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プロローグ
黎明は単純無垢な現実なれど、変遷に連れて存物は何にでも変化し得る。
只、その歩みが一体何処へ向かうのか、其れは神をも知らない未来の矛先そのものである、と。
人は知らずして、その途を生み出し、また破壊する。
何時かの彼方も、結局は創造と破壊の連鎖によって築かれた事に、我々は気づかないだけであった。
長閑な世界で、小鳥が唄い、誰かが笑う。
舗装もされていない砂利道を、誰かが駆け抜ける。
雲一つない青天を、誰かが飛翔する。
そのような世の中を"平和"と偽称するなら、何か想いの掛け違えこそが、其の平和を崩すきっかけになるのだ、と。
例え人が生まれ、そして消えても。
例え太陽が輝きを生み出し、そして輝きを失っても。
我々は其の場に居続けるだけの、臆病な灰燼なのだ。
さぁ、始めよう。
新たな世界の幕開けを、今。