モンスターて強いんじゃね?
ビュン、ビュンヒュンヒュン、ビュンビュン……
サイコな奴に得物を持たせてはいけない。
いけない…
「やたらしなるしめっちゃ頑丈‼︎最高です!」
話は食事時のより後迄遡る。
ゴゴゴゴゴッ
たらふく餃子や肉、肉、野菜を炒めては食べ満腹感で草の上で大の字に…クロが
ゴゴゴゴゴッ
「少し、少し寝かせてくれー」
「おいおいせめて人がいる町か、一晩明かせる場所探してからに…」
ゴゴゴゴゴッ
ん?
「俺らこんな大木のそばにいたっけ?てかこんなに森近かったっけ?」
「んー?どうでもよくねー?少し、少しだから先っちょじゃ無いから寝かせ…」
バシンッ
「痛えぇええ!」
そう一瞬、一瞬の出来事だった。
大木が枝を、太さ的には一握り程の枝を振り下ろしていた。
さぞ痛いだろう…モロに受けていた。
俺はその場で動けずにいた。だってそうじゃん!
ジョブは料理人、相手は樹齢何百年?クラスの太い幹の胴体に高さは学校の屋上に迫らんばかりの巨体の化け物だ。
しかもこちらの化け物を一撃で屠ったのだ。
成仏しろよー森下〜
ただ二撃目はなかった。すぐ倒しちゃったよ…うちの化け物は…
いつちぎり取ったのかクロの左手に大木が振り下ろした枝があり、横一線薙ぎ払う形で振り大木の幹?胴を上と下でお別れさせていた。恐ろしい。
しかも顔面に一撃食らっていたはずだが…
「おいおい顔面大丈夫なんかよ?」
「女形は顔が生命線!無傷!」
本当に無傷でやがる(汗)
ビュンビュンヒュンッ
「やたらしなるしめっちゃ頑丈‼︎最高です!」
そう言いながら枝を振り回してやがる…
ある程度扱いが馴染んできたのかアイテムボックスから取り出した包帯を握りの部分に巻いていく。
「さあて行こーぜぃ」
目をキラキラさせながら小学生みたいに冒険心に火を灯したようだ。
どれくらい草原を進んだだろうか道中冒険キッズのせいで無駄な寄り道はあったが…
「おおー、町だ町!まっさん!異世界初の人のいる街や」
「そう…だなぁ」
「早く行こーぜぃ!」
…
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城壁?の様なもので囲まれたそこそこ大きな街のようで入り口付近には入場の待ち列が出来ていた。
馬が引く馬車も何台か並んでいた。
サイコキッズクロさんから言わせると…睨んでくる…
行商の馬車やららしい…そこで疑問なのだが
使徒は確か言っていたこの世界は発展乏しく、各所に人々はいるが互いに交流もなく、戦も無いと…
「普通に人が交流、交易する流れが出来てんなぁ…」
「使徒の意図が読めない。しかし異世界転移した場合俺は最初に会うのが神や人なら疑えっていったろ?くくく」
したり顏しやがって…まぁコイツに全部丸投げにするって決めたわけだし(汗)そーゆーややこしい事も任せとこっと。
列も進み鎧を着込んだ衛兵?みたいなのと対面する事になった。
入管みたいなもんだって思うが俺ら身分を示すもんて何も持って…
「こんにちは、ツェフィレンの街に何用で?」
「ッ!!!」
「舌噛みそうな名前の街なんすね(笑)」
「ははははは!お嬢さんなかなか言ってくれる!
一応歴史ある街でロアガルド国内で3番目に大きな街だぞ!よっぽどの田舎から来たのかい?」
「まぁそんな所です。貧しい村で生活に苦労しましたがこの度大きな街に移り、父と食堂でも開こうと思いまして…」
よくペラペラと回る口である(汗)俺は嘘がバレないかと冷や汗ものだ。
「お父さんは料理人なのかな?それともお嬢さんが?」
「っ」
衛兵はこちらに話を投げてきた。
「すみません。父はこの通り無口であまり他人と交流出来ない不器用な所があるんです!でも料理の腕は一流なんですよ!最初は露店から始めるつもりなんで良かったら来て下さい!」
衛兵は再び俺を見る
「なるほど了解した。では通ってくれて構わない。武器も持っていない様だし、大きな荷物も無い様だから特に問うところは無いようだ。この時間だと宿も混み合うし少し急いで宿を決めるといい。どこもいっぱいだったら火の酒亭と言う酒場に行くといい素泊まり宿もやっている」
「ありがとうございます。」
40間近のオッサンが愛らしい笑顔で返事しているなどと衛兵は知るよしも…
睨むな睨むな