茶碗蒸しの唄
豆腐販売の仕事をしながら
トラックや 車の整備を手伝う中 数ヶ月が過ぎた
夏の 暑さの中 霧島神宮へ 行ったり
遠くの 青島海岸で 海を見たり
そんな 付き合いの中 数ヶ月後の12月半ば
週末だけの 付き合いの帰り
いつも通り 屋敷まで 送っていく中
見慣れない 1人の日本兵の姿があった
先祖代々の 墓に 無事に帰国の報告を終え
屋敷の中に 入ろうとした 大伯父
兄さーーーーーーん 祖母
走って駆け寄る 祖母
あぁーー ◯◯ 元気だったんだね 大伯父
大伯父に 無事に帰った経緯を話す 祖母
車の方を 見る 大伯父
車から 降りて 深く敬礼する 祖父
その姿を見て 祖父の方へ歩く 大伯父
もう 終わったんだから 敬礼なんてやめなよ
という 大伯父
ご無事でなりよりです と言う 祖父
二人の姿を見て 涙を流す 祖母
外は 寒いから中へ入ろう という 大伯父
後をついて 部屋へ 入る祖父
玄関の扉を 閉める祖母
フィリピンから 持って帰って来たものを畳に置き
袋の中から缶詰を取り出し
缶切りで 開けようとする 大伯父
その姿を見て 丸い皿と 楊枝を取りに行く 祖母
缶切りを開けている大伯父を 見ている祖父
叔母が 焼酎瓶を 持ってくる
机の上に 皿と 湯呑みを 並べる 祖母
缶を 開け終えて 机に置く 大伯父
焼酎を 湯呑みに 注ぐ 祖父
帰って来られた祝に 杯を交わしましょう と 祖父
ちょっとぐらいなら と 杯 を 交わす 大伯父
君は 何処で 戦っていたんだと聞く 大伯父
私は 満州で 車のエンジン等を整備したり
多少ですが 敵軍を打ち倒しました 祖父
そんな2人を ちまきを用意しながら
見ている 叔母と祖母
戦時中の新聞を一緒に見る 祖父と大伯父
あの海戦が 始まった2日後に
フィリピンに 上陸してたのですか 祖父
上陸した時は 恐る恐る近づき
撃っては 隠れ 隠れては 撃って で
なんとか 月日は かかったけど 進軍出来た
当時を振り返りながら 話す 大伯父
話を聞き
自分がその場にいるような 錯覚を起こす 祖父
そんな懐かしくも 新しい話に
盛り上がっていた 友達みたいな 大伯父と祖父
少し 肌寒く 感じた 12月23日でした