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暗闇の人
あれから2週間が経った。あれから外には1歩も出ていない。部屋からすらほとんど出ていない。最近周りが真っ暗で誰かがサナのせいじゃないと言っている気がする。昨日、お母さんが才子ちゃんが来たと扉越しに言っていた。
更に数日が経った、今日はご飯が置いていなかった。いつも残していたから怒ったのかな。静か過ぎる。今日一日物音が全然聞こえない。嫌な予感がして階段を降りた。
お母さんがリビングの椅子に座りお茶のこぼれた机に上半身を乗り出していた。私のせい…また。きっと私が閉じこもったからだ。またなの、もういいや。
私はキッチンから包丁を取り出し、自分の首に冷たい刃を当てる。そのとき、インターホンが鳴った。しばらく静止していたが、その間もインターホンは鳴り続けた。玄関に向かい包丁を置くのも忘れ玄関に出た。才子ちゃんだった。才子ちゃんは私の持つ包丁に目をやり、次にリビングに目をやった。そして、私にこう言った。
「ごめんね、りなちゃんのせいじゃないよ」
私は泣き崩れた。
主人公は母子家庭の一人っ子です