拠点にて
「はてな?」
ゲームにログインした瞬間、美咲は全身に違和感を感じた。いつもと同じlog inのはず……。ログイン手順は正常だったし、いつもどおりに自拠点内の自室でスタートした……。
だけど、
「なんか……スースーする……。なんでRSMに感触があるの?」
RSMは十年以上も前の古いゲームなだけあって、五感は完全には再現されていない。RSMにあるは、視覚と聴覚だけだ。
そのはずなのに……何故か美咲のアバターには皮膚感覚があり、寒さも感じていた。
何かの不具合だろうか? そう思った美咲はとりあえず、近くにかかっている姿見へと向かう。
そこに映ったのはいつもと同じアバター「ステラ」だった。ステラは16歳ほどの女の子で、種族は上級魔族だ。その姿は、ゲームを開始した当初は理想のお姉さんをアバター化したものだったのだが、いつのまにか美咲の実年齢の方が追い越してしまったのはご愛嬌。
キャラメイクを行なった美咲が自分で言うのも何だが、かなりの美少女に仕上がっている。銀髪ボブカットに紫色の瞳。服は黒色だが、トップスは乳首にニップレスを貼っているだけ。ボトムスは股下三センチメートルの超ミニスカート。ステラの胸部に丸々としたスイカが二つ付いているのは、小学生時代の自分が巨乳に憧れていたからだ。
「うーん? 別にいつもどおりだけど……?」
なにゆえ、触覚があるんだろうか? まさか、ゲーム配信最終日にそんなデータ量の多い大幅アップデートを実施した筈もないし……。
試しに美咲は自分の胸を触ってみる。
途端、
「あん!?」
彼女の身体に快感が走った。
「え? なにこれ?」
RSMは小学生もプレイできるゲームなだけあって、18禁だ。胸を触って快感が走るなどあり得ない筈だった。そのはずなのに……。
恐る恐る、美咲は、自身のアバターのミニスカートを捲る。RSMは18禁なので、スカートめくりは物理的に出来ないはずなのだが……。
「ウソ……。」
残念ながらできてしまった。鏡に写るステラは、しっかりとスカートを捲り、その下の陰部がしっかりと見えてしまっていた……。ちなみに、ステラがノーパンだったり矢鱈と露出過剰な服装なのも、小学生時代の美咲の趣味だ。と、美咲は脳内で自らのハレンチな服装について言い訳する。
「これはひょっとして……。」
美咲の脳裏に、とある都市伝説がひらめく。伝説に曰く、ゲームをしてたらゲームのアバターのまま、ゲーム世界に取り込まれて抜け出せなくなる。あるいは、バージョン違いとして、異世界に転移するというものもあった。
「あはははは!」
美咲は嬉しい悲鳴をあげる。
「すごいすごい! これなら本当に人間を狩って遊べるじゃない!!」
美咲は目を輝かせて、手をバンバンと叩いた。