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八話 勇者パーティーの実力

 私……エリスが生まれたのは何の変哲もない村だった。

 一般的な生活ができるぐらいには豊かで、平和で、そして退屈な場所だった。


 それが幸せなのは分かっていたけど、やっぱり物足りない。それが生まれ故郷で生活していた私の感想だ。

 ただ人生はずっと平凡ではないと言うか、平和な村でも私に変化が訪れた。


 きっかけは一つの本から。

 その本に描かれているのは私が生まれているかいないかのお話。

 世界に青空がまだ戻っていなくて、魔物達が人類を蹂躙していた絶望の時代のお話。

 同時に世界各地で人類の希望が現れて、最後は魔王が倒されるお話。


 その本に描かれていた勇者達に憧れた。

 なんて事はない。子供によくあるカッコいい存在に憧れる現象と同じだ。ただ違ったのはそこから。


 父親が元冒険者だったから練習用の木剣を借りたり。

 父に冒険者になりたいと言ったら、農業のお手伝いのご褒美として訓練をしてもらえるようになったり。

 お母さんも元魔法使いだったから、基礎的な魔法も教えてもらったりして。

 親のお手伝いを終えたら修行して寝て、朝起きたら親のお手伝いと、そんな充実した日々を過ごしていた。


 それに色々冒険について教えてもらった時に気付いたが、どうやら私には才能があったらしい。


 天才にしか出来ないと言われる無詠唱ができるようになって、剣筋や体の動かし方も人より上手でその成長も人より早い。


 まだ子供のうちに親を超えるほどの実力を持つほどには才能はあった。それでも怠惰にならずに修行を続けた。絵本に描かれていたあの人達には全く届いていないから。


 目標は勇者の旅に書いてあった勇者……ではなく殺しの化身。最初は目標すらもアヤフヤで正直四人と同じくらい強くなりたい! みたいな感じだった。


 殺しの化身みたいになりたい!

 そう思えるようになったのはいつからだろう。

 確か旅を始めた頃にはそうなっていたはず。旅を始めて少し経ったくらいだろうか?


 それとも──


『エリス、旅に出るか?』

『………………うん、出たい。出てすごく楽しい事したい!』



 ──ヴォルフ先輩に会った時からだろうか。



「ぅ……あ」


 少しの間だけ意識を失っていたようだ。

 なんとか現実へ戻る事が出来たが身体中が痛くてろくに話せやしない。

 周りは……木がある筈だが大量の紫の煙で何も見えない。

 なぜ?


(……そうだった。あの光に巻き込まれたんだっけ)


 朦朧としながらも思い出そうとすれば、頭の中がハッキリとしてきた。

 自分の全てを覆い尽くす巨大な紫の光。私の魔力防御が間に合うわけもなく、ゴールドランクの魔法を遥かに上回るそれを直撃してしまったのだ。


 本当なら骨すら残っていないだろう。


 だが今の自分はなんとか生きている。

 腕も足も胴体にくっついたままだ。体のあちこちが痛すぎて声すらまともに上げられないが。


 今の私ならその辺りの犬にでも負ける自信がある。

 そんな意味の無い自信を持った私にドスン、ドスンと………ゆっくりながら重い足音が近づいていた。


 紫に染まった煙の中でも一際目立つ黒紫色の光。

 神秘的で人を魅了しそうな程の美しさを放っているが、その持ち主と言うべき破壊の使者(ディストルポス)が最悪だった。


 煙から姿を表せば宝石の輝きも台無し。

 さっきの破壊光線モドキのせいか、森も地面も空も紫色に変わってしまった世界で黒い()を持った死神が現れた。

 これでは一風変わった地獄である。


 加虐的な表情を浮かべてゆっくりと迫るディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)が音を鳴らす。奴が爪とぎをする度に鉄と鉄が交わる音がする。


(あはは、いい切れ味じゃん……)


 今の私の気持ちはギロチンを待つ処刑人だろうか。

 あれで斬られたらとっても痛そうだ。



『イタイ…………!!』



(………………ふざけんなっ!!! リッカの分お返しできてないじゃん!!!)



 脳裏によぎった後輩の姿。

 一生片腕で生活する事になった彼女に対する申し訳なさ、このニヤニヤ顔を止めないクソ魔獣に対する憤怒、そして彼女を守れなかった情けない己に対する激情。

 

 感情が昂り失われた戦意を取り戻してくれる。

 けれど現実は残酷だ。


(動け……! 動けよ私の腕っ!!)


