第5話
「ん…」
あれ?生きてる。
てか、ここは何処だ?
周りを見ると何も置かれていなかった。
1ミリも汚れがない白い壁。
塵やゴミがひとつも落ちていない床。
そして先程まで私が寝ていたベット。
ベットの横にある木製のサイドテーブル。
「ご丁寧に服まで置かれてある」
サイドテーブルには新しい服が置いていた。
まぁ、いろいろ遭ったから着ていた服はボロボロだったのだろうと思った。
しかし、
「不自然なまでに何も置かれていない」
普通は医療器具などが置かれているはずだ。
この様子だとここは病院ではない。
じゃあここは一体…?
ここに来てから多々なる未知に出会ってきた。
今更こんなことで驚くことはないが、流石に少し状況を整理した方が自分の為にもなる。
まず私はあの時車に轢かれた。
それは決定事項だ。
しかし、問題はそのあとだ。
目が覚めると、なぜか大きな黒いビルの前に立っていた。
そして機関銃を持った黒服達が来た。
そしてチャラ男に会って、謎の男の人に助けてもらった。
そのあと意識が遠のいて………
「今に至るって訳か」
しかし何故だ?
車に轢かれて死んだはずの私が生きている?
そんなの非科学的過ぎる。
じゃああれか、これは死後の世界っていうものなのか?
それなら辻褄が合う。
だが、ここかを本当にそうなのか確証がない。
それにチャラ男が言っていた、"聖慄"とはなんだ?
「全てが謎すぎる…」
駄目だ。
また地獄という名の無限ループに陥ってしまうぞ。
落ち着くんだ私。
私がベットに寝ていた時点で此処は何らかの施設だ。
きっと誰かいるだろう。
闇雲に此処の部屋から出て迷うのはいけない。
それだったら人を待とう。
それでも来なかったから、この部屋から出よう。
それにまだ刺された傷もまだ痛む。
無闇に動いてはまた傷口が開いてしまう。
それだけは避けたい。
「失礼しまーす」
ドアの開く音が聞こえた。
そこには見しらぬ青年と言うべきだろう、とても童顔の青年がお盆に水の入ったコップを乗せて来た。
「へ…」
あまりに唐突に来たから本当間抜けな声が出た。
「あれ…もう起きていたんですか?」