とっても寒い冬のある日
お兄ちゃんと作ったかまくらの思いではいつまでも色褪せることなく私の心の中に温かく残っています。そんなお話になればと書きました。よろしくお願いします<(_ _*)>
とっても寒い冬のある日、マシロとヒロムはとても暇でした。退屈で仕方ありませんでした。
外は雪が降っています。真っ白な雪景色。どこにも行ける状態ではありません。
なにもすることも出来ないので、二人はマシロの家でこたつに入ってポカポカぬくぬくしていました。
そうすることはとっても気持ちがいいことです。寝る子は育つ、寝てしまおうか?二人はそう思いましたが動き盛りの今、だんだん寝るのも飽きてきました。
暇に耐えれなくなったヒロムは言いました。
「ねー、マシロぉ」
「んー?」
「なんか、することない?」
「えー、わかんない。おばあちゃんならなにか教えてくれないかなぁ?」
そんな話を何度か繰返し話しているうちに、二人はこたつに温もって話し合ってても、らちが明かないと気がつきました。二人はおばあちゃんところに行くことにしました。きっとおばあちゃんなら何か楽しい遊びを教えてくれると思ったからです。
おばあちゃんの教えてくれる昔の遊びは二人にとっては新しくとてもわくわくする楽しいものでした。
なので二人は今回もおばあちゃんはなにか楽しいことを教えてくれると思ったのです。
家の中を二人でドタバタ走ります。足の行く先はおばあちゃんの部屋へ一直線。
あったかい部屋でソファーに座りうとうとしていたおばあちゃんは孫たちがこちらに向かってきていることに足音で気がつきました。元気な足音だこと、とすこし笑いが漏れました。ガバッと開いた扉から飛び出てきたヒロムとマシロ。
「ねぇ、おばあちゃん。なんかすることないかな?」
開口一番にマシロはききました。
「来て早速、いきなりなんだい。忙しないこだねぇ?」
おばあちゃんはあきれます。挨拶ぐらいしたらどうかねと思ったからです。
「さぁねぇ何があったかなぁ。」
しかし、忙しないのはいつものことだと思いおばあちゃんはすこし考え込んで答えました。
「雪、ふってんならかまくらつくったらどうだい?」
マシロとヒロムは首をかしげます。かまくらってなんだろう。聞いたことがないんだけど知っている?とお互い目を合わせます。どちらも知らないようです。
それをみていたおばあちゃんは説明してくれました。
「かまくらっていえば、あれだよ。雪で山をつくって中をくりぬくのさ。温かいよ。」
よくわかりませんがイメージは何となく出来ました。
「雪を集めるのね?」
マシロはおばあちゃんにききます。
「そうそう」
「そして、固めるの?」
ヒロムは続けて聞きます。
「そうだよ。砂場で山を作る要領と同じだよ。なんだい、砂場で山を作ったことがないのかい?」
そう言われて二人はムッとしました。
まるで作れないと決めつけられたような気がしたのです。
「作ったことあるよ!ね?」
「うん。いっつも作ってるよ!」
作ったことはあります。でも、いつもは作ってないのですこし見栄を張りました。
それがわかったのかおばあちゃんはニヤリと笑いました。
それをみて二人はさらに顔をムムム!と歪めます。
微笑ましくてわらったのですが二人はバカにされたと勘違いしたようです。
「行くよ!ヒロム!」
「うん!いこういこう!」
ふんっ!といったのが始まりのコング。
二人は元気よく外へ駆け出しました。
その後ろ姿をみておばあちゃんはため息をつきます。
「ほんと、忙しない子達だねぇ。あんぐらいの子達はこんなもんかね、ねえ?」
外に出た二人はヤル気満々です。
なんだかかまくらっぽいのは作れそうなので作ってみることにしました。出来ないという不安はありません。沸くように出来るという自信だけが溢れてきてます。
外は雪が降っていてとっても寒いです。外に出た瞬間、耳と鼻は赤く染まっています。吐く息はとても白いです。
