最後の読者
最終エピソード掲載日:2025/12/05
三年前に閉館した古い市立図書館。
最後の利用者だった「僕」は、閉館後もこっそり複製した鍵で毎夜忍び込み、誰もいない書架をさまよっていた。
ある夜、三階の閉架書庫で背表紙に何も書かれていない黒い本を見つける。
ページを開くと、そこには自分の筆跡で書かれた日記が綴られていた。
しかも、日付は今日、そして明日——。
貸出カードには「僕」の名前と、返却予定日「明日」が記されている。
本の内容は、図書館に忍び込む「僕」自身の行動を、まるで未来から記録しているかのようだった。 やがて背後で足音がし、振り返った先にいたのは、もう一人の「僕」。
同じ顔、同じ服、同じ懐中電灯。しかし目は長い闇に慣れきったように濁っている。
「ここは閉館したんじゃない。僕たちが閉じ込められただけだ」
そう告げられた瞬間、図書館は無数のページをめくり、無数の貸出カードが舞い上がった。
すべてに「僕」の名前、そして返却予定日は永遠に「明日」。 今、僕は三階の閉架書庫でその黒い本を抱え、次の「僕」を待っている。
鍵はもう複製してあるだろう。
君が来るのを、ずっと待っていたよ。
最後の利用者だった「僕」は、閉館後もこっそり複製した鍵で毎夜忍び込み、誰もいない書架をさまよっていた。
ある夜、三階の閉架書庫で背表紙に何も書かれていない黒い本を見つける。
ページを開くと、そこには自分の筆跡で書かれた日記が綴られていた。
しかも、日付は今日、そして明日——。
貸出カードには「僕」の名前と、返却予定日「明日」が記されている。
本の内容は、図書館に忍び込む「僕」自身の行動を、まるで未来から記録しているかのようだった。 やがて背後で足音がし、振り返った先にいたのは、もう一人の「僕」。
同じ顔、同じ服、同じ懐中電灯。しかし目は長い闇に慣れきったように濁っている。
「ここは閉館したんじゃない。僕たちが閉じ込められただけだ」
そう告げられた瞬間、図書館は無数のページをめくり、無数の貸出カードが舞い上がった。
すべてに「僕」の名前、そして返却予定日は永遠に「明日」。 今、僕は三階の閉架書庫でその黒い本を抱え、次の「僕」を待っている。
鍵はもう複製してあるだろう。
君が来るのを、ずっと待っていたよ。
最後の読者
2025/12/05 20:56