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18.成長 【有馬姫架 視点】

 


 蓮くんはキッとこちらを睨むように見つめる。そして一歩、また一歩と私の元に歩いてくる。


 私は思った。昨日のあの謝罪は、あの場をやり過ごす為だけのもので本当はやっぱり私の事を嫌っていた。だからわざわざこんな時間に待ち伏せしてまで来たんだ。


 足がすくむ。険しい顔の蓮くんがいつも以上に怖い。


(......昨日の事、すみませんでした)


 そう謝りたい。だが、口が動かない。言葉が出てこない。


 ――しかし、その時。ふと思った。


(......あれ。でも、ここで謝ったら......昨日、お兄さんがしてくれたこと......無駄になっちゃう?)


 いや、無駄になるどころか、否定することになってしまう。だって、お兄さんは私を護るために蓮くんと対峙していじめられる側の思いを代弁してくれた......だから、ここで謝ってしまえば、私が間違えていたと認めることになる。それはお兄さんの行為に対しての否定でもある。


「なあ、有馬......お前は、さ、その」


 より強まる蓮くんの視線。あまりの怖さに私は思わず目を逸らしてしまう。


(ど、どうしよう......わた、わたし、どうしたら良いの)


 はあ、とため息の音が聞こえる。私に苛ついているようだ。そして彼の近づいてくる音が聞こえた。


 私は思わず、ぎゅっと目を瞑ってしまう。手が震える。


 ――ふと、薄目を開けると携帯の画面が目に入った。そこにはお兄さんの送ってくれたVTuberのイラスト。


(......お兄さん、私の為に......頑張ってくれた)


 胸の奥からじわりと熱いものが滲み湧き出す。


 そうだ――


『――キララは少しの勇気で踏み出して輝き始めたんだよ』


 ――少しの、勇気。私も、私もVTuberになるんだ。


 心臓がどくどくと高鳴る。呼吸がしづらい。でも......ここで立ち向かわなきゃ、苦しいままだ。


 顔を上げるとすぐそこに蓮くんがいた。「うおっ!?」と驚く彼は一歩退く。


「......わ、......私は」

「おおお!?」


「ま、負けない」


「おおお、お?」


 目をまん丸に見開いた蓮くん。はあはあ、と息が上がる私。言いたいことは言えた。けれどこれは宣戦布告のようなもので、これから私は「上等だよ」と言われて、ぼこぼこにされてしまうかもしれない。


(......た、助けて、お兄さん......)


「蓮、おはよう」


 後ろから声がした。


「あ!おはようございます、有馬師匠......」


 振り向けばお兄さんがたっていた。彼はこちらを見てバツの悪そうな顔で笑った。

 緊張が解けていくのを感じる......落ち着きを取り戻し始めた心臓。ホッとするあまり少し涙が出てしまう。


 見られないように私は長い前髪で隠した。


「蓮はこんな朝からどうしたんだ?」

「あ、いや。姫架と......皆で学校いこうと思って。聞きたいこともあったし」

「皆で?」


 お兄さんが聞くと木の陰に隠れていた二人が出てきた。舞花ちゃんと愛依ちゃんだ。


「おっはー!姫架〜!それに敬護さんも、おはようございます!」


 タッタッタ、とお兄さんに走り寄っていく舞花ちゃん。そのまま腕に抱きついた。


「うお!?」「むひひ〜っ」


 ぎゅうっと抱きしめる舞花ちゃんはご満悦で幸せそうな顔をしていた。仲が良いのはよいことだ。けれどなんかもやもやする。なんで?


「姫架、おはよう。お兄様、おはようございます」


 それを見届けた愛依ちゃんは静かに挨拶をする。って、ん?お兄様?愛依ちゃんのお兄様ではないが?


「おはよう、愛依......それで妹に聞きたいことって?」

「それは、有馬師匠には関係無いことだよ」


 蓮くんがそういった。けれど私の意識はお兄さんの腕に組み付いている舞花ちゃんとお兄様呼びをしだした愛依ちゃんの二人にいっていた。


(......え、なんか凄くもやもやする。なに?)


 もんもんと思考を巡らせていると、お兄さんが「そっか」と一言いった。


「え」


 間の抜けた蓮くんの声。


「俺は蓮の事を信用してる。学校では姫架を頼んだぞ」

「え?......あ、は、はい!」


「舞花も愛依も、うちの妹をよろしく頼んだ」


「はーいっ!りょうかいだよ!」「わかったわ」


 やっとお兄さんの腕から離れた舞花ちゃんがシュバっと敬礼する。愛依ちゃんは頷き微笑んでいる。


 ......本当に、すごい。お兄さんは。人に好かれる才能とかあるのかな。


 そんな事を考えているとお兄さんが私に近づいてきた。そして私の頭にポンと手を乗せた。


「頑張ったね......偉いぞ、妹」


 またポロッと涙が出た。何回泣かせるんだろう、私のお兄さんは。


「学校、気をつけて行けよ。それじゃまたな、皆」


「はい!」「はーいっ!」「はい」


 手を振る三人と、頷く私。また、お兄さんに助けて貰っちゃった。どんどんと、私の中のお兄さんが大きくなる。それと同時に、少しずつ私が変わっていく......。


 まるで手を引かれているように、前を向ける。


 止まりそうな、挫けそうな時にお兄さんが勇気をくれる。


 私、お兄さんとなら......どこまでも進めそうだよ。



「あ、それでさ、姫架。聞きたいことってのはさ、クラスでのことなんだけど」


 こくこくと私は頷く。


「お前は、お前をいじめてた......クラスのあいつらのことを許せるのかなって」






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