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第1話
6月13日私は死んだ。
車に轢かれた。
まるで時間止まったみたいだった。
スローモーションに動く景色。
痛いとは言葉に表せないほどの痛み。
人々の悲鳴。
車が止まる音。
あぁ、これが"死"なんだとやっと理解ができた。
そして走馬灯の如くに色々なことを思い出した。
つまみ食いをしてお母さんに怒られたこと。
友達と初めて通天閣に行ったこと。
忘れ物が多くて放課後先生にこっぴどく叱られたこと。
本当に色々な思い出が蘇った。
やっぱり最後に柊堂の羊羹食べたかったな。
「救急車を早く!!」
そんな声がうっすらと聞こえる。
もう無理だ。これ以上はもう無理。
そんな喧騒の中、意識を手放した。