 折れた腕は全く動いてくれなかった。

 力を入れようとしても痛みが走るだけで腕は私の期待に答えてくれない。激情に駆られる私の心とは裏腹に、敵はゆっくりと楽しみながら迫ってくる。


 でも、それでも諦めない。


(まだ冒険してない……!)


 未知なる冒険。

 誰も訪れた事のない場所を……

 絵本のように色んな人や色んな出来事に出会っていきたい。


 敵が爪を振り下ろす。

 私の目がしっかりと三つの爪の先端を移してしまう。

 奥の方でディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)の嘲笑う笑顔が見えて、嫌な気分になってしまう。


 人生の幕引きはこんなあっさり終わってしまうのか。


(死にたくない……まだ絵本みたいな冒険なんてしてないのに。……するんだ私は絶対に冒険するんだ……!!!)




 私を本みたいに冒険へ連れて行ってくれた。

 あの先輩と一緒に!!




 そうして爪の先端が私の目に触れる直前。

 空から一個の弓矢が堕ちてきた。
















『ガァァァァア!?!?』



 まさか横槍が来るとは思わなかったのだろう。

 文字通り横へ吹き飛んだディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)は弾丸のスピードで森の中を駆け抜けていく。

 途中で木にぶつかろうと勢いは止まらない。むしろ一メートル弱の太さを誇る木すら貫通してそのまま吹っ飛んでいくだけだ。


(ぇ……今のって………………いやいやいや)


 突然の状況変化に、さっきまで殺されそうになっていたエリスは呆然するしかない。置いてけぼりと言ってもいいだろう。


 けれど。


 呆然としながらも目の前の光景にできる人物は、エリスの中でたった一人。たった一人だけ頭の中に浮かんだ。


(でも……村から出て行ったんじゃ? だってあの人は役立たずの私を捨てたんじゃ……?)


 混乱しながらもエリスがそうさせた張本人……さっきまで敵がいた方を見た。


 一人の男が立っている。


 彼女もよく知っている、一生会うこともないだろうと思っていた彼が守るように立っていて──


「エリス」


 聞き慣れた声だ。

 昨日話したばかりなのに久々に聞いた気すらする。


「大丈夫じゃないか」


 少し暗い顔をしながらこちらへ駆け寄ってくる彼。

 絵本の勇者と同じ様にエリスの前に立ったのは間違いなく、彼女が憧れた冒険者ヴォルフだった。


「せ、ん……ぱい………………」

「……色々言いたい事はあるだろうけど、まずはこれを飲んでくれ」


 満足に体を動かせない彼女の口へ、ヴォルフは小さい水筒を取り出して飲ませた。緑色の液体が彼女の体の中へ入っていくと体の傷がみるみると消えていく。

 骨折も怪我による疲労感も最初からなかった様に消えた。さっきまで一ミリも動かせなかった指も今では握れたり広げられたりと問題なく動かせる程に。


「怪我は治ったな。なら少し離れた所へ行ってほしい。まだアイツが──」


 エリスが顔を上げれば冷静に話し続けるヴォルフと、すぐ隣まで迫ってきているディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)


「先輩離れてくだ──!!?」


 エリスの声が間に合うはずもなく。

 ヴォルフの顔の隣には数倍デカい三つの爪が並んでいた。推定でも百メートル以上は軽く吹っ飛んでいた筈なのに、一瞬で縮めるこの速度とこの静けさ。


 さっきまでの戦いはお遊び。エリスが命を賭けた一戦も相手からすればおままごとに過ぎなかったのだと、彼女も嫌でもわかってしまった。


 音速。


 ギリギリ見切れたエリスは冷静にそう判断した。

 ゴールドランクの冒険者でさえ防ぐ事が不可能な速度。常識的に考えて防御不可能のソレ。


 ──いやもしかすると、ミスリル級ですら不可能ではないか?


 そう思ってしまった瞬間に。

 ディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)の爪がヴォルフを捉えた瞬間に。

 エリスは時が止まった錯覚に落ちた。


 恐怖による錯覚。

 絶望の光景を見たくないが故に、目の前の光景(未来)を否定した脳の反射作用。


 

 憧れの先輩が死ぬ。



 エリスが想像してしまった最悪の未来を──




 ──殺しの化身たるヴォルフが殺した(斬った)




「──さい!!?」



 エリスが言い終えた時には事は終わった後だった。

 静かだ。風の音さえも全てが死んでいるよう。

 ディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)は通り過ぎた後で、ヴォルフから少し離れた所で爪を振り切っていた。

 


 対してヴォルフは()()()()()()()()()()()()



 ビチャリ。


『………………?』


 無音だった世界で少なくない血が落ちた音がした。

 音の出所は剣を抜いた男からか? 

