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英雄は終わりを求めて旅に出る 〜死を追い求めし世界最強の冒険録〜  作者: 了静


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21/26

20 長旅の末に

 



 ーーーーーーー「はい、カナロ町だよ」

「・・・・・ついに、着いた」


 久しぶりにこのバルサ国に戻ってきたな、、、なぜか、懐かしい風を感じる気がする。


 何せ、ここにはS級のダンジョンがあるらしいからな。見過ごす訳にはいかない。


 レインは再び一歩を踏み出した。



 *〈クリミラ地区 カロナ町〉*


「すみません、ここって泊まれますか」

「ええ、大丈夫ですよ」

「1人でお願いします」

「はい、406号室ね」


 よっし、じゃあいくか。



 ▽




 *〈ダンジョン前〉*


 さて、ここのダンジョンは・・・



 ーーーーーーーーーーーー

 '邂逅の魔層'


 階層   1/31



 -1-

 -2- 記録なし

 -3- 記録なし

 -4- 記録なし

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 ーーーーーーーーーーーー



 31階層か、なんか少ないけど、いいじゃないか。


「君、1人かい?ここはS級ダンジョンだ、君には少し早いんじゃ・・・・おい、無視すんなよっ!」


 男は肩を掴む。


「は?何?」

「へっ、、い、いやぁ..何でも、無いです」


 はあ、いつもいつも、うるさい奴ばっかだな・・・



 *《1階層》*


 さて、疲れを飛ばすために、さっさとやっちゃいますかね。よっし、それじゃあ行こ〜うーーーーーーーーーーーーーー




 ▽




 *《9階層》*


 やっぱ、S級はほとんど人がいなくて助かるぅ。どんどん進められちゃうわ。これは昼を前に、12階層まで行けちゃうかも・・・


 それにしても、久しぶりのS級だからか、意外と魔物が強いな。もうちょっと余裕で行けるかなとか思ったけど....




 あれ、人がいる。正直誰もいないのかな、なんて思ってたがーーー



「これでどうだぁ」


 威勢がいいな、こいつ。てか、なんか聞き覚えあるんだよな、この声。どこだっけ?


「ふぅ、ふぅ、はぁ終わった」


 戦いが終わった男は、振り返ってこちらへ戻ってくる。


「とりあえず、これで一区切りだな」


 まあ、知らないふりしとけば何もないだろ。


 ふと、顔を上げると、男と目が合ってしまった。


「あ、あ!!君、あの時の!レイン君じゃ無いか」


 あれ、この人と会った事あったっけ?まずい、全く思い出せない。


「何だよ、その顔。昔ダンジョンで助けてくれたじゃ無いか。ほら、2年前くらいの、ラフィス・アルンだよ、ほら!」

「ああ〜〜、、」


 そう言えば、いたなぁ、そんな奴。もうほとんど覚えて無いけど。あれ、てか・・・


「奇遇ですね、今もソロでやってるんだ、すごいなぁ」

「ラフィスさん、パーティーがいなかったでしたっけ?」


 ラフィスさんは、少し顔をしかめる。


「まあ、色々あったんだ。とりあえず、ここじゃあ何なので、昼ごはん食べに行かないか?ちょうど食べにいこうとしてた所なんだよ〜」


 ご飯か、もう少し進めてから食べようと思ってたが、まあ食べる時間が同じなら変わらないか...


「いいですよ、行きましょう!」




 ▽





「ここ、本当に入っていいんですか?」

「はい、とっても美味しいんですよ。ほらほら、早く入って!」


 外見が、めちゃくちゃ高級そうだ。冒険者が入るような所にはまるで見えないけど、、




「すみません、予約してたラフィスです」

「ラフィス様、ですねお待ちしておりました」

「すみません、1人増えてしまったんですが...」

「問題無いですよ。今は少し空いていますし」


 案内された席に座ったが、やはり中も豪華だ。こんな高級店、来た事がない。


「どうです?中も綺麗でしょう?」

「そうですね、、でも、こんな所に来ても良かったんですか?」

「大丈夫。ここ、冒険者にも人気なんだよ」

「ここが?」


 周りには冒険者らしき人もいないけど。本当に冒険者に人気なのか?


「ちょっと、トイレ行ってくるね」

「はい」



 そう言えば、俺も結構落ち着いてきたな。


 昔と比べて、格段に良くなったと、自分でも感じる。


 ーーーーー昔は、ずっと死ぬ事が中心だった。ほとんど死ぬ事ばかり考えてたけど........あれから2年半が経ち、俺の気持ちにも大分整理がついてきた。


 まあ、こんなに経っても死ねなかったから、どうにか整理するしか無かったんだがな。


 まあ、色々あったなぁーー


「ーーごめんごめん、今戻ったよ」


 ラフィスさんが戻ってきた。意外と長かったな、、


「ーー失礼します。こちら、鹿肉のローストになります」

「うわぁぁ、美味しそう。さあさあレイン君、早く食べよう」


 確かに、これは美味しそうだなぁ。見るだけでわかる。


「いっただっきまーす」

「いただきます」


「うんっ!うまいうまい」


 やっぱり美味しかった!こういう店で、ハズレとかみたことないな。あぁ、ほっぺたおちそう...


