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次なる標的、血に沈む都市


 ステラは、空から次の獲物を探していた。それは簡単な作業だった。人間たちの村や町は、街道によってネットワーク接続されてあいるからだ。

 街道を辿って行けば、次の獲物はすぐに見つかる。案の定、しばらく飛行していると、ステラは、人間の住む都市を見つけた。


「うふふふ。都市が見つかるなんて運が良い。次の獲物は凄く楽しめそうね。」


 ステラはそう言って獰猛な笑みを浮かべると、都市に向かった。都市は、石造りの建物や塔や城壁で囲まれていた。人間たちは、そこに安全を求めて暮らしていた。

 しかし、ステラにとっては、それはただの餌場だった。 ステラは、都市の上空に到達すると、魔法【武器創造】を発動させた。都市の上空に三ダースの魔法陣が輝き出す。魔法陣は、無数の黒い球体を生み出した。それらは、爆弾だった。爆弾は、ステラの意思によって動き、都市の各所に落下した。そして、爆発した。

 ドカーン!

 ドカーン!

 ドカーン!と、 爆発音が響く。 

 炎と煙が都市を覆った。建物や塔や城壁が崩れて、人間たちが飛ばされた。


 都市でパン屋を営んでいた青年トーマスは、飛来した石壁の破片に顔面を粉砕され、絶命した。

 十歳の少女アンヌは、赤毛が自慢ておさげ頭にしていた。そんなアンヌは、親の手伝いで水桶を運んでいるときに、爆弾が直撃。彼女の身体は、消し飛んで消滅。一つの肉片も残らなかった。

 警備兵スコットは、同僚と城壁を巡回中に、至近弾を受けた。爆炎を吹き飛んできた石破片が、二人の警備兵を粉砕した。二人は細切れになって、その命日を迎えた。

 人間たちは突然の襲撃に、驚きと恐怖におののいた。


「なんだ!? 何が起きているんだ!?」

「悪魔だ! 悪魔が攻めてきたんだ!」

「逃げろ! 逃げろ!」

「どこかに隠れろ!」


 人間たちは慌てふためいて逃げまどった。しかし、ステラはそれを許さなかった。彼女は魔法【武器創造】を発動させて、大きな斧を生み出した。そして、空から降りてきて、人間たちを斬り殺した。


「うふふふ。楽しいわぁ。」


 ステラはそう言って、残忍な笑みを浮かべる。


「次はあんたね。」


 ステラは跳躍し、次の獲物に斬りかかる。


「うわあああ!」


 次に狙われた人間、それは若い兵士アレクセイだった。彼は剣を持っていたが、ステラの斧には敵わなかった。


「ぎゃああああああ!」


 彼は、頭から真っ二つにされて死んだ。


「くすくすくす。なんて可哀想なのかしら。」


 笑みを浮かべたステラの斧がふたたび煌めき、兵士の隣にいた女性騎士を斬り殺した。


「あはははは。なんて素敵な光景! すごく気持ちいい!」


 そして、ステラは都市の中で暴れまわった。

 彼女は、斧を振り回しながら都市の中を進んでいった。彼女の銀髪が風になびき、紫色の瞳が冷たい光を放っていた。その豊満な胸部は、ステラが歩く毎にぷるんぷるんと震えたが、それを気にする余裕がある者は誰もいなかった。


 人間たちは必死に逃げまどい、命乞いをするが、ステラは容赦なく人間たちを襲い続けた。ステラは残虐な行為に快楽を感じ、自分の心臓に経験値が増えていくのに喜びを感じた。


 街は混乱に包まれ、煙と炎が立ち込めた。ステラの爆弾によって建物は倒壊し、道路には穴があき、人々は炎につつまれた。人々の悲鳴や建物の倒壊音が響き渡り、血と肉片が都市を染めていく。ステラはその光景を見て、満足気な笑みを浮かべた。


「うふふふ。楽しいわぁ。狩りは楽しい。」


 ステラは冷酷な言葉を吐きながら、斧を振い続ける。

 住民たちは逃げまどい、生き延びる為に抵抗するが、ステラの圧倒的な力には対抗できなかった。街には絶望と恐怖が蔓延し、生存者たちは、一人また一人と命を散らしていった。

 ステラは、都市の中央にある大きな広場に到達した。そこには、人間たちが集まっていた。彼らは、ステラの襲撃から逃れるために、広場の隣にある大聖堂に避難しようとしていた。大聖堂は、人間たちの信仰する神の象徴であり、魔族に対する防御力が高いとされていた。人間たちは、大聖堂に入れば、ステラから逃れられると思っていた。


