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⑴『仮病をしよう』

⑴『仮病をしよう』



俺は、満を持して、取り敢えず言って置くが、仮病をしたことはない。しかし、段々、真面目に生きるのも辛くなって来た。時には、嘘を付くことも、人の為ならば、良いのかもしれない。そんな意味で、今日の一日を自分のためのものだけにする、仮病をしよう。



簡単な訳じゃない、まずは、隣人を騙さないと駄目だろうが、良心にひびが入りそうだ。そうであるからと言って、もう決めたことだから、仮病をしよう。休息のために、虚ろな眠気に任せて、仮病をしよう。そう決めたんだ。



いつになったら、明日が来るのか、と思う程ゆっくりと、一日を過ごすんだ。まずは、コーヒーを、温かいコーヒーを飲みながら、時計を気にせずに、瞼を閉じては開き、開いては閉じ、呼吸をしながら、仮病をしよう。どこまでも、ズルい感じで。

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