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16.候補

 


 チチチ......と鳥の声が聞こえる頃。俺は2人分の朝食を作り始めた。朝イチで近場のコンビニまで買い出しに行き、とりあえずで朝食用に食材を買ってきた。


 ウィンナーに卵と食パン、カット野菜にそして牛乳。


(......昨日の登校スピードを考えると、妹はおそらくそろそろ起きてくるはず。いまから作り始めても大丈夫だろう) 


 まずホットサンドメーカーを火にかけ、温めておく。その間に別に用意しておいたフライパンでスクランブルエッグを作る。次に食パンを2枚用意し、マヨネーズをぬーりぬりしてホットサンドメーカーにセット。


 パンとパンの間にスクランブルエッグを入れ挟み込むように閉じて焼く。


 その隙にテーブルにカット野菜で彩った皿を並べておく。そしてウィンナーを焼く。


「......お、おはよう、ございます」


 丁度いいタイミングで妹が降りてきた。


「おはよう。もう少しで朝食できるよ」

「あ、ありがとうございます......すみません、お手伝い出来ずに」

「いや、俺が勝手にやってる事だからね。気にしないで大丈夫」


 ホットサンドメーカーで焼いたパンをまな板へ出し、斜めに切る。それを皿に盛り付けて終わり。簡単でシンプルだが、これが結構美味い。


「牛乳飲むか?それともお茶のが良いかな?」

「あ、いえ、牛乳をいただきます......ありがとうございます」


 コポコポと妹のマグカップに牛乳を注ぐ。それを手渡すと彼女は少し微笑み受け取る。窓から差す日差しが妹にあたりどこか神々しい。

 気持ち悪い事を言うかもしれないが、天使が実在する人間に化けているのならこういう感じなのかもな、と謎の妄想をしてしまう。それくらいに美しい光景だった。


「......」


 おそらく前髪で日光を遮断しているのだろう。これといって眩しがるような様子はなく、食事を進めている。


(でも、もしかしたら我慢しているだけかもな)


 そう思い俺は陽の光が妹に直撃しているところのブラインドを閉めた。


「......ありがとうございます」


 ぽそり、と小さな声で礼を言う妹。やっぱり眩しかったのか。


「いえいえ。ところで今日は何時に出るんだ?」

「......学校、ですか?」

「うん」


「7時くらいには」

「そうか」


 チラッと時計を見る。6時半か。


 俺は昨日の妹とその同級生達との一件を思い出す。あの様子だと蓮、舞花、愛依はもう妹をいじめたりはしないだろう。

 だからといって安心はできない。その場だけのポーズの可能性もあるんだからな。


 ......できるなら妹についていきたい。ついていってどうなる訳でもないけど。


(まあ、多分ついてこうとしたら嫌がられるから無理なんだけど)


「ごちそうさま、でした......お兄さん」

「ん」


 皿とマグカップを流しに持っていく妹。


「あ、置いといていいよ。妹は学校行く準備しててくれ」

「......え、そんな......ごはん作ってもらったので、食器を洗うくらいはしますよ」

「いや、大丈夫。俺の食器とまとめて洗ったほうが早いしさ」

「そう......ですか」

「うん」


「なんだか」

「ん?」

「.....たくさん助けてもらってばかりで、申し訳ないです.....」


「俺が勝手にやってることだから。気にしなくて良い」

「.....ありがとうございます」


 見返りが欲しいわけじゃない。何かをして欲しいとかもない。ただ、大切な存在だから。俺は彼女を護っていく。


「あの」

「ん?」


「昨日のゲーム.....楽しかったです」

「ああ、俺も楽しかったよ。妹、あんな風に喋れるんだな」


 はっ、とする。口をついて言わなければいいような一言が出た。その部分は本人も悩んでいるであろうデリケートなところだと理解していたのに。


「.....はい、練習しましたから......」


 にこりと笑う妹。俺はその瞬間、その言葉の意味を理解した気がした。


 キララのような喋り。トーク力。あれは一長一短で出来るものじゃない。ゲームや何かをしながら会話を続けるのはやったことがある奴ならわかるだろうけど、かなり難しい。


 それをこなせるくらい練習を積んできたんだ......彼女は。キララという光を見て、彼女に近づきたくて、まともに喋れなかっただろうに一つずつ歩んできた。


(......そうか、彼女の想いは本物なんだ)


 俺は妹がVTuberを始めて傷つくくらいなら、やらせないほうが良いと思った。タレントに問題がなくても色々な要因で攻撃してくるリスナーやアンチは一定数いる。


 ましてや妹はかなりの人気VTuberになると予測できる。だから、アンチは必ずつくしそいつらに心無い事を言われて辛い思いをするのは避けては通れない。


(なら、そうなる前に遠ざけて妹を護る......それが一番良い。そう思っていた)


 けど、違う。彼女のVTuberになりたい......キララのようになりたいという想いこそが、俺の護るべきモノだったんだ。


(......兄として、護らなければならないモノ。それは)



 妹がぺこりと頭を下げ立ち去ろうとした時。俺は彼女を呼び止めた。


「妹」

「......はい?」


「携帯の連絡先教えてくれ」

「あ、そういえば......まだ交換してなかったですね。私、友達いないから、気がつきませんでした......すみません」

「いや、謝ることじゃないよ」


 互いに携帯を出す。連絡先の交換はすんなり終え、俺は彼女のメールに画像を4つ送った。


「......あ、お兄さんからメールだ」


 にぱっ、と口元が緩む妹。


「?、画像が......」


 添付されていた画像に気がつく妹。それを開いた瞬間、彼女の笑顔が固まった。


「......こ、これ......え?」


 それは用意してあったVTuberのデザインイラスト。






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