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生死を分けるは一文字より(著:風見 坂)をリメイク

『生死を分けるは一文字より』


風見 坂さんの小説の1話目をリメイクさせていただきました。


オリジナルはこちらです。

http://ncode.syosetu.com/N5724EO/

 この世界に、神様なんかいないと思ってた。


 生まれによって幸福な人生から不幸な人生まで、大きく変わってくるからだ。

 そこに神様が介在する余地なんてどこにもない。


 だが、もし神様が存在するのならば。

 人の生について価値観があるのならば。


 所詮人生なんて成り行きで終わらせてしまう、そんな儚くてどうでもいいようなものでしかないのかもしれない。

 もし、残忍で愉しむことしか考えていないようであれば、人の一生なんてその程度のものなのかもしれない。


 実際に神様は本当に残忍で、無邪気で、最悪の存在だった。なんで分かるのかって?


 目の前にその神様がいるからだよ。





 自室でくつろいでいる時、神様は突然目の前に現れた。

 どんな姿かと聞かれても、はっきり目に映らないからなんとも言えない。


 ただ、目の前のこれは神様だと本能が訴えかけてくる。


 逃げようかと考えたが、相手は神様だ、どうせ捕まる。


 そう結論付けたが、神様にどう接すればいいかわからないために黙って座り込んでいた。


 お互い動かずどれだけの時間が過ぎただろうか。


 デジタル時計を見たら、一分しか経っていない。

 俺の感覚では二十分は経ったと思っていただけに驚きだ。


 神様が話しかけてきた。


「汝は、我等神の遊戯の参加者として我に選ばれた。汝の他にも選ばれた人間はいる。これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える。それを用いて戦いあえ。いや、殺しあえ」


「……はい?」


 急になにを言ってるんだ?


 殺しあえ? ……は?


「殺しあうという言葉で頭の整理がつかなくなっているようだが安心しろ。神の遊戯で人が死んでいっては人の世が荒れる。そのため、神の遊戯により死んだ者は記憶操作された状態で、今までの日常通りの生活に戻るようになっている。周りの者達の記憶も書き換えられるため、少し違和感はあるかも知れんが特に気にもならずに生活に戻るだろう。我等の力により、どれだけ暴れても特に何も起こっていないように一般人は感じるようにする」


 考えを読んでいるのか?


 分からないが神様は一番注目した点について話した。


 神様の遊戯のことを忘れて普通の日常に戻ることは分かったが、それでも結局一度は死ぬのか。

 死にたくなくても俺は他人を殺さなくてはならなくなる。


「質問……いいですか?」


 相手は神様だ。


 人間ごときが馴れ馴れしく話すのは如何なものかと思い、敬語で尋ねる。


「なんだ」


「神の遊戯というものは一体なんなのですか? さらにもう一つ聞かせていただきたいのですが、参加に対する拒否権はありますか?」


 気になったことを尋ねた。


 生き返ると言っても殺し合いなんて嫌だ。

 神様は親切に、丁寧に質問に答えてくれた。


「神の遊戯とは、我等神々が各々汝等人間を選び、文字を与え、その字の能力により戦わせ、誰が勝つか賭けるという遊戯だ。汝等人間は欲が深い故、勝者には何でも願いを一つ叶えてやるという、俗にいう賞品を提示すると、拒否権はあるが大抵のものは参加する。加えていうと、今回の試合では()ち(・)()れ(・)る(・)の(・)は(・)二名だ」


 何でも願いが叶う、か。


 そうなってくると話が変わってくる。人には誰しも、他人を陥れてでも叶えたい願いはあるはず。

 もちろん俺にもある。


 既に諦め気味だったが、中二の頃からの願いが叶うかもしれないとなると参加する価値はあるようだ。


 あと、今何か気がかりなことを言っていたような……。


 今回の試合と言っていたが、今回の試合が指す意味はなんだろうか……?


 あと、勝者が二名だったか……。


「つまりは……チーム戦……?」

「チーム戦、という訳では無い。だが、チームを組むのが優勝への近道だな」


 なるほどな。


 俺以外に参加する人たちはどんな人たちなんだろうか……?


「因みに、先程から他の者達は文字を選んでおる。これがその文字たちだ」


 神が言いうと同時に背後に文字が4つ出てきた。


 "殺" "透" "止" "映"


 神が続ける。



「同じ文字は使えん。早い者勝ちだ。文字の能力に関しては制限が設けられているが、その能力を選択してからでないと制限が分からぬ。さぁ汝の文字を選べ」


 制限が分からない状態でより勝てそうな文字を選ばなくてはならない。

 しかも、他の参加者よりも早く選択してく必要がある。


 考えろ。


 今、"知"の文字が先ほどの4つに加わった。


 急がなければ選択肢が消えていく。


 ………………よし、いいことを考えた。


「文字を決めました」


「さぁ言うが良い」


「"消"でお願いします」


「承知した」


 神の発言と同時に俺の右手の甲に不思議な感覚が走る。

 見たら、"消"の文字が書かれていた。


「今から制限を言おう。汝の選びし文字、"消"は無生物を物理的に消す、もしくはその消したものを元の場所に再生することが可能だ。また、概念的要素を一つのみ消すことが可能である。生物の消去、また、己の死という事象に関する概念の消去、他の能力者の文字乃ち能力の消去は不可能だ。だが、己の死の概念は、一度の死という制限を付けさえすれば消去は可能だ」


 なるほど、思っていたほど便利じゃなかったみたいだな。


 だがこれならいけるはずだ。


 確信を得るため俺はある質問をした。


「その場合、今回の試合が終わるまで継続可能だ。中止したくばそれも可能である。ただし、中止した場合今回の試合が終わるまでどの概念的要素も消せない」


「分かりました」


 いけるなら全然問題ない。


 俺は一つの概念的要素を消した。


「追加の情報だが、今回の試合中、能力者同士は惹かれ合うように用事が発生する。誰が能力者かは分かるようになっている。存分に殺しあえ」


 逃げ続けることはできないようだな。


 まあそんなことはどうでもいいさ。


 叶えたい願いのためにも、せいぜい暴れてやるよ!!


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