 いや違う。ディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)の方だ。


 ──ディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)の右腕が、綺麗さっぱりに落ちている。

 

 あまりの速さに斬られた事すら気付けなかった。

 切断面は見事と言う他ない。とても綺麗にまっすぐ斬られている。


「……厄介だ」


 そう言いながら剣についた血を振り払う男には一切の乱れなどなく。なんて事の無い小さな動作だが、強者である魔獣には分かった。


 魔獣が放った爪の速さを音速とするなら、

 目の前の男はソレを神速で上回っただけの事。


 ()()()()()()()()()()()()()()


 神の如き業。

 ミスリル級の魔獣でもそう言うしかない行為は、彼にとって特別でも何でも無い。

 流れ作業に等しい、当たり前の技として使っているだろう。

 どれだけの鍛錬を積んでいるのか。その小さな体にどれほどの技術を蓄えているのか。




 目の前の男の顔が影に隠れている/気がする。

 赤い瞳がこちらを射抜いている/気がする。

 そして男の下に……大量の死体が見えている。




"コロセ"



 笑う。

 ディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)は歓喜する。

 

 ようやくだ。

 己の願望を叶える者が現れた。

 少し前に妙に黒い紫色の光に当てられてから、一つの衝動が魔獣の中で渦巻いている。



"コロセ"


 

 高圧的でカリスマ性のある声に魅了されたディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)だが、単純に弱い奴をなぶり殺しにするだけではつまらない。

 自然のピラミッドの上に立つ者だからこそ持つ余裕の思考。強い奴と戦いたいというある種の傲慢。



"イや……タたかえ"



 傲慢が獣の心を立ち上がらせる。


「腕を一瞬で治すって。ゴールドじゃなくてミスリルじゃんやっぱ!」

「……そこまでできると言う事は()()()()()か」


 興奮に煽られ流れる様に斬られた腕を再生する。

 暴走した魔力を感情で支配して……

 そうやってディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)は成長する。



"モット、もっと楽しませろ"



言葉に表さずとも好戦的な笑みと体から放たれる重い圧で理解できる。敵は刺激的な戦いを望んでいる事を。

 

『グォォォァァァアアアアアアア!!!』


 雄叫びを上げる。己はここにいると高々に歌い、笑い潰す。狂気に飲まれた獣は宣言した。全力全霊で貴様を殺すと。



"────もっと俺を楽しませろぉぉぉ!!!"



 宣言通りに体に魔力を循環させて、直後に足に一点集中!

 魔法石の如き輝きを放つディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)から莫大な魔力上昇を二人は感知した。


((来る………………!!))


 体内にある魔力を爆発力に変えて、弾丸の如くスピードでヴォルフに迫る。

 それは何人足りとも邪魔させない貫通力。横槍が入ろうとも決してまっすぐ進む事を辞めない猪突猛進。

 猪の突進に数十倍なんて頭の悪い数字を掛ければこうなるだろうと言う単純明快な暴力がそこにあった。


 だからこそ厄介。


 ソレをヴォルフはいなす。

 微風の様なすぐに消えそうなか弱い力を必要最低限の動きと適切なタイミングで剣を動かすことによって全て無力化していた。


 十の剣筋を一つの剣筋で崩す。


 踊る様に。最低限の速度と力で的確に対処する。

 蹂躙する力ではなく見たものを魅了する極地がそこにある。


 自慢の爪の攻撃では歯が立たない。

 というより技術の競い合いでは圧倒的な差がある。

 なら戦いの土台ごと変えてしまおう。技術なんてみみっちい事なんぞせずに、力の押し合いで相手をこの世から吹き飛ばせばいい。


 醜い笑みを見せたかと思えばディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)は口を開く。すると口先の空間が歪んだ。

 体内でぐちゃぐちゃになった魔力を放出するだけの作業、しかし内包している魔力量が桁違いだからこそ、それは一つの技として成立した。


(この魔力量に方角……避けたらエンコウン街に直撃か)


 成長したディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)が放つ破壊光線は、エリス達に最初に放ったモノの四倍。

 ただでさえ紫に侵されている森が黒い紫一色に変わる。その一つの魔法(破壊光線)で他の物や生き物は支配下に置かれる。かつて語られた魔王の理不尽な強さを思い出させる不吉な物。

 輝きが増していくばかりの本体とは反対に、全ての光を吸い込む闇を体現した魔法が今、解放する。


(なら……斬るか)


 黒い何かが今度はヴォルフを仕留めようと放たれる。

 迫り来る深い黒紫色の死。



 音速を超える速さできたそれは……唐突に消えた。

 綺麗さっぱりに。



 近くで隠れていたエリスは見えていた。

 一回だけ剣を振ったヴォルフの姿を。


 ディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)もこれには驚いたようだ。いつもの笑顔は消えて目が大きく開いている。

