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クレセント・ゴースト  作者: Elin
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不死怪 第1話

『月は 始まりを 知る』


俺は、普通の高校生活を送っているただのオカルトマニアだが、今は訳あって家出をしている。


「はぁ…高校生になってもスマホの使ってる時間で説教してくるとか頭おかしいだろ。」

と、そんな具合に両親に説教され不貞腐れたまま家を飛び出してきた、いわば家出少年である。

「咄嗟に飛び出してきたけど、まぁお金も持ってきたし何日かは凌げるだろ。親が心配し始めた頃に帰ってやるとするか。」

そんな風に、この時は楽観的な考えをしていた。


俺はとあるトンネルに差し掛かった。

「しっかし夜になるとやっぱり寒いな…ん?なんだあそこでうずくまってるおじさんが居るぞ…あれか、二日酔いとか言うやつか。絡まれるのも面倒臭いけど、あそこにいられると車に引かれそうだしトンネルの外に運んどいてやるか。」

と、うずくまっているおじさんの近くに寄って行った。

…そして、間もなくしてそのおじさんが異様な雰囲気を醸し出していることに気づいた。

「っ!なんだこいつ…」

よく見ると、トンネルの外からは暗闇でよく見えなかったどす黒いオーラが、おじさんの体を包んでいた。

「なんなんだよ…これ…!」

すると、そのドス黒いオーラが段々と形を変え、異形な生物へと変貌を遂げた。

「…ゾンビ…か?」

一見、その風貌と異様さからアメリカの映画にでも出てきそうなゾンビかに思えたが、焦点ははっきりと俺を捉え、一瞬動いたかと思ったらいきなり襲いかかってきたのである。

「うわぁっ!」

逃げなければ。本能がそう察知する。

「やめろ、離せ!」

「ゥヴ、ガァァァアアア!」

しかし、ゾンビ?らしき生物は俺の腕を物凄い力で引っ張り、その手を離そうとしなかった。

「痛っつ…離せってんだよ、オラ!」

俺は振り上げた足をそのままゾンビの顔に直撃させた。

「ァア…」

一瞬怯んだかに思えたが、その腕は俺の手を離そうとしない。

すると次の瞬間、

カパァァ…

とゾンビの口が裂け、見るも恐ろしい大量の牙が剥き出しになった。

「うわぁぁ!」

腰が抜けた俺は、一瞬にして悟った。

「食われる…!」




「封式・炎の舞!」

「封式・蓮華!」


「グアァァァァ!」

俺は一瞬にして起きた出来事に理解が追いつかなかったが、そこには20代後半位の男性と、9歳位だろうか…女の子が立っていた。

「やぁ。間一髪だったね。大丈夫かい?」

「ほら、まだやっつけてないんだから油断しないの!」

「はいはい、分かりましたよ。」

そのやり取りを聞いていて、俺はひとまず助かったのだという安堵と、いったいこの人達は誰なんだろうという疑問に苛まれた。

「さて、弱ってるやつを虐めるのは性にあわんが、さっさとやってしまうか。」

「グ…ヴゥゥ…」

「滅式・陽炎!」

よく見ると、男は左手にお札の様なもの…を持っていた。それを持ちながら目にも止まらぬ速さで宙に「滅」の文字を描き、それをゾンビに押し当てた。

自分でも言ってることが意味不明である。

「グルァァァ………」

次の瞬間には、ゾンビらしき化け物は消えて無くなっていた。

「こいつは不死怪だな…ハズレか。」

「そうね。とりあえずあなた、あのおじさんを起こして来なさい。」

「…え、俺ですか?」

「あぁそうだ、俺たちは次の依頼で忙しいからな。それじゃあとは頼んだ!」

「え、ちょっと待っ…」

2人は走ってどこかに行ってしまった。


⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅


そのあと俺は言われた通りに二日酔いらしきおじさんを起こし、その日のうちに家に帰ることにした。

人生の中でこんな事があったのは、後にも先にもこれ1度きりだろう。こんな話を他人に話してもバカにされるだけだし、俺は誰にも言わないことにしている。


俺は偏差値の割と高い大学へ行くことができ、両親にも認められ充実した生活を送っているが、相も変わらず俺はオカルトマニアのまま…むしろオカルトに対してさらにのめり込んでいったそうな。

登場人物が3人(おじさん含めず)ですが、「俺」を除いた2人にはそれぞれの過去と関係性が既に決まっております。「封式」「滅式」に関してもいずれ明らかになるやも知れませんな。

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