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父の入院で思ったアレコレ

掲載日:2025/11/18

11月に入って今年6度目となる父(78歳)の入院手続きをした。

同じ病院に入院するっていうに毎回同じ書類に記入するのは本当に面倒くさい。


入院費支払いの連帯保証人

これまでの病歴

緊急連絡先(自宅、携帯、職場の連絡先)

介護保険の期間やらケアマネージャーの方の名前 など…


毎回、書いているのに毎回内容を忘れて、

「えーっと、この電話番号は何時から何時までで」

「あれ、ケアマネージャーの人の施設名ってなんだっけ?」

「コロナとかインフルのワクチンって最後に打ったのは…」

「父との続柄って次女? 二女? どっちでもいいかー」

なんて一人てんやわんやしている私の隣で父はボーっと他人事…。


こっ、こいつ…

自分の事なのに何故私が記入しないといけないんだ!

と父にイライラしても傍から見れば、ヨボヨボのおじいちゃん。

耳が遠い父に私が、

「ねえ、ちょっとワクチン最後に打ったのいつだっけ?」

大きめの声でそう聞いても、

「はぁ? なんて?」

と、とぼけた返事をする父にイライラが増す始末。

周りを見回せば老人と40~50歳代セットの親子っぽい人たちはよく見るけれど、どの人も穏やかに会話をしている。

診察室から出てきて、

「よかったねー。何ともなくて―」

なんて優しく声を掛けている同年代であろう娘さんを目にすると、私はなんて冷たい人間なんだと思う。

これまで父に対して優しい言葉なんてかけた事はあっただろうか?


猛暑日に杖をつきながらヨボヨボと歩いている見知らぬおじいさんには「こんな暑い日に歩いてどこに行くのかな? 大丈夫か?」と心配になるのに、家でゴロゴロしている父を見ると「こいつ、またゴロゴロしやがって。外に出て歩き回れよ!」と思ってしまう。


思い返せば40年の私の人生。

父との会話をぎゅーっとまとめても1時間にもならないんじゃないかってくらいほとんど話をしたことがない。

そのうち40分くらいは今年に入ってから話した時間だと思う。


子供の頃、父の機嫌が悪いとすぐに頬に平手打ちが飛んできた。

ある時は私の足にとまった蚊を殺そうとするのはいいけど、蚊を潰そうとしているのか私の足の骨を砕こうとしているのかわからないくらい腕を大きく振りかぶりバチンと叩かれるふくらはぎ。

皮膚に電気が走ったような痛みと骨にずしんとくる重み…。

泣いたら「泣くな!」と怒られるから歯を食いしばって痛みがなくなるのを静かに待つ。

子供の頃からひねくれて可愛げのない子供だった私はもともと子供嫌いな父にとっては本当に憎たらしい子供だったんだろう。

10歳年上の姉は明るく、おしゃべり好き。

ネガティブオーラを纏った私とは全然違う。

姉1人でよかったではないか、そう思って最近父に聞いてみた。

「子供が嫌いなのになんで2人目を作ったのか?」と。

答えは、

「姉ちゃん1人じゃかわいそうだったから」


・・・


・・・


・・・ああ、そうか。

   姉ちゃんのために私が生まれたのか。


そうだとしたら、成功だったと思う。

私が実家を出ようとした時、既に結婚をして近所に住んでいた姉は「私に親の面倒を見させる気?」と言っていた。

散々、母に孫の面倒を見てもらっていたというのにそりゃないぜ。

姉の言葉なんて無視して、全てを切り捨て、家を飛び出ればよかったのに私にはそれが出来ずダラダラと今に至る。

私の選択ミス。

誰のせいでもないけど、どうしても思ってしまう。

「どいつもこいつも自分の事ばっかりで私を使いがってのいい駒だと思っているのか!」

「私は親の所有物なんだろうな…」 とか。

最近では「現世で徳を積んで来世はいりません」と言えるようにしたい、とか。

文字にすると馬鹿らしいけど、心が疲れてふとした時にそう思う。


さすがネガティブ。

そんな自分が結局は好きなのか?

好きなんだろうな…。

徳を積む!なんて意気込んでみても父から殴られたことは許しちゃいないし、許す気もない。

許しはしないけど面倒は見る。

いやいや、そこは許してこそ徳のポイントが2倍くらいになるんじゃない?

なんて頭じゃわかっているけど、その域にはまだ達せていない。

修行が足りんな・・・。

って、こんなのってどこで修行すりゃいいんだろ?


ヨボヨボの爺と化した父。

背中に蹴りを入れりゃあ、一瞬でサヨナラになってしまうだろうに…と頭の中では飛び蹴りを食らわせているが実際にはできない。

きっと父のヨボヨボ加減が冷酷な私の心に微かに残っている庇護欲を刺激するんだろう。

入院手続きが終わり、病室まで見送る途中。

私の後ろをトボトボと歩く父を振り返りつつ「早く歩けよ」と思うと同時に「ちっちぇーなー」と少し切なくなる気持ち。

病室のベッドにちょこんと座る父に、

「じゃあ、帰るね」

と言いつつ、ベッドをぐるりと囲うカーテンをなかなか閉められず心のどこかで「こいつを見るのもこれが最後かも」なんてうっかり泣きそうになる自分。

父の事は好きではないけれど、どこかで無事であれと願う自分。


どうせ退院の日に病室に行って、へらぁっとだらしなく笑う父にイラっとするだろうにな。


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