20 長旅の末に
ーーーーーーー「はい、カナロ町だよ」
「・・・・・ついに、着いた」
久しぶりにこのバルサ国に戻ってきたな、、、なぜか、懐かしい風を感じる気がする。
何せ、ここにはS級のダンジョンがあるらしいからな。見過ごす訳にはいかない。
レインは再び一歩を踏み出した。
*〈クリミラ地区 カロナ町〉*
「すみません、ここって泊まれますか」
「ええ、大丈夫ですよ」
「1人でお願いします」
「はい、406号室ね」
よっし、じゃあいくか。
▽
*〈ダンジョン前〉*
さて、ここのダンジョンは・・・
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'邂逅の魔層'
階層 1/31
-1-
-2- 記録なし
-3- 記録なし
-4- 記録なし
・
・
・
・
・
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31階層か、なんか少ないけど、いいじゃないか。
「君、1人かい?ここはS級ダンジョンだ、君には少し早いんじゃ・・・・おい、無視すんなよっ!」
男は肩を掴む。
「は?何?」
「へっ、、い、いやぁ..何でも、無いです」
はあ、いつもいつも、うるさい奴ばっかだな・・・
*《1階層》*
さて、疲れを飛ばすために、さっさとやっちゃいますかね。よっし、それじゃあ行こ〜うーーーーーーーーーーーーーー
▽
*《9階層》*
やっぱ、S級はほとんど人がいなくて助かるぅ。どんどん進められちゃうわ。これは昼を前に、12階層まで行けちゃうかも・・・
それにしても、久しぶりのS級だからか、意外と魔物が強いな。もうちょっと余裕で行けるかなとか思ったけど....
あれ、人がいる。正直誰もいないのかな、なんて思ってたがーーー
「これでどうだぁ」
威勢がいいな、こいつ。てか、なんか聞き覚えあるんだよな、この声。どこだっけ?
「ふぅ、ふぅ、はぁ終わった」
戦いが終わった男は、振り返ってこちらへ戻ってくる。
「とりあえず、これで一区切りだな」
まあ、知らないふりしとけば何もないだろ。
ふと、顔を上げると、男と目が合ってしまった。
「あ、あ!!君、あの時の!レイン君じゃ無いか」
あれ、この人と会った事あったっけ?まずい、全く思い出せない。
「何だよ、その顔。昔ダンジョンで助けてくれたじゃ無いか。ほら、2年前くらいの、ラフィス・アルンだよ、ほら!」
「ああ〜〜、、」
そう言えば、いたなぁ、そんな奴。もうほとんど覚えて無いけど。あれ、てか・・・
「奇遇ですね、今もソロでやってるんだ、すごいなぁ」
「ラフィスさん、パーティーがいなかったでしたっけ?」
ラフィスさんは、少し顔をしかめる。
「まあ、色々あったんだ。とりあえず、ここじゃあ何なので、昼ごはん食べに行かないか?ちょうど食べにいこうとしてた所なんだよ〜」
ご飯か、もう少し進めてから食べようと思ってたが、まあ食べる時間が同じなら変わらないか...
「いいですよ、行きましょう!」
▽
「ここ、本当に入っていいんですか?」
「はい、とっても美味しいんですよ。ほらほら、早く入って!」
外見が、めちゃくちゃ高級そうだ。冒険者が入るような所にはまるで見えないけど、、
「すみません、予約してたラフィスです」
「ラフィス様、ですねお待ちしておりました」
「すみません、1人増えてしまったんですが...」
「問題無いですよ。今は少し空いていますし」
案内された席に座ったが、やはり中も豪華だ。こんな高級店、来た事がない。
「どうです?中も綺麗でしょう?」
「そうですね、、でも、こんな所に来ても良かったんですか?」
「大丈夫。ここ、冒険者にも人気なんだよ」
「ここが?」
周りには冒険者らしき人もいないけど。本当に冒険者に人気なのか?
「ちょっと、トイレ行ってくるね」
「はい」
そう言えば、俺も結構落ち着いてきたな。
昔と比べて、格段に良くなったと、自分でも感じる。
ーーーーー昔は、ずっと死ぬ事が中心だった。ほとんど死ぬ事ばかり考えてたけど........あれから2年半が経ち、俺の気持ちにも大分整理がついてきた。
まあ、こんなに経っても死ねなかったから、どうにか整理するしか無かったんだがな。
まあ、色々あったなぁーー
「ーーごめんごめん、今戻ったよ」
ラフィスさんが戻ってきた。意外と長かったな、、
「ーー失礼します。こちら、鹿肉のローストになります」
「うわぁぁ、美味しそう。さあさあレイン君、早く食べよう」
確かに、これは美味しそうだなぁ。見るだけでわかる。
「いっただっきまーす」
「いただきます」
「うんっ!うまいうまい」
やっぱり美味しかった!こういう店で、ハズレとかみたことないな。あぁ、ほっぺたおちそう...
