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⑹『仮病をしよう』
⑹『仮病をしよう』
㈠
俺の仮病も、どこかで停止するんだろうな、そんな考えだと、闇の中で蠢いているだけだろう。貫き通すならば、とことん仮病で行けよ、と叱咤激励する神は、しかし叱咤激励以外のことは、俺には呟かない、そして、何処かへ行ってしまった様だ。
㈡
であるからして、俺の仮病を、どこまで続けるか、と言う神との対味に入らないので、迷っていたが、やはり、仮病を貫き通す、この言葉は、心底精神に響いたのである。そうか、そうすれば良いんだ、成程な、と言う感じである。
㈢
であればこそ、俺はどこまでも頑なに、仮病で居たいのであって、それが、自分の生きる道なのだと、そんな風に脳内で反芻されるから、俺は、そうかそうかと、何度も自認しながら、この小説の続きを書いて居る、と言う俯瞰状態だ。