19 それぞれの過去
*今回も2人の視点が入ってます。すみません。
「ーーー失礼します」
扉を開くと、そこには少し暗い顔のギルド長が座っている。
「・・お前も、見たのか。さっきの対決を」
「はい、見ました」
「何だ、驚いてはいないようだな.....ああ、お前にはレインの見張りを頼んでたんだったな、ラント」
「・・・・」
正直、もしかしたらギルド長、いや、ライガ先生よりも強いんじゃないかとは思っていた。でも、本当に、、
「報告を頼む、あと、お前はあれをどう見る?」
「はい、レイン君はとてつもない力を持っていました。4魔法同時詠唱に、あの剣技。熟練の冒険者以上のとてつもなく強い力を持っていました。そして、・・・・・」
俺は、一瞬言うのを躊躇った。
「それに、何だ?」
「いや、、」
・・・言えない。そんな事、ある訳ないと思っていたい。
「言いなさい、ラント。大丈夫、他の奴には言わない。絶対だ」
「ーーー俺、昔、<英雄>に助けてもらったことがあるんです」
「ああ、知ってるさ。もう20年くらい前か?」
「はい、俺の村が魔物に襲われたとき、俺だけ逃げ遅れて、魔物の中で1番強いやつに食われそうになったんですけど、その時、<英雄>に、助けてもらいました」
「食べられそうな俺を、庇って、抱きしめてくれたんですけど、その時、その人は噛みちぎられたのに、傷がみるみる治ってくのを見たんです」
ーーーーーーーー〈23年前〉
「ねぇ、お母さん、おかあさん!!おかあさぁぁん!」
男の子が1人、家の中に取り残されている。
「うわぁ〜あ゛、おがあざん!」
「ーーそんなに泣くな、男だろう」
「ふ、ふぇぇ、おじさん、誰?」
「俺?俺はなあ・・・
『グァァル』
魔物が男に噛み付いた。
「う゛っっ、、」
「だ、大丈夫?!おじさん!」
片腕が噛みちぎられ、血が止まらない。
「大丈夫だ、心配ないさ」
「で、でもぉぉ」
その腕は、みるみるうちに再び生えてくる。
「へっっ?な、何で・・」
「大丈夫って言っただろう?ほら、お母さんのところまで行こうか ーーーーーーーーーー
「そんな感じで、腕が再生するのを見たんです。衝撃で、未だに覚えています」
「ああ、それはスキルの超回復だな。俺も一度だが見たことがある。持っているのは、たしか3つの称号だけだったか」
「はい。でも、見たのはそれだけじゃなかったんです」
「何?他のスキルも見たのか」
「はい。俺が救われた後ーーーーーーーーーーーー
「おい、この子どうするんだよ」
「アベルが守っといてくれ。俺はあいつを倒す」
「おじさん?」
「大丈夫だ、あの悪い魔物を倒しに行くだけだ」
英雄は前を向き、魔物の方へと向かう。
「お前たち、よくも村を襲ってくれたなぁ。全員、万死に値する。さあこいっ!」
『『『『グゥァァウルァウ』』』』
瞬く間に魔物たちは殲滅されてゆく、、。目にも止まらぬスピードで魔物たちが切り伏せられてゆく。
「か、かっこ、いい」
「ふふふっ」
そして、残るは魔物たちの王であろう巨大な一匹の魔物のみになった。
「はぁぁぁっ」
その時、背後から一つの影が襲った。
「○○○っっ!後ろだっ」
「おじさん!!」
一本の槍が、英雄を突き刺した。背後にいたのは、、、村長だった。
「はっっ、わしの計画を、お前ごときに邪魔されてたまるかっっ!お前でも心臓を無くしたらどうしようもなかろう」
英雄は、動かない。
「何も驚いてるのよ、アベル。あの人なら大丈夫に決まってるじゃない」
「ああ、すまない。ちょっと意外だったからな」
英雄の仲間は、動じない。どうして?だっておじさんは・・・・・
突然、英雄の胸が光った。
「眩しいっっ」
ガキィィン
心臓を貫いたはずの槍は、いつの間にか弾き返されていた。
「な、何をした、お前っっ、!?」
「お前が元凶か?お前が、こんなことをしたのか?」
『ガラゥゥ、ウア゛ぁ』
っっ!魔物がっっ
「うるさい」
一瞬にして、魔物の首が吹き飛ぶ。
「・・・へ?お、おじさんは.....」
「あ〜あ、怒っちゃったよ」
「○○○、怒るともう止められないですからね」
「おい、お前か?村をこんなんにして、ただで済むと思ってんのか」
「こっ、これはっ、村の奴らが悪いんです!」
「へぇ、じゃあ何されたか聞こうじゃないか」
村長の顔はさらに歪んでゆく。
「へっ?いやっ、そ、それは...」
「言えないのか?まあいい。悪魔にでもいいように使われたんだろう」
「な、何でっ、それを」
「もういい。よかったな、他に人がいて。いなかったら、どんな死に方してたか分からねぇからな。一太刀でおわらせてやろう」
ふと振り向くと、さっきまでいたはずの女の人がいない。
「ちょっと、もうやめておいて。殺すかどうかは法律で決めるの。もう終わりよ」
「で、でも」
「で・も・じゃ・な・い」
「はぁぁ」
ーーーーーーーーーーーーー
