!ここにもないのか。
レインがふと部屋を見渡すと、そこにはーーーー
「ひ、人......?何でこんなところに」
扉の後ろの隅に、1人の赤い髪の女の人が倒れている。
. . . . 誰だ、この人?寝てるのか?
慎重に近づき、様子を確認する。
「あの、大丈夫ですか?」
呼びかけても返事はない。呼吸はしっかりあるようだが、やっぱり寝てるだけなのか?
(別に起こさなくてもいいけど...)
俺は少し戸惑いながらも女の人に触れる。
「おい、おーい」
ゆっくりと体を揺さぶる。
すると、女は静かに瞳を開いたーーーーーーーー
その金色の瞳が俺を捉える。
「ふぁぁあ、ん?ここ、どこよ?」
女は戸惑ったような様子を見せる。
「あのぉ、大、丈夫ですか?」
「は?あなた誰よ」
. . . . 仮にも起こしてやったのに、口調が冷たい、、
「ここはダンジョンの最下層ですよ。僕は冒険者のレインです」
「ダンジョンの?ああ、まあ当たり前か」
当たり前?どういう事だ、てかこの人は一体どうやってこんな所に来たんだ?
「それで、あなたが起こしてくれたのね. . . 助かったわ、ありがと」
女は掴みどころのない笑みを見せた。
「いや、まあ、、」
何だ、この人。何を考えてるのか全く分からない......
すると、突然女は倒れこんでしまった。
「えっ!?だいじょうぶですか」
「まあ、意識はあるけど・・体が思った通りに動かないわね。ちょっと、そこの壁にもたれかかって休ませてもらえないかしら」
「いいですよ」
レインは女を抱え、壁へともたれかけさせた。
「ありがとう。ちょっと回復するのに時間がかかりそうだし、少しお話ししない?」
まあ、別にすることもないし・・・
「別にいいですよ」
「あなた、レインだっけ。私がどこから来て、なんで倒れてたか、知りたいでしょ?」
「は、はい」
正直、俺は少し興味があった。ラスボスはおらず、いたのは倒れている女一人。こんなことは、冒険人生で初めてだった。
「レイン、<勇者>って知ってる?」
「へ?まあ知ってますけど」
勇者?
「そう、じゃあ、あなたが知ってる<勇者>についての情報を話してくれれば、私も教えてあげる」
俺が助けたんだから、無条件で教えてほしいところだが・・・
「大体、どうして勇者なんかの情報を.....」
「いいから、早く教えなさい」
「はあ、」
戸惑いながらも、レインは勇者についての情報を話した。
「勇者については、噂程度なんですけど、よく耳にします。勇者の名前とかスキルは、よく知らないですが、、3年ほど前に魔王への歪みを見つけ、魔王と交戦した、と。その魔王のスキルは強大で、勇者は苦戦し、その姿は現在まで見つかっておらず、行方不明で、すでに亡くなった可能性が高い、と。まあ、ここバルサ国じゃ、勇者の情報なんてあんまり入ってきませんけどね・・・」
「さ、3年!?」
女は突然叫んだ。
「なんですかいきなり・・・てか、僕は話しましたよ、そっちもちゃんと話してください」
「あ、ああ、すまなかったわね。落ち着くわ。まず、私の名前は、ニニア。ニニア・ハインフォード。出身はハイド王国のガルサ地方よ」
へぇぇ、生まれはここじゃないのか。まあ、髪やら何やら、ここら辺とは全然違うし、そりゃそうか。
「それで、あなたの知りたい事よね。ーーー驚かないで聞いてほしいんだけど、私、ハイド国にあるダンジョンから、ここまで来たの」
「はい?何言ってるんですか?ハイド王国から、ここまで旅をしてきたっていう話ですか?」
そういう話が聞きたいんじゃないんだけど、、
「ああ、違う違う、そういうことじゃなくて」
「じゃ、どういう・・・
「私ね、そのダンジョンの最下層で、魔王とつながる〔歪み〕を見つけたの。私は、ついに見つけたそれに入り、魔王と戦うことになったの。でも、あっけなく負けちゃってね、その魔王の近くに偶然できた歪みに入って、何とか助かったってわけ」
「えっ、そ、それじゃあ、あなたが」
「そう、私が<勇者>ニニア。悪を打ち滅ぼす光よ。まあ、負けちゃったんだけどね」
その口から、衝撃的な事実が明かされる。
昔、聞いたことがある。〈英雄〉の他に、同等の力を持つ称号がある。それは、〈勇者〉と〈聖王〉。3つを合わせて《3大称号》と言うらしい。とんだ化け物じみた力を持っているらしいが・・・
この女が<勇者>だというにわかには信じがたい発言に、俺は困惑を隠せなかった。
「勇者、だって?あなたが?それって本当なんですか?」
「これ、冒険者証よ。見ていいわよ」
これは、汚れてて読みにくいが、確かに<勇者>と書かれている。しっかし、汚過ぎないか・・・
「本物、なんですね」
「ええ、そうよ」
レインは、もう一つ気になっていたことを聞く。
「それじゃあ、なんで倒れていたんですか。目を覚ましてなかったってことは、もう3年以上ここで倒れてたってこと、ですよね」
「まあ、そうみたいね。でも、理由は何となくわかるわ。まあ魔力の消耗でしょうね」
「そ、それって、もしかして、魔力を吸い取るっていう・・」
「そうよ、魔王のスキル。あんなの初めて見たわよ。長期戦になるほど、こっちの命はなくなってゆく。たまったもんじゃないわ、あの量の魔力を一気に取られたら、そりゃ昏睡状態にもなるわよ」
俺は、息をのんだ。魔力を吸い取るっていう魔法は、本当に、実在しているとわかった。俺の探し求めているものは、本当に存在しているんだ。
「でも、その魔法とか、勇者が魔王と戦ったこととか、なんで僕たちが知っているんですかね?」
「多分、私のパーティーメンバーが、言い広めたんだと思う」
「パーティー?ニニアさんにはパーティーがいたんですか?」
「ええ、3人ね。合わせて4人の勇者パーティーよ」
「へぇ~、、」
俺は、冒険者証と具体的すぎる話から、この話を信じるしかなかった。でも、見た目では全くわからない。まるで父さんみたいだな。・・・
「さて、そろそろ体が回復してきたわ、いろいろ教えてくれてありがとうね」
「いや、それはこっちも同じですよ。ありがとうございました」
二ニアさんは申し訳なさそうに口を開く。
「ちょっと、悪いんだけど、地上まで連れて行ってもらえないかしら」
「ああ、まあ良いですよ」
困っている人を送るくらい、どれだけ無気力でもできる。俺はテレポート使い、二ニアさんを地上まで送った。
「ありがとう、ここまでで十分よ。いつか恩返しするわ、必ずね」
そう言い残し、町の方へ去って行く。
「最後まで、信じられない話ばかりだったな」
<勇者>か、なかなかいい響きじゃないか。でも、勇者って、あれがほんとに勇者なのか?見た目じゃよくわからなかったけど....まあ、別にいいか。
今回も収穫なし。よっし、切り替え第一!次だ、次ぃ
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