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15.前に

 


 妹用に用意したイラスト。妹が希望したデザインのイラストもあるが、彼女をイメージして作成したイラストや流行りの要素をいれたモノなど4点ほどある。


 妹にやる気があるならこのイラストを見てもらって、方向性を確定する。そこからキャラクターデザインの調整をしていく。


(......とりあえず聞いてみないとな)


 こういうのを切り出す時は雰囲気やタイミングが大事だ。妹はおそらくVTuberをやりたがっている。夕食の帰り道での会話でそれは確信できた。

 あとは少しの勇気をださせて、一歩踏み込ませるだけ。


 妹が蜘蛛のモンスターに糸まみれにされて『べっとべとおおーー!!』と叫んでいる。助けたるか。


「妹、それコントローラーのスティック回せば取れるぞ」

『え、ほんと?のわーーー!!......あ、取れた!』


 パッ、と糸から解放される妹。


『ありがとうございます。えへへ』

「あ、いえいえ」


 しかし凄いな。ゲームスキルも凄い(逆の意味で)けど、プレイしながら絶え間なく会話を続けられるのが凄い。リアクションも可愛らしくて良いし、面白い。

 もうモンファンを始めて1時間くらい経っているが、そのトークの勢いはとどまりそうにもない。


 っと、そうか。もう1時間経った......あっという間だったな。とりあえず二人共明日は学校だから今日はもう終了だ。


「妹」

『はい!』

「この蜘蛛狩り終わったら今日は終了だな」

『えええーっ』

「もう時間やばいからさ。また今度遊ぼう」

『ううう〜、わかりましたぁ......絶対ですよ』

「そりゃ勿論。ほら、さっさと狩っちまうぞ」

『あい』


 妹の大剣が六割方モンスターに当たらず空を切っていたがそれには触れないでやろう。せっかく楽しそうにプレイしているんだから、ここは水を差さないでおこう。


 ――ザシュ!!!


 妹の溜め斬りが蜘蛛の頭を直撃。その瞬間、モンスターは悲鳴を上げ倒れた。


「おお!」

『おおお!』


 二人の声がシンクロした。


『やったーーー!!』

「すごいすごい。ドンピシャだったな、今の攻撃」

『やればできる子、なんだよね。私』

「おーおー、えらいえらい。すごいすごい」

『なんか適当!?』


 本来の姫架はこんな風に喋れる子だったんだと、深く感じる。キララの影響もあるのだろうけど、これが彼女の素に近い状態なんだろう。


 けれど、それを誰かが歪ませ、彼女の心を覆い隠させたんだ。

 どれくらいの期間をそうして過ごしてきたのだろう。それはきっと辛くて息苦しかったに違いない。

 そいつの悦楽の為に彼女の時間が潰されてきたのだとしたら、それは到底許される事じゃないし......俺が許せない。


 ま、とは言え俺はそいつを知らないし、今更どうにも出来ない。だから、これからだ。これからの彼女の未来を輝かせよう。彼女の失ったものを取り戻す。


「妹」

『はい!』

「妹......」

『は、はい......!』


 VTuberをやろうって言った話、覚えてるか?......どうしてか、その一言が出ない。


「......その」

『うん?』


 心臓がバクバクと鳴っている。まるで好きな子に告白しようと思った時のように(未遂)頭に思い描いた台詞が白く陰る。

 どうした俺!イラストまで用意しておいて何も言えませんでしたじゃ笑えないぞ!?


 笑えない、けど......言葉が出てこねえ。


「風邪ひかないように暖かくして寝るんだぞ」

『?、?......はい、ありがとうございます!』


 なんじゃそりゃ!言いたいことが口から出てこないんだが!!妹も戸惑っちゃってるし!!


「おやすみ、妹」

『おやすみなさい、お兄さん』


 ――ププロン♪と通話が切れた音が鳴る。


 ......どうしたんだ、俺は。


 直前まで言う気満々だったのに、いざ誘うって場面で言えなかった。口から心臓がでるかと思うくらいの緊張に襲われたんだが。あれは一体なんだったんだ......?


 緊張するって事は、断られる可能性を怖がったってことか?いや、妹はVTuberをやりたがっている可能性は高い......というか九割九分そうだろう。


 なのに......言えなかった。その理由は。


(......もしかして、仲良くなったのに関係性が変わっちゃうかもしれない事を恐れたのか?)


 彼女がVTuberとなったとする。色々な経験を経て彼女は成長していくだろう。だが、成功するとは限らない。

 俺は成功するだろうと思っている......だが、エスパーでもなければ未来予知能力を備えているわけでもない。もしも、心無いリスナーの声で彼女が深く傷つき再起不能になったら......俺と妹との関係はおそらく終わる。


 せっかく出来た妹。姫架を失うことになる......それが怖いのか、俺は。


 護る......妹を俺は護る。


 ギシッと椅子の背もたれに寄りかかる。ぼーっと深めていく思考。ふと視線が貼ってあったポスターのキララとあう。


(......不安、不安か)


 妹と出会ってからまだ2日。たった2日で俺は彼女の事が好きになったし、大切にしたいと思うようになった。


 そうだ......俺は妹が大切なんだ。


『――人を敬い護れる人になりますように』


 俺は母さんの言葉を思い出し、頷いた。





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