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42.ありがとう

 



『すげえな』

『こんな曲も歌えるんか』

『なつかしー』

『昔の曲やんな?』

『うますぎ』

『やばいだろww』

『声質がなぁ良すぎ』

『素晴らc』

『カッコいいw』

『モリちゃん感情盛ってんねえー』

『やばすぎる歌唱力』

『うわーファンになっちゃったこれ』

『元気貰えるな』

『根暗なのに』

『これが陰キャの希望の星ですか』

『2曲歌っただけなのに満足度高い......いや、嘘です!あと10曲たのむ!!』

『幸せ過ぎて脳がとける』

『いつものポンなモーリーと違う』

『モリリンをどこへ隠した!?』


『隠しとらんわっ!私じゃい!!』


『www』

『このツッコミのキレw』

『さすがモリちゃん』

『引きこもりの星』

『根暗陰キャの輝く星』

『この普段とのギャップは強い』

『ツッコミいいなこいつ』

『ww』

『飲み物吹いたわww』



 陽季子モリが二曲目、「海中の涙」を歌い終えMCへ突入していた。配信の同時視聴者数は782人となり過去最多。

 普段の配信では大体50〜80人くらいなので、俺の絵師Pwitterでの宣伝効果は絶大だったと思う。


(......まあ、多分、加星も一枚噛んでるんだと思うけど。あと玲奈)


 多くの人に見守られながら、妹は大好きな歌をうたえている。加星、玲奈......忙しかったろうにこの短い時間で練習し、完璧に演奏をこなしてくれている二人には、感謝してもしきれないな。


 そして、妹。たくさん練習したんだな。歌が好きだからこそ、妥協したくない気持ちが強くてなかなかな踏み出せなかったんだろう。


 でもこうして大きな舞台へと歩みを進め、戦ってる。これまでずっと側に居てみてきた母親である麻衣さんは、きっと姫架のことを理解してくれてるはず。


 きっとその踏み出せた「少しの勇気」で世界は変わった。


 だから、安心して最後の一曲を歌え。


 俺の念が届いたのか、応じるように妹がこちらを見た。


 加星も「なんぞ?」という感じで妹を見る。玲奈は一定のリズムを刻み、ぽけーっとした表情で妹の最後のMCをまつ。


 真剣な表情の妹。真っ直ぐに、視線が合わさる。


 少し口が開き、彼女は何かを呟く。


 その言葉はマイクには入らない。


 一体なんと言っていたのだろう。わからないまま、ふたたび彼女は前を向き画面の向こうのリスナーへと呼びかけた。


『......みんな、今日はありがとう。次が三曲目、ラストになります』


『えー』

『まじでー』

『はやいっすよ先輩』

『あと4曲くれ』

『そこをなんとか』

『たのむー』

『明日から頑張るからさ〜』

『お願いママ』

『せめてもう一曲』


『ご、ごめんね......また出来たらするから。3Dライブでは難しいかもだけど、歌の配信するね。いやママに頼むな!』


『www』

『ママとかw』

『ママって絵師?』

『ワロタ』

『クソワロタ』

『唐突にママww』

『歌配信楽しみすぐる』

『やったー』

『困らすなw』

『リクエストしとこ』

『たのしみー』

『ママ......w』

『まじでかやったぜ』


『......えっと、それじゃあ最後の曲』


 すうっと空気を肺へとおくり、そして息を吐く。


『......この歌は、私をみつけてくれた人へ歌います......幽霊のように、ただそこにいた私。でも、あなたのおかげで、小さな勇気で......私、変われた』


 多分、さっき呟いた言葉は――


『ありがとう、大好きだよ』


 ――そう言ったんだ。



 姫架が手を上げる。真っ直ぐ指を天へと差し、それを合図にピアノの音が走り出す。


 彼女の言葉が、歌を紡ぐ。


『――立ち止まり俯く私を見つけ、照らしてくれた君。君という光は私の手を取り、歩き出した』


 静かなピアノのメロディに、ゆっくりとギターのか細い音が切なく、儚く寄り添う。


『冒険の日々に、寄り添ってくれた君の優しさを私は忘れない。高い空にキラキラと輝く、標』


 照明が星光のようにキラキラと煌めく。陽季子モリに落ちる一筋の光。

 雲の隙間から落ちるエンジェルラダーのようなそれに、彼女は包まれている。


『素直になれる君の側で、これからもずっとずっと。未来を照らして。迷ってばかりの、私にとっての道標』


 艷やかな声色と、切なく震えるサビのファルセット。


 彼女の想いが伝わってくる――


 側に居て、ずっと一緒に居てと......そう願う彼女の想いが。


 あの日の匂いが蘇る。その前日は小雨が降っていて、ほのかに濡れた土の香りが鼻についた。


 どこか懐かしい匂い。そんな事を考えながら、小さい頃に友達とよく遊んでいた公園へと通りがかる。


(......遊具、ほとんど無くなっちゃったな)


 楽しい思い出は少しずつ消えていく。そんな事を思いながら公園内を見ていると、一人の少女が目の端に引っかかった。


 2つのバッグを肩からかけ、2つの旅行鞄を両手で握りしめ俯いている少女。


 彼女は前髪で顔が隠れていて、表情が読めず、そして何をしているのかもわからなかった。


 でも、俺には困っているように見えた。


 ふと、俺は......彼女が小さい頃の自分と似ている、と思ったんだ。母親が死んで、どうしていいのかわからず一人ぼっちだった俺に。


 ......姫架、俺のほうこそありがとう。


 君と出会えた事で、俺の世界にも大切なモノができた。ずっと側にいるよ。


 兄として、大切な妹の側に。



 そうして、彼女のライブが終わった。



 ――陽季子モリ。チャンネル登録者数、8285人。







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