「そういえば、パーティーって結局どうなったんですか?」


 気になっていた事を思い切って聞いた。短刀直入に聞いてしまった、、いきなりすぎたかな?


「・・・実は、1年くらい前、あるクエストを受けたんだ」


 ラフィスさんは静かに口を開いた。


「クエスト?」

「ああ。それは、ダンジョンの調査だったんだ。最近、魔力測定値が低いからって、、」


 ダンジョンの攻略をする人は、基本クエストを受けない。だから、よほど頼みこまれたのだろう。


「そこのダンジョンには、異常は無かったんだかな...帰る時、テレポートが誤作動したんだ」

「誤作動?そんな事が・・・」


 誤作動?そんなもの聞いた事がない。大体、ダンジョンのテレポートは距離が少ないから、ミスなんて起こらないはずじゃないか?


「テレポートの宝具が、大量の魔力を吸い取ってしまっていたそうなんだ。俺らはそんな事は知らずに、テレポートを使ってしまったんだ」

「じ、じゃあ、あの他の人たちはっ」

「もうどこか遠くのダンジョンに飛ばされてしまった。今じゃ、どこにいるのかもわからん」


 悲しい事実が告げられ、雰囲気は一転、何だか暗くなってしまった。


「す、すみません。そんな話、話させてしまって・・・」

「ははっ、いや、いいよ。俺は、誰かに話を聞いて欲しかったのかも知れないな」

「べっ、別の話をしましょうっ」


 まずい、このままの雰囲気はまずい...


「それじゃあ、レイン君は、2年間何をしてたんだい?」

「僕ですか?僕はーー旅ですよ。世界を旅して、走り回ってました」

「旅かぁぁ」


 ーーーーそう、俺はこの2年半、世界にあるダンジョンを回る旅をしてきた。まあ世界といっても、ダンジョンというのは大量にある。そのほんの一部を、巡ってきた。


 旅の狭間で、ダンジョンのランクが高いほど魔力測定値が高いと知った俺は、それからできるだけ高いランクのダンジョンを回るようになった。


 そうやって、いつしか、もう200個以上のダンジョンをクリアしていた。


 ーーただ、途中で、俺は気づいた。気づいてしまったんだ。『これ、無理じゃね?』って。


 クリア数が50を過ぎたくらいからだろうか、なんか全然歪みは見つからないし、だんだん雲行きが怪しくなってきた。90を超えると、もう放心状態。最初に冒険者になろうと思ったのが、運命の尽きだったんじゃないかと思った。


 ーーそこから、俺の中のモットーが少し変わった。毎回毎回期待するのをやめて、『あったら、いいなぁ〜』くらいのノリで行くようになった。そうでもしなきゃ、心労がとんでもない事になってたからな。


 でも、心の奥底で、『死にたい』って言う叫びが、聞こえてくる。自分の気持ちに嘘はつけない。これは、自分の中で多分、心にしきりを置いてるだけだ。


 そして俺は、あれからも変わらず、ずっと、《終わり》を探す旅をしてきたんだ。まあ、段々〈だらだら旅〉に変わってきてるんだけどなーーーー


「そういえば、この頃噂の勇者の話、知ってる?」

「勇者?いえ、知らないですけど...」


 てか、最近はマジで人と喋ってないからな・・・噂なんて知ってるわけがない。


「3年くらい前に魔王と戦った勇者が、まだ行方不明らしいよ。もう死んじゃったんじゃないか、って」

「へぇぇ」


 勇者って、確か・・・・・・ーーーーーーーーーーー





「よしっ、そろそろ出ようか」

「ごちそうさまでした」


 ち、ちょっと食べ過ぎたな。



「ラフィスさんは、これからどうするんですか?」

「もう、ここを出ようと思っていてね。さっきのダンジョンは腕試しってところかな」

「腕試しって...ラフィスさんのランクって、いくつなんです?」

「え? B+だけど」

「えっ? 高っ」


 あの時は知らなかったけど、そんなに高かったのか、この人。


「君に言われたくはなさ、はははっ」


 いや、俺Dランクっていう設定なんだけどな・・・


「そんな事ないですよ。それじゃ、ここでお別れですね。本当にありがとうございました」

「いやいや、こっちこそ!話せてとても楽しかったよ。またいつか」

「はい、またいつか」


 俺はラフィスさんと別れ、再びダンジョンへと向かった。


読んで頂き本当にありがとうございました。


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