「こんな感じで、致命傷を負ったのにも関わらず、また無傷に戻ったんです」
「何?嘘をつけ、超回復は、致命傷を負った時点でもう回復はしないはずだろう」
「でも本当なんです。俺は見ました。絶対に嘘じゃありません」
そう、俺は、あんな小さな頃の話なのに、昨日のように思い出す。あれがきっかけで、冒険者になったのだから。
「だとすると、英雄は致命傷を負っても死なない、いわば無敵だと言うことか。まあ、人類の守護者と呼ばれる称号だ、そんなスキルがあっても、そこまで驚きはしないさ」
「ただ、どうしてその事が今で来るんだ?英雄は今関係ないだろう」
「それがーーー俺、見たんです。それと同じ光が、レイン君から出るのを」
ラントは真剣な眼差しで言った。
「はぁぁぁ?!ばかいえ、そんなのはお前の見間違いだろう」
「いや、そんな訳ありません。俺、見たんです。心臓を攻撃された瞬間、レインの胸の奥が光って、傷が治っていたのを」
「そんなのはでたらめだ。ラント、お前本気で言っているのか?腕を無くした衝撃で、幻想を見たんじゃないのか?」
「本気です!!」
力強い言葉と表情に、ライガは一瞬のけぞる。
「俺は、あの時救われて、冒険者になりました。今日、再び救われたとき、この目で見て感じたのは、あの時と同じ、衝撃でした。同じ感覚だった、、俺は、俺を救ってくれた力を見間違えたりしないです」
「そう、か、、お前がそんなに言うんだな」
「っっ、すみませんっっ!ひゃ、100%って訳ではないんですよ、ただ、俺は絶対そう思うってだけで、他のものの可能性も・・・」
やばい、熱くなりすぎた。まだ、何かの宝具とかの可能性もあるってのに、、、言い過ぎた。
「は、はははっ。いやいや、俺もその話、絶対に違うとは言えないんだ」
突然笑いだした?
「どうしてですか」
「それがな、これは誰にも言わないで欲しいんだが、<英雄>を授かだだ男、確か名前は・・・ガイル・アリオスだったか。そいつが、ここ数年ギルドに顔を出してないんだ」
「え?それって・・
「つまり、もうすでに英雄は亡くなってる可能性があるんだ」
その口から、衝撃の事実が伝えられた。
「で、でも、長旅をしているだけって事も・・」
「それが、ギルドだけでなく、目撃証言さえもないんだ。今、緊急で探してるんだが...」
死ん、でる?あの英雄が?ありえない、ありえない、
「そういえは、あの子の名前って、何だったっけ」
「名前ですか?レイン君ですよ」
「ああ、違う違う。族名だよ」
「え、族名?何だっけ、、」
あれ、そう言えば聞いてなかったっけ。
「まさか、聞いてなかったのか?」
「すみません、多分...」
「、、そうか。彼は、確かに謎が多すぎるな」
「彼は、一体何者なんでしょうか」
「わからない。でも、お前の言っている事が本当ならばーーーーーとんでもない秘密を、隠しているのかも知れないな」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
*《冒険者ギルド》*
「ええぇ〜、もう一つのダンジョンはもう攻略済み?!」
「はい、申し訳ないんですけど」
「そ、そんなぁぁ」
とほほ、結局収穫なしかよ。もうどうしたらいいんだか・・・
こうなったら、すぐに準備して、次のダンジョンに出発だ。スピード命!早くしないと、馬車がいなくなっちゃうじゃないか。
「急げぇぇ」
レインは宿へと駆け出していった。
▽
*《東門前》*
よし、やっぱ荷物が少ないとすぐに準備できていいな。早くしないと。
「すみませーん。その馬車、乗りまーす」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「何?!レインはもういないだとっ!」
「はい、確認させたのですが、宿はすでに出て行った後で、もういない、と」
「じゃあ、まだこの町にいるかも知れないんだな」
「はい、それは、まだわかりませんが」
これは最後のチャンスだ、逃す訳にはいかない。
「おい、修練場にいる生徒たち、全員呼んでこい!」
「は、はい。かしこまりました」
今なら、もしくは、、
▽
「どうしたんですか、先生。いきなり...」
「お前ら、いいか、この男を探してこい。名前はレイン。レインだ」
「ちょっとまって、これさっきの男の子じゃないか」
「ああ、そうだ。まだこの町にいる可能性が高い。早く町にでて、探してきてくれ!」
「「「「「「「「はい」」」」」」」」
さて、これで見つかればいいが・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「よぉし、着いた、ここがーーーーーーーーーーー
レインの旅は、まだ始まったばかりであった・・・・・・・・・
そして、時は流れてゆくーーーーーーーーーーー
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