 そして大きく開いた目には剣を振り抜いているヴォルフの姿が。


『!?!!?!』


 声を上げる余裕すらない。魔法を中断して咄嗟に下がればさっきまで心臓があった場所で剣が空振り。

 間違いなく避けなかったら死んでいた。そう確信できるほどの恐怖をディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)は感じた。

 もちろん戦いは続く。逃げた獣を追ってヴォルフが剣を振る。一秒で幾千ものやり取りを行いながら古の森跡を駆け巡り、風となった二つの物体が土を巻き上げ倒れた巨木を粉々にしていく。

 戦いの余波で立派な自然を誇っていた古の森跡も、今では荒野に変わっていた。


(すごい……先輩はやっぱり凄いんだ……!!)


 片や全てを蹂躙する巨大な台風。

 片や全てを受け流す微弱な微風。


 終末事変神話の再現をエリスは目の当たりにしていた。その光景を前に彼女は、さっきまで殺されかけていたと思えないほど興奮している。

 命のやり取りをしている場所に立ってなお、彼女は目の前の奇跡を取り込もうと必死だった。

 常にヴォルフとの訓練してきた彼女でも見たことのない未知なる世界。殺しの化身を目指す彼女が、この世界から目を離す事なんてできようか。

 出来るはずがなかった。

 だからこそ見える全てを吸収しようと全身全霊で目の前の光景を見る。


 同時に。


 いつも訓練をつけて貰っていた彼女だからこそ気付けた部分もある。


(戦いはヴォルフ先輩が優勢……なのに、なにか違う)


 目の前で行われる神話の再現に違和感なんてあるはずがない。最初はそう思っていた。

 けれど言葉にできないもどかしさがエリスの中で渦巻いていた。もどかしさの、違和感の原因を探し求めて……そして見つけた。


 ヴォルフが優勢なのに戦いがまだ続いている。


()()()()()()()()?)


 エリスが思い出すのはヴォルフに訓練をつけて貰っている時の事。

 憧れの先輩はいつも優しいが、戦いになると容赦がない。訓練はともかく試合となれば、隙を見せれば先輩の剣が己の首にピッタリと付いていた。なんて事が日常茶飯事だったのだ。

 


 だが目の前はどうだ。

 エリスでは遠すぎて手の届かない戦いが繰り広げられているが互角ではない。むしろ開始してから五分足らずで互いの力量差がハッキリ分かっている。


 冷静な表情を崩さないヴォルフと、いつもの笑みを消して着いていこうと必死になっているディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)。どちらが優勢かなんて火を見るより明らかだった。

 ヴォルフの方が上だ。


 実際にエリスが診始めてから仕留められるタイミングがいくつかあった。

 むしろエリスはシルバーだが駆け出しの冒険者なので、彼女が気付かないだけでもっとタイミングはあっただろう。あるはずなのに敢えてトドメを避けている。


(……来た)


 疑念が広がる最中でさっそくそのタイミングが出た。

 刹那に何十にも繰り広げられる刃と刃のぶつかり合い。火花を散らし、空気を爆ぜて、衝撃波を撒き散らす激しい戦いだが隙はある。

 実際に十度の爪の斬撃を当然のようにヴォルフが剣の一撃で相殺した瞬間、少しだけディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)が仰け反った。

 仰け反ったと言ってもごく僅か。時間にして一秒足らずの話だ。しかしヴォルフにとって()()()()なら充分すぎる時間出会った。


 心臓を狙ってヴォルフが突きを放つ。

 さっきのぶつかり合いより遥かに早く軽い一撃、ソレを放ったと思えば。


「……ダメか」


 剣筋を変える。突き出した剣をわざわざ引っ込ませて相手の腕を斬るように軌道を変えた。

 なんて回りくどい。さっきの一撃で仕留められたはずなのに。戦闘が始まってから汗一つもかいていないヴォルフだが、その表情は少しの陰りがあった。


(……先輩の様子は問題無い、か)


 エリスは確信する。

 ヴォルフは相手を倒せないのではなく、わざと倒していないのだと。

 

(倒していないのは何か理由があるから。でも理由なんて一体……?)


 相変わらずエリスの目の前では平然としながら戦うヴォルフと妙に眩しいディピィグルヴェルフ(卑劣な狩人)が見えるだけ。


(………………あ)


 エリスは気付いた。

 そして。














「先輩、私も戦わせてください」


 戦いは終幕へ向かい始めた。




 

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