「そういえば、パーティーって結局どうなったんですか?」
気になっていた事を思い切って聞いた。短刀直入に聞いてしまった、、いきなりすぎたかな?
「・・・実は、1年くらい前、あるクエストを受けたんだ」
ラフィスさんは静かに口を開いた。
「クエスト?」
「ああ。それは、ダンジョンの調査だったんだ。最近、魔力測定値が低いからって、、」
ダンジョンの攻略をする人は、基本クエストを受けない。だから、よほど頼みこまれたのだろう。
「そこのダンジョンには、異常は無かったんだかな...帰る時、テレポートが誤作動したんだ」
「誤作動?そんな事が・・・」
誤作動?そんなもの聞いた事がない。大体、ダンジョンのテレポートは距離が少ないから、ミスなんて起こらないはずじゃないか?
「テレポートの宝具が、大量の魔力を吸い取ってしまっていたそうなんだ。俺らはそんな事は知らずに、テレポートを使ってしまったんだ」
「じ、じゃあ、あの他の人たちはっ」
「もうどこか遠くのダンジョンに飛ばされてしまった。今じゃ、どこにいるのかもわからん」
悲しい事実が告げられ、雰囲気は一転、何だか暗くなってしまった。
「す、すみません。そんな話、話させてしまって・・・」
「ははっ、いや、いいよ。俺は、誰かに話を聞いて欲しかったのかも知れないな」
「べっ、別の話をしましょうっ」
まずい、このままの雰囲気はまずい...
「それじゃあ、レイン君は、2年間何をしてたんだい?」
「僕ですか?僕はーー旅ですよ。世界を旅して、走り回ってました」
「旅かぁぁ」
ーーーーそう、俺はこの2年半、世界にあるダンジョンを回る旅をしてきた。まあ世界といっても、ダンジョンというのは大量にある。そのほんの一部を、巡ってきた。
旅の狭間で、ダンジョンのランクが高いほど魔力測定値が高いと知った俺は、それからできるだけ高いランクのダンジョンを回るようになった。
そうやって、いつしか、もう200個以上のダンジョンをクリアしていた。
ーーただ、途中で、俺は気づいた。気づいてしまったんだ。『これ、無理じゃね?』って。
クリア数が50を過ぎたくらいからだろうか、なんか全然歪みは見つからないし、だんだん雲行きが怪しくなってきた。90を超えると、もう放心状態。最初に冒険者になろうと思ったのが、運命の尽きだったんじゃないかと思った。
ーーそこから、俺の中のモットーが少し変わった。毎回毎回期待するのをやめて、『あったら、いいなぁ〜』くらいのノリで行くようになった。そうでもしなきゃ、心労がとんでもない事になってたからな。
でも、心の奥底で、『死にたい』って言う叫びが、聞こえてくる。自分の気持ちに嘘はつけない。これは、自分の中で多分、心にしきりを置いてるだけだ。
そして俺は、あれからも変わらず、ずっと、《終わり》を探す旅をしてきたんだ。まあ、段々〈だらだら旅〉に変わってきてるんだけどなーーーー
「そういえば、この頃噂の勇者の話、知ってる?」
「勇者?いえ、知らないですけど...」
てか、最近はマジで人と喋ってないからな・・・噂なんて知ってるわけがない。
「3年くらい前に魔王と戦った勇者が、まだ行方不明らしいよ。もう死んじゃったんじゃないか、って」
「へぇぇ」
勇者って、確か・・・・・・ーーーーーーーーーーー
「よしっ、そろそろ出ようか」
「ごちそうさまでした」
ち、ちょっと食べ過ぎたな。
「ラフィスさんは、これからどうするんですか?」
「もう、ここを出ようと思っていてね。さっきのダンジョンは腕試しってところかな」
「腕試しって...ラフィスさんのランクって、いくつなんです?」
「え? B+だけど」
「えっ? 高っ」
あの時は知らなかったけど、そんなに高かったのか、この人。
「君に言われたくはなさ、はははっ」
いや、俺Dランクっていう設定なんだけどな・・・
「そんな事ないですよ。それじゃ、ここでお別れですね。本当にありがとうございました」
「いやいや、こっちこそ!話せてとても楽しかったよ。またいつか」
「はい、またいつか」
俺はラフィスさんと別れ、再びダンジョンへと向かった。
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