 しかし、ステラはそれを許さなかった。彼女は魔法【武器創造】を発動させて、巨大な魔剣を生み出した。そして、その魔剣を大聖堂に向かって投げた。魔剣は空中を飛んで、大聖堂に直撃した。直後、魔剣は黒い稲妻を放ちながら爆発した。その爆発は、大聖堂を倒壊させるのに、充分だった。ステンドグラスの破片や石材が飛び散り、住民たちを襲う。


「ぐぎゃあああ!」


 ガラスの破片に右腕を切断された幼児が絶叫をあげる。


「神様!どうかお助けください!」


 身長二メートルの大男が頭を抱えて命乞いする。


「大聖堂が! 大聖堂が壊れた!」


 倒壊した大聖堂を見て放心したシスターが放心したように棒立ちになる。

 人間たちは悲鳴を上げてパニックに陥っていた。彼らは、神の加護もなくなったと思って絶望した。ステラはそれを見て嘲笑した。


「うふふふ。神なんていないわよ。あるのは、あたしだけ。あたしこそが、あんた達の神よ。まあ、死神だけどね?」


 ステラはそう言って空を飛ぶと、尖塔の上に降り立ち立ち、人間たちを見下した。


「さあ、あたしの前に跪きなさい。あたしに命乞いしなさい。あたしを崇拝しなさい。あたしに殺されなさい。」


 ステラはそう言って、人間たちに命令した。


「ふざけるな! お前なんかに跪くものか!」

「魔族のくせに神気取りか! 許せない!」

「死ね! 死ね! 死ね!」


 武器を持った人間たちの何人かは、そう言ってステラに怒りと憎しみで反抗した。彼らは剣や棍棒や弓矢や包丁などの武器を持ってステラに襲いかかった。 しかし、ステラはそれを一笑に付した。彼女は魔法【武器創造】を発動させて、無数の刃物を生み出した。そして、その刃物を人間たちに向かって放った。 ざくざくと、刃物が人間たちの身体を切り裂いた。血が飛び散り、肉が飛ばされた。人間たちは次々と倒れていった。


「うふふふ。そんなものであたしに敵うと思ったの? 愚かね。」


 ステラはそう言って、残虐な笑みを浮かべる。


「次の獲物はあんたよ?」


 ステラは跳躍し、次の獲物に斬りかかる。


「うわあああ!」


 次に狙われた人間、それは若い男だった。彼は弓矢を持っていたが、ステラの斬撃には対応できなかった。


「ぎゃああああああ!」


 彼は胴体ごと、両腕と弓を切断され、即死した。


「ひいいい!?」


 それを見て、隣にいた少女が悲鳴を上げる。少女は金髪碧眼。着ている服はとても上等で貴族の着ている赤いドレスだった。また、少女の腰まで伸びた長いプラチナブロンドはとても美しかった。ステラはわざとこの少女を最後まで殺さなかったのだった。

 【鑑定】スキルの教えるところによると、彼女はマリア・ガーゴイル、15歳で、ガーゴイル男爵の三女だった。


「うふふふ。あんたで最後ね?」


 ステラは残虐に微笑む。


「た、助けてください! なんでもします!」


 金髪少女はそう言って土下座した。


「良いわよ。」


 ステラは、あっさりと答える。


「へ?」


 まさか、自分が助かるとは思わなかったのか、貴族令嬢は呆けた顔でステラを見上げる。

 そんな貴族令嬢の前に、斧を持ったステラは歩み寄った。


「あたしは、あんたに何でもしてもらうわ。それはね、あんたの命を頂くのよ。」


 ステラはそう言って、斧を振り上げた。貴族令嬢は恐怖で声も出せなかった。ステラの斧が令嬢のお尻に振り下ろされる。


「ぎゃああああああ!」


 令嬢の絶叫が響き渡る。斧は、わざと威力を抑えられていて、令嬢はお尻から子宮のあたりまでを切断されていた。


「ぎゃああああああ!」


 令嬢は無様にも、自分の股間を押さえながら、痛みに耐えかねて広場をゴロゴロと転がっている。

 そんな令嬢をみて、


「うふふふ。やっぱりメインディッシュは最後に食べないとね?」


ステラは恍惚とした笑顔を浮かべる。


「ぎゃああああああ!!」


 悶絶する令嬢。


「すごく良い啼き声だわぁ。じゃあ、もう死んでいいわよ?」

 

 ステラの死刑宣告。斧がふたたび振るわれ、令嬢の胴体を両断。


「ぶぎゃ!?」


 令嬢は血を吐いて絶命した。ステラはその首を切断すると、手に持つ。


「これで、今日の狩りは終わりにしましょう。」


 ステラはそう言って、空へと浮かび上がる。

 眼下には、人間だった物の残骸が散乱していた。ステラは、その光景に満足した。


「うふふふ。狩りは楽しいわね。」


 ステラはそう言って、空を飛んで拠点へと帰っていった。

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