表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツンデレ黒豹獣人の溺愛。「あんた、私のこと好きだったんだ?!」  作者: ミカン♬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

12 キスリー侯爵家

 キスリー侯爵家に到着した。門番が何か言ってきたけど、無視して敷地に踏み込む。

 わらわら出てきた護衛兵も一瞬で片付けて、気づけば立派な屋敷の中。


「このような無礼は許されません!」

 エントランスで執事っぽい男が怒鳴る。けどアランが澄ました顔で「当主にお目通り願いたい」と告げた。


 少しして現れたのは父と同じくらいの年の男。侯爵家の次男、モートン。

「ギルド長自らとは、さて? どんな御用かな」


「受けた依頼の報告だ。老侯爵に会わせろ」


「父は臥せっている。お引き取りを──うっ!」

 アランのナイフが、モートンの首筋にぴたり。


「御託はいい。呼んでこい。死にたいか?」



 使用人たちがわーわー騒いでるのを横目に、私達は客室に落ち着いて、老侯爵の到着を待っていた。

 でも先に現れたのは、父の部下に引き連れられたビルド商会の面々。

 車椅子のダリオンに、奥さんのポーラ、そして会長まで勢揃いだった。


「情報ギルドの会長! これは一体どういうつもりだ! こんな横暴は許されんぞ!」

 入ってくるなり、商会会長が父に食ってかかる。


「お前の娘が、ダリオンの捜索依頼を出したんだ。その報告もあってな」


「必要ないわ! 夫は見つかったの。もう終わりよ!」

 ポーラが怒鳴る。


「アリー! 侯爵家に逆らって無事でいられると思うな!」

「ごみくず詐欺師は黙ってなさい。あんたの始末は後で私がやるから」

 ピッチフォークを向けて私は言い放った。


「な、なにを……」

 ダリオンは口をパクパクさせて黙り込んだ。

 ……どうしてこんな男に恋してたんだろう。ほんとにもう、大嫌い。


「貴様が俺の娘を騙したことは承知している。覚悟しろ」

 父が低く言い放つ。その瞬間、場の空気が凍りつき、ダリオンは黙って背を丸めた。


 ああそうか。私が情報ギルド長の娘だって、あいつ最近知ったんだ。

 取るに足りない町娘だと思って四年も騙し続けた。全く馬鹿にしてくれたもんだ。


 そこへ杖をついたキスリー老侯爵がようやく現れ、全員が揃った。


「報告はモートンから受けている。今さら何の報告かね?」

 老侯爵がソファに腰を下ろし、静かに問う。


「たくさんある。順番に話そう。ルッツ、お前が説明しろ」

 父がファイルを差し出す。


「は? なんで俺が……そういうのはアランの役だろう……」

 文句を言いながらも、ルッツは渋々報告書を開いた。


「長男ミハイルは獣人のケイトと駆け落ち後、行方不明。当ギルドが捜索した結果、二人の死亡を確認」


「やはり……死亡していたのか。奇跡的にダリオンだけが生き残ったのだな」

 老侯爵の目が潤む。


「お爺様、泣かないで下さい。俺は……」

「チッ、茶番はいい。続けるぞ」

 ルッツがあっさり遮る。


「残された遺児は、ケイトの友人夫妻に預けられていた。それがダリオン──というのがモートンの報告なんだな」

 ポンポンとルッツは報告書を手で軽く叩いた。


「そうだ!」

 ダリオンが拳を振り上げる。

「俺こそがミハイルの遺児で、侯爵家の正当な跡継ぎだ!」


「はあ? あんたが?」

「チンピラの貴様が、そう報告しただろう! なあ、ポーラ?」

「そうよ! 私が侯爵夫人なのよ!」


 モートンが鼻で笑った。

「甥っ子ダリオンはタマなしだ。跡継ぎは無理だ」

「叔父上だって子どもはいないじゃないか!」

「親戚筋から養子を迎える。お前は用済みだ。消えろ!」


 言い争う二人。そこでルッツがパンッと手を叩いた。


「へぇ、仲間割れかよ。ああそうか。欲張りなビルド商会が侯爵家の座まで狙ったんだな。ダリオンはそのせいでタマ取られ……いや、殺されかけた。だよな、モートンさん」


「チンピラは黙れ。兄ミハイルが死んだ報告は確かに受けた。これ以上は身内の問題だ。帰れ」


 ルッツが派手な花柄シャツを着崩しているから、完全にチンピラ扱い。……ちょっとむかつく。

 父みたいにスーツを着こなせば、ダリオンなんかよりずっと素敵なのに。



「お前たち、いったい何を争っているんだ?」

 老侯爵が眉をひそめる。


「老侯、このチンピラの顔に見覚えはないか?」

 父が突然ルッツを指差した。


「……会った覚えはないが」

 じっと見つめて、ぽつり。

「似ている……」


「当然だ。こいつがミハイルの遺児だ。俺がずっと預かっていた」


「えええええーーーっ!」

 叫んだのは私。だって、嘘みたいでしょ!?


「嘘だ! 遺児は俺だ!」

「そうよ、指輪が証拠よ!」

「父上、騙されないでください!」

「いや、孫はダリオンなのでは……?」

 部屋中に声が飛び交ってカオス状態。


「うるせえ! ボスが報告中だ、黙れ!」

 ルッツが一喝。……なんか、格好いい……。

 でも彼が本物の遺児? ──全然信じられない。


「間違いなくこのルッツがミハイルの遺児だ。あの指輪は、ルッツが幼い頃にビルド商会に売られたもの。ダリオンたちはそれを悪用して侯爵家を乗っ取ろうとした」

 父の声は確信に満ちている。


「た、確かに……ミハイルに似てはいるが……」

 老侯爵の目が揺れる。


 まあ、チンピラみたいな孫にちょっとガッカリだろうけど、これだけは言いたい。

「ルッツはダリオンの数千倍イイ男よ!」


「……はあ、俺はもういいよな?」

 ──ルッツ、話題の中心人物なのにもう退場するの? ほんと自由すぎる。


読んで頂いて有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