二人は長靴はいて、手袋をつけました。片手にスコップを持っています。準備は万端ですり
二人はさっそく作業に取りかかることにしました。
二人は雪をあつめます。手がかじかんできました。じんじんヒリヒリします。
二人は雪を固めます。バシバシと手で叩いて固めます。足の先の感覚がわからなくなりました。なんだか足がもつれてこけそうです。
二人はさらに雪を集めます。寒いという感覚がわかりません。氷になったような気分です。
二人はさらに雪を固めます。バシバシと一心不乱です。
何度も何度も繰返し、ようやく集めた雪達は雪の山の形になってきました。
「そろそろ掘ろうよ。」
だんだん雪を集めることに疲れたヒロムは言いました。
雪の山は二人の身長と同じ高さほどになりました。少し背伸びをして上の方を叩きつけ固めます。
そうするうちにいつのまにか白くて大きな雪のやまになっていました。
白くてきれいな雪を集めるのに家の周りの雪を集めれるだけたくさん集めた甲斐があったというものです。
「うん」
二人は山が崩れないように雪をくりぬいていきます。慎重に慎重に。優しく崩れてないか観察しながら。
すこし掘っては遠くへその雪を投げる。優しく掘っては雪を投げる。
繰返し繰返し。
マシロとヒロムは代わりばんこに掘ります。
すこしでも崩れそうになるとぎゃー!!!!!やわわぁぁぁあやら!うわぁ!など、ご近所さんに元気をお伝えできる音量で。
声を響かせました。
そうするうちにかまくらは完成しました。
それを見たマシロは言いました。
「なんだか小さい家みたい」
「うん」
ようやくできたかまくらは腰をすこし曲げてはいれる大きさですがなんだか立派に見えます。
できた満足感があるのでしょう。
二人はできたできたと盛り上がりやはり、近所に声を響かせました。
かまくらの中に入ってみることにしました。
「温かい」
「ほんとだ!」
はじめての感想はそんなものでした。
なんだか優しい暖かさを感じました。
すると入り口からひょっこりとおばあちゃんが顔を見せました。先ほどの声を聴いて出来あがったことに気がつき駆けつけてくれたようです。
「良くできてるじゃないか」
おばあちゃんにほめられて二人は満足そうです。
「どうだい」
おばあちゃんに感想を聞かれました。
「なんかねぇ、なんだろ?温かい。あったかいよ!うーん。なんでだろ?」
とマシロが答えました。
「うんうん。あったかい!ね?なんでだろう。」
とヒロムが答えました。
「さぁねぇ。小さな空間に何があるかを考えな。」
二人は周りを見渡します。雪で作られた小さな空間に入り口はおばあちゃんの顔が覗いているのがみえるだけ。他には、と周りを二人は目をキョロキョロさせます。
なんにもないけどなぁ、二人は思いました。
結局、何気ないおばあちゃんの一言は小さい二人には何があるのかよくわかりませんでした。
「何にもないって思ってたのかもね。」
あの頃を思い出してふふっとわらったマシロの顔は可愛いです。
そしてあの頃の自分にたいしていたずらっ子のようにしししっと笑いあげました。まるで答えがわかっているようです。
「あったけどなぁ。」
そういいながらヒロムはマシロを優しげに見つめています。ヒロムも答えを見つけたようです。
二人はあれからずっと一緒でした。
小学校、中学校、高校までは一緒に。そこからは違う進路に進んだはずがいつのまにか同じ場所にいました。
二人はあのとき何があの空間にあったのか知っています。
沢山の経験と沢山の時間と沢山の人との出会いからおばあちゃんのだした何気ない一言がわかるようになりました。
とっても大事なことなのです。
何があるのか、そこに、ここに、存在するものを理解できることはとっても大事なことなのです。
マシロはそう思います。
マシロはお腹をさすりながらヒロムみて言いました。
「次はさ、“三人”で作ろうね。そしたらきっと、、」
もっと温かい、ね?




