第7話
「簡単に言うと"能力"と言うべきでしょうか」
「能力?」
「小さい子でも分かるように言うと魔法ですね」
「ほー。それは具体的にどんなものなんですか?」
「例えば氷を操ったり、人の心が読めたり、人それぞれです。必ずと言って、"聖慄"が絶対操れるとは分かりません。ちなみに、"聖慄"を持った能力者のことを"異端者"と言います。読み方は"ハエレティクス"と言います。"異端者"は世界でも稀な存在なので少数の人しかいません。それ故、その能力を買おうと人身売買や誘拐が今でも絶えません。だから、"異端者"はどこか心が歪んだ人や変わった人が多いんです。」
「そうなんですね」
"聖慄"に"異端者"__
実に不思議だ。
是非ともピョートル大帝に聞かせてやりたい話だ。
しかしそうなるとあのチャラ男も_
「質問よろしいですか?」
「いいですよ」
「間宮と言う男を知っていますか?」
「間宮…どこかで聞いたことあるような…」
「本当ですか!?」
「もう少し詳しく教えてください」
「はい。確かチャラ男で刀を手から出していました」
「!?まさか其奴って!」
「私の推測が正しければ彼は"異端者"ですか?」
「そうだよ!」
「じゃあ先輩は間宮と闘っていたってことですか!?」
「多分そうだと思います」
まったく先輩は…と青年(仮)は呟きながら窓にもたれかけた。
「大変なんですね」
「まぁそうですね。そう言えばであなたの名前を聞いていませんでしたね」
「本当ですね」
「僕は橘浩です。よろしくお願いします」
「碧原桜です。こちらこそよろしくお願いします」
「あ、あのこのまま敬語で話し続けるのもアレなんで敬語外しませんか?」
「いいです」
浩君か…
きっと私見たいに性根が腐っていないんだろうな
どこまでも純粋無垢な青年なんだな
・・・・・・・・・・
きっと将来社会についていけない人間なんだろう
今も昔もそうだ。
もし彼が仮に社会に出て会社で働くとしよう。
あんな場所絶対学校生活と同じ場所だ。
相手は純粋過ぎる人ほど人間は扱いずらいのだ。
だから皆、少しくらい性格が悪くないと対等に人付き合いできない。
だからその会社でいくら仕事が出来ようと人付き合いはきっとダメだろう。
大人なんて生き物は汚れた人種だ。
自分の為なら汚職に手を染め、信頼出来る部下を切り捨て、都合のいいように人を使い、自分の責任を部下に押し付けることだって出来る。
結局、大人なんて生き物にいい人なんて居ない。
そんな人居たら私はその人を"神の使徒"と言って崇拝しよう。
おっと、自分だけのテリトリーに入ってしまったようだ。
これは失敬。
浩君も居るところでこんな考えはやめよう。
「碧原さん、先輩呼んで来るね」
「ありがとう浩君」
「だって碧原さんは怪我人だしそれに…」
「なに?」
「ここの建物の構造分からないでしょ?」
「うん…まぁそうだねぇ」
「だから僕が行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
浩君はそう言ってドアを開